【整理ラベル: 208 / 特別 / 205 】 【表紙の押圧文字】 帝国図書館蔵 【表紙タイトル】 五たいそう   全 【資料整理ラベル 208/ /205】 【朱書き】 酉 五たいそう 【右白紙ページに書き込み】 明和二酉年 明治廿四年迄百廿七年に当る 【明和二年=一七六五年。 明治二十四年=一八九一年。なので明和二年から百廿七年(正確には百廿六年だが数えどしの数え方なのだろう)に当たるという意】 【左ページ本文】 むかし都ちかきあたり のことなりしに うづきの頃人々一両  【一両輩 : 一人か二人、一両人】 はいさそひつれて 川かりに出てくみ    【川狩り : 川で漁をする事】 あみしてたのし みける所へ川下より 大きなるあゆのうを  【鮎の魚】 のほれり長さ五 尺よにみへけれ     【五尺余 : 約150cm】 ば人々おどろ き川かりを やめみな 家〳〵に かへり  ける かのあゆのうをそれより川上 にのぼりだん〳〵せいじん して大なんのうみに出 ける今その大きさおよ そ三十丈あまりになり 【約90m】 大かいをおよぎあるき 【大海】 けるときひかきの大船 【菱垣廻船ヵ】 おひ風にまかせてはしり きたりけるがかのあゆの口へ はしりこみけることなり 【挿絵内セリフ】 さても よいおひ【追い風】 じやこ のいきて はうらが迄 【浦賀】 一とひだ かこのもの 【水主の者】 ひよりを   みる   なんでも   ことしは   一ばんふね       だ  【樽廻船の新酒番船のことヵ】 こゝにばくたい  【莫大国?】 国のあるじを はげうさん王   【仰山王?】 と申たて まつるせい の高さ 十三万三千四百  【数字の並びなら十二万と言いたいが…】 五十六丈七尺 八寸九分 あり かの 大あゆ ついに たいだ ほつちの  【ばくだい国のげうさん王がだいだらぼっちヵ】 やきものと なりてはしを たてむしり給へば 中より大ふね一そ うせんとうかこのもの  【船頭水主の者】 ■人余出けり てんほう どうし  【てんほう童子】 大だ ほつ ち の 小姓 せいの 高さ 六万 二千五丈あり 【右ページ挿絵内・顔の横に王のセリフ】 ■■やき物の 中からあぢ な虫が でたぞ 【左ページ挿絵内・箸の下に船頭の?セリフ】 かわつた所 へ来たこれ はどこの みな と じや 【左ページ挿絵内・てんほう童子のセリフ】 おみおつけをおかへ なさへやんせ 【左ページ挿絵内・船頭の?セリフ】 サレハ〳〵あれは ■がどうやら人のやうだ たいたほつちの ごもつめ■きう どうじ これはよいおなく た【「さ」ヵ。一画目が枠線に掛っているのでは。】みでござ    いんす ■き人きやう しやまで 大王のさしみさらへ水を入おやふねをうかべて せんどうかこのわざをごらんじけうに入【興に入る】 給ふそのはないきにてふねのほ風を もちさらの内をめぐる    これはとうもいへぬ      なくさみじや さても〳〵 よいもちあそび【玩弄】 じや なんとおもしろい ことではないが あれ〳〵うごくは       〳〵 【挿絵内セリフ】 かちとり はたらく ホウ よい追【追い風のこと。この言い方は4コマにも出ている。】が   くるぞ うかひの水も二千三千 がほどもいるであら■【ふ】      何と       して       ■■かへ        きしかだ 口中のさうじを せよといゝつけら れみな〳〵上下の 御はをみがく   下はしやと   てらくな事   もないぞよ  上ばはかくべつ  ほねがおれる  あぶなくて  どうも  ならぬ   ぞ   そりや   うつぞ   ばんて【番手桶】   おけにて   水をうける 竹ぼう きにて あらふ しつかいすゝ はきときたものだ ふみはづすと そこはしれぬ   まゝよ   はせん【破船】   した   思へば   よいそ これはしたり下の重 からさきへつめれ ばよかつた 大王これはてうほう 【重宝】 なるものなりてい ねいにしまつて おくべしとて 二人の小せう 【小姓】 にいゝつけゐん らうへつめさ 【印籠】 せ船 はね つけ 【根付】 とぞ なりに    けり だまつて はいつて  ゐなさ 【挿絵内】 てん ほう どうじ さりら【「と」では】は【然りとは=まったく】 めいわくわ かしゆさま おがみやす こりや なんたる こつちや きうく つな事じや めつ■うどうじ  此重へはもう  つまらぬ     【■■  二文字ほどありそうに見えますが?】 六月なかばことのほかしよき つよかりければ大王あたまうつ とをしとてさかやきすら んとおほせつけられければ みなちゑをみぐらしりう 【りうこし: 消防用ポンプの竜吐水】 こしにて水を上けさか やきをもみけるは大の       きまり〳〵 【挿絵内セリフ】 せい出せ〳〵 なんとわれら がはたらきを みたまへ ゑい〳〵ヤァ そりや  あがるは    〳〵 つがもない事 【つがもない: たわいもない】 た天ちく迄 もうけあいだ    これかかやなら 【これが茅なら】   よい金であらふ あたまのけを かまにてかる 【鎌にて刈る】  おれは   米の   なる木   にして   ほしい なんとしてこんな ちいさいかみそりで ははかゞゆくものではない かまにてあらましかりて のぢかみそりにてきよ ずりをしてやう〳〵十日  【清剃り: 一度剃った上をさらに丁寧に剃ること】 ばかり【「り」の肩に「゛」有り】にてあたまを半 ぶんほどすりけりまづ〳〵これ にてすこしきがはれたり今日 よりしてはほつたいの心なりとて  【法体の心】 だいだほうしとなをあらため  【大太法師】 たまふとかや みゝのあかをさらへと仰ければ かしこまり候とすきくわつる  【鋤、鍬、鶴嘴】    のはし   にてあか  をほりに なひ出す  【掘り担い出す】 おくのあか はまた口 よりご うぎに 【豪気にヵ】 たまつた さて〳〵 すさましい 事たまつたは よつほど ほつたぞ 【挿絵内下半分】 すいぶんおいた  みなされ  ぬやうに  そろ〳〵  さらい  ませい こゝらは くわも たゝぬ かたい ぞ〳〵 あかをもつこうにてかき出す 【もっこ: 土砂などの運搬道具。畚】 なんと たばこ にしやう じやある まいか さてそれよりあんまを とれとありければあた まをかめのこうどうつ きにてつきけり  【亀の子胴突き: 地面を突き固める道具】 さんよ〳〵さんよとな よいやさ〳〵 ちとやすまふ けんべきを  【けんべき: 肩こりのこと。痃癖、肩癖 注】 大八ぐるま にておし あるき もむ ありや〳〵 下りだぞ ひかへて やらう こりや〳〵 しめた〳〵 どこい〳〵【どっこい】 【挿絵内】 そりや 〳〵さき をたのみ    ます ゑい  うん   〳〵 【注 近世前期まで「ケンベキ」。訛って「ケンビキ」、「ケンベケ」とも。そのどちらにも半濁音をつけた発音あり。】 こしをやぐらどう  【櫓胴突き】 づきにてつく  中のつな   から       ゑんや       ゑんや さいぎやう  の ぼん さまが    こへをかけて    こんゑもしよ よい〳〵    よいやな あしをろくろにて 引もみにする   ヤァ    よい〳〵 【挿絵内】 やつとせ   〳〵 しめた〳〵 大だほつしいさなんちう本国 へかへさんとふじさんにより かゝり近江の水うみをふみ 【寄りかかり:挿絵を見ての判断】 またぎて舟をてのひらへ のせふうといきをふき 給へば追風おひたゝしく 一時にとばの みなとにつき みな〳〵さいし にあいよろこぶ ことたがいに まめで  目出し   〳〵 【挿絵内】 はし  るは   〳〵  近江   の みづうみ 竹生嶋 へんざい  てん 【裏表紙見返し】 【裏表紙】