祐子内親王家紀伊(ゆう し ない しん わう け きい) おとにきく たかしの 浜(はま)のあだ浪は かけじや袖(そて)の ぬれもこそすれ    七十弐番 此心はたかしのはまとは世にかくれもなく おと高くきこゑたりといふ心也あだなみとは あたなる人といふ心なりかげじやとはさやう にかくれもなき人にはちきりをかけまじ きという義なりあだなる人にちきら ばかならずものおもひにならんと いふこゝろをそで のぬれもこそ すれと いへるなり            一陽斎             豊国画            ㊞佐野喜