【黒枠タイトル】 山城大和江州 勢州三河越前 聞書 大 地震(じしん)并に出火の次第 【一段目左へ】 南都 《割書:廿三日迄に|八十五度のゆり》 寅六月十四日夜八つ時よりゆり始め明六つ時迄少々 ふるひ十五日朝五つ時より大地震にて町家一軒も 無事なるはなし家内に居る事ならず皆々 野宿明地なとにて夜をあかし往来人一人も なく目もあてられぬ次第なり 廿一日夜五つ時田村【?】油坂町西方寺本堂 くだけ高畑神主【鳥畑以降、要検討】高へいのこらす其外家数【敷?】 くすれたる家かすしれず死人少々有之   死人三百五十人   けか人横死其数をしらず 伊賀上野 同十四日夜七つ半時地震あれきつく御 城大手御門大損じ町々在々家焼れ 其外出火にて焼失嶋ケ原と申處五十丁 四方螺のために泥海の如く相成人家損し たる数しれず中々あわれなる事目も あてられぬ次第也おそるべし〳〵 江州石部 同十四日同刻の地震ゆり出し 所々人家いたみ少しつゝあれたる 所あれども略〳〵 水口土山庄の薬師 同十四日同刻の地震大ゆりにては 無之候へとも両宿すこし損し るゆゑ此処に書いだす 亀山 同日同刻のゆり出し西辺にて 少し家などそんしかくべつ の大あれにては無之候 三河岡崎 同日同刻のゆりいだし有之 東の辺にて少し人家いたみ 度々ゆれども事かるし 京大坂紀州丹波丹後 尾州美濃木曽海道筋 并に信州江戸無難に御座候 右之国々京大坂同時同様の地震に 廿三日すぐ【まで?】しらせの事 【二段目】 勢州四日市 六月十四日夜四つ時ゆり始六つ時より大地震と成 家数五百軒余崩れ昼五つ時より出火にて 家数四百けん余焼失   死人凡弐百四十五人   しれざる人 五百五六十人 和州古市 同日同刻の大地震にて池われ人家 多分くづれ死人六十七人けが人 数しれずのこる家数三軒ばかりより これなく義に御座候 江州信楽 六月十三日大雨雷鳴事きひしく翌 十四日大地震にて町々あれ人家たをれ 家数凡百卅軒斗土蔵たをれ十八九戸 まへけが人即死かすしれず ぜゝ御城下并に石場 十四日同刻大地震にて御城下北大手出火にて 御ぼたい所焼失いたし候事其余御構高へい こすいへをちこみ大へんの事也又石は舟のり ば大石とうろうこすいへたをれ横死の人 もあり余は右に准しはそん所多し 和州郡山 六月十四日夜九つ時早々ゆり始八つ時に大地震 柳町壱丁目より同四丁目迄家数凡卅八軒くつれ 同十八日廿一日六つ半又ゆりかへし八十五度のゆり 市内凡三部通り家くづれ其外なら同やう也    死人凡百弐三十人ばかり 越前福井 六月十三日昼五つ時より出火にて城下不残焼失 其朝大風にて九十九ばしと一百町斗り両本願寺 寺院百ケ所に焼失近在凡十ケ所焼失 夜四つ時にしづまり申候 又十四日夜八つ時より大地しんにて田地など も泥海に成所々の家くづれ死人凡四五十人 誠に〳〵其混乱筆につくしがたし十六日 くれ方迄に大小六十七八度ゆる恐ろしきしだい 【三段目】 【絵図タイトル】 勢州四日市 【絵図タイトル】 伊賀上野 【文】 南山城木津 同十四日夜九つ半時より東西南北のあやち なく黒雲ふりくだり右ふり笠置山より大岩 等吹いだし図のごとく近辺大水となり家 十軒ばかりつゝくづれなから流れ命をしみとも にけゆく所これなく夜中の事なれは誠にあ われなる次第なり死人いまだ数相わからず 水十五日九つ時ころにさつぱり引なり 【絵図タイトル】 越前福井