【右丁】 正三位家隆(せう さん み か りう) かぜそよく    ならの 小河の 夕暮(  ぐれ)   は みそきぞ 夏(なつ)のしるし  なりける 【左丁】    九十八番 此心はならの小川のめい所にてみな月ば らいする川也風そよぐならとうへ物に いひよせたる也すゞしかるべきてい也 みそぎとは六月みそかのはらひにて けふはまだなつなれどそのすゞ しさ且水へんのもやうちつと も秋にことならず只此みな 月ばらいをするばかりがいまだ  なつといふしるしなり       けりといへり 【画面右下】 ㊞一陽斎 ㊞ 豊国【國】画  佐野喜