【表題】 上州草津温泉之全図 【本文】   根元略 当温泉ハ人皇四十五代 元正天皇之宇養老 年間大和国菅原寺ノ 行基尊者為弘法法杖ヲ 当山ニ曳鉱泉ヲ発見 ス其後鎌倉将軍源頼朝 公建久四年浅間山御狩 ノ時騎御在テ浴湯ヲ試ミ 玉フ亦近衛関白龍山卿 浴湯アリ 薬師十二神ノ御和歌今ニ 残レリ   温泉功能略    熱の湯 たいどくせむしようてう親 ゆづりのばいどくくさかさ○な もなきわるかさ○けいふんざい のとゞこほり○れうまちす○ひつ ひぜん諸病によし    脚気の湯 かつけ○のほせ○りんびやう○ めのかすみ○耳なり○足の病 ○こしのやまひ○かほのてきも の○せんき    御座の湯 らいびやう○三病なまづ○ たむしわる血のとゞこほり めんさう○手足のしびれ○ みうちのくされ○そのほか腫 物とうによし   綿の湯 やうばいさう○ぢばす○ぢ らう○がんがさ○ばいどくに てこしたゝず○せうかち○ ほねふしのいたみひつ等によし    鷲の湯 うちみ○くぢき○さうどく ○ひつ○たいどく○せんき○ すばく○年久しくなほら ぬ病其外諸病によし    滝の湯 のぼせひきさげほしめ○ ばいどくのめ○年なり○そ の外づつう○めまいかたは りたるによし    松の湯 さうどく○ひつ○ひぜん しらくも○くさがさ○りう ゐん○ほねふしのいたみ其 外万病によし    地蔵の湯 功能松の湯と同じ諸 病によし 其外  白 寿 湯  玉 の 湯 此六ヶ  にい川の湯  所の  とみの 湯   湯  千代の 湯  諸病  なきの 湯  よし 凡道法略   草津より 高崎へ   十八里 沢たりへ  六 里 善光寺へ  十四里 越後高田へ 二十里 信州上田へ 十三里 日光へ   三十六里 東京へ   四十八里 【中央の和歌】 結ぶてふ 此谷かけの 出湯こそ むべにも 老せぬ薬なり けり 【欄外右下書き込み】 五大力ぼさつ  井上銈馬 【欄外左下】 明治廿二年四月廿日   著作印制兼発行者 印刷同年同月廿二日出版 神田区鈴木町六バンチ 阿部善吉