【表紙題箋】《題:十二花鳥和歌》 【前見返し ラベル:SMITH-LESOUËF/JAP 194】  正月   柳 うちなひき春くる風の色なれや 日をへてそむる青柳のいと   鶯 春きては幾よもすきぬ朝戸出に うくひすきゐる窓のむら竹 【挿絵】  二月   桜 かさしおる道行   人の袂まて桜に    にほふきさらきの空   雉 狩人の霞にたと   るはるの日を妻とふ    きしの声にたつらん 【挿絵】   藤       行春のかたみとや    さくふちのはな    そをたに後の    色のゆかりに 三月   雲雀    すみれさくひはり     の床に宿かりて      野をなつかしみ       くらすはる            哉 【挿絵】 【上段】 四月   卯花  白妙の衣   ほすてふ  なつのきて    かきねも   たはに咲    るうの花 【下段】  時鳥 郭公しのぶ   のさとに  里なれよ   また卯花  のさつきま    つころ  【挿絵】 匂ふのきのたちはな つきのやとかほにかならす 郭公なくや【歟】さ   廬橘 五月   水鶏 槙の戸をたゝく くゐなの曙に人やあ やめののきのうつりか 【挿絵】 【上段】 六月 常夏 大かたの日影 にいとふみな つきのそら さへおしき 常夏の花 【下段】 鵜 みしかよのう かはにのほる かゝりひのはやく すき行みな つきのそら 【挿絵】 七月  女郎花 秋ならて誰も逢   見ぬをみなへし契や    をきし星合の空  鵲 長き夜にはねをな   らふる契りとて    秋待渡る鵲のはし 【挿絵】 八月  鹿鳴草  秋たけぬめ如何なる色と吹風に やかて移ふもとあ【悪】らの萩  初雁 詠【ながめ】つゝ秋の半も【母】すぎ【杉】の戸に 待ほどしるき初雁の声 【挿絵】       秋のつれなさ      すてゝ暮ゆく     たもとの露けさを     はなすゝき草の    薄 九月    鶉     人めさへいとゝふか     くさかれぬとや【歟】      ふゆまつしもに       うつらなくらん 【挿絵】 十月  残菊 神無月霜夜の  きくのにほはすは  秋のかたみに   なにをゝかまし  鶴 夕日かけむれたる   たつはさしなから  しくれのくもそ   やまめくりする 【挿絵】 十一月  枇杷 冬の日は木草のこさぬ霜の色を 葉かへぬ枝のはなそまかふる  千鳥 千鳥なくかもの川せの夜半の月 ひとつにみかく山あひのそて 【挿絵】 早梅 色うつむ垣ねの雪のころなから    としのこなたに匂ふ梅かえ    十二月 水鳥 詠する池の氷に降雪の    かさなる年ををしの毛衣 【挿絵】 【裏見返し シール「No 19 ■■■■■」】 【裏表紙】 【ラベル:194】 【ラベル:SMITH-LESOUËF/1517 F   IV/JAP 194】 【帖装本の側面】 【帖装本の側面】 【帖装本の側面】 【帖装本の側面】