鯰の流しもの ころは安政二卯十月二日の夜 江戸近在大地しんに付伊勢の 御神をはじめ諸国の神〳〵 御 立腹(りつふく)にて早速其 守護(しゆご)たる 鹿島(かしま)の神に仰(あふ)せて是迄諸国 大 地震(ちしん)のもの迄此度 残(のこ)らず かり尽(つく)され万民をなやます 段御しかり有て其 罪(つみ)ほねを 引ぬき五分切にいたし鍋焼 にも申付べくの所かくべつの 御ゆるしにて遠き外(くわい) 国(こく)へ流(なか)し遣す べしとの上意 に鯰とも一同 恐入御うけ申 上候はふたゝび 日の本の地へは ひげつらいだし 不申と御わび致 候へば鹿(か)しまの御神 しからば又〻うまら さるやうに壱人つゝ なま爪(つめ)をはなし 遣すべし との事也 あり かたし〳〵  〳〵〳〵 〽はい〳〵ふたゝひ  まいりません     御めん〳〵 〽なまづにいんでは  このむねか   すまぬ〳〵