《割書:道|行》 恋濃(こいの)婦登(ふと)佐男(さを) 中 【なし】 不(しら)知(ぬ)振(ふり) 【中段】 コウ〳〵  スウ   ゴウ 【下】 かゝ  ちやん   〳〵 ウ〻  かヽ   ちやん 【左上】 ゴウ  スウ   〳〵    〳〵  ウヽ   なんだ 【左頁】                   中ノ二 それおその【お園?】や おかん【燗】をかけや  おすいものがでる   ゴウ    〳〵     スウ      〳〵 三勝 半七 おや〳〵半七やらうめが  いつしよねてけつかる よし〳〵いまにおづふ【?】がねついたら  くぢつ【抉】てやらう   どうで【どうでも】とぼす  ことハならねへ 【中下】 あのやらう より此  善右衛門 さんの  ほうが よつぽと いゝおとこだが さんかつも ものつきな  やつさ 【上】 べらぼうめ しわへ【皺?】ひつ  からんで【ひっ絡んで?】 へヽるものか 【右下】 かゝさんか あんまり やかましく いふなら いつてふ【一丁】 【下へ】 とぼ  して やんねへな こんやハ もふ 二三てふ とぼさせねへ  けりやァ ねかしやァ  しねへ 今のハ  ひさし   かつた    から たつふり  きか   いつた【気が行った】 【左頁】                       中ノ三 お千代 半兵衛 さ ミ せん【三味線】 ハげひ しやの たましい【芸者の魂】ちか いにたてし 五大りきそれをやぶつてあの ざま■人でハ ないわへ こまんそちをかく とぼした事ハよの    なかの     大ぞく      どもハ  かつてらづたゞ      いち 【左頁】                    中ノ四   かいにミともハ ふらまたとばかり おもつてゐおる たわけなやつらだ おとこがよくてかね   もちてそれて   ほれねへたかをハ むかしかたきのばかものしや   とうせい【当世】そのよふな    やほ【野暮】かあるものか もふ〳〵けつかう【結構】なほゞで てもさてもアレ〳〵 何やらくハへてひき こむあんばいじやさァ〳〵  たまらぬ身うちが びり〳〵さうミの  いんすいか 小万 源五兵衛 【右頁下】  これこまんぼう【小万坊】そもじ【其文字】の くちハうまいぞへ〳〵 もふ〳〵源五兵衛がことハ  さらりとにしの  うミへなかして   ミども   いつ   しやう   やどの   つまに   申うけて   あらい   かぜ【荒い風】   にも   あて   さす   ことじや   ない    ヱ〻か そして それかん じんの  お  ほヾ  つ  こ  ハ 【左頁下】 に し き の ミ と てふ【錦の御戸帳】 を かけ て ミ ど も ミ づ ご り【水垢離】 を い た いて しやう じん けつさ い【精進潔斎】で おが む し や け し く 【左上】 あの  さやくを 三八が  てたい がたき【手代敵】に    して せんずりを かゝせ  われらハ ちうしや【中車】 【左頁】                   中ノ五 たきのや【瀧野屋】   きとりて【気取りて】 まぶ【間夫】で   とぼさう【点そう】と    おもつたハ   大きなまちがい こちミハふ男【不男】に   にあつた      よふに   せんすりでまらが      ふくれらァ         ばか〳〵         しい 若草 伊之助 【右頁下】 ヱ〻  おまいハナア くど〳〵いふハ    なれと【なれど】いつ ぞやしたの ひまち【日待ち】の夜 たんなさんかた げいしやしう おふくの【多くの?】 なかでこな    さんの くぢうさんした【苦渋ざんした】 その と き に とう さ しやん した【どうさしやんした】 こう さ しやん し た【こうさしやんした】 と わ た し が 【左頁下】 ゆ び で お まへ の まね を せぬ まハ し ばしも ないわいな お里 弥助 ばんにハやすけと しうけん【祝言】さセると おとつ さんが おつ しや つた とうに この よふに しうけんの すんで ゐるのハ しら  ねへ   て おやと いふ  ものハ ばかな  ものた ふたりの  からたを たきあわせ   すしに    して 【左頁】                   中ノ六  □?おかふか【寿司にしておこうか】 アレ〳〵  おくで   あにきの こへが  する いち  はん   あにきか    いやだ おやじどのも  おふくろも   とうり    もの【道理者】だ     が 尾上 伊太八 ちや屋■■やとのつけとヽけ やりてかふろ【禿=こども】のしきせ【仕着せ】まて おもてむきおバワしが なてミんな そなたの くめん づく【工面尽】 【下段】 むかしの 身ならば とのよふ にも しよふ もよふ【仕様模様】   も あらう けれ  とも 此  身   に なつ  てハ 一 てふ【一丁】 の へ の こ【陰核=陰茎】 の れい より ほかハ  ない 【左頁】                  中ノ七 たとへワたしハうけだされ御しんぞうさま【新造様=若妻】    おくさまとうやまハれていやな いわミの安さんのよふ男にそおふ【添う】より      やつばりぬしとこうたきついて【抱き付いて】 懲異見(こわいけん) 【左頁】                    中ノ八   御代参(ごたいさん)のおや〳〵どふしやう 神(かミ)にねがひをかけまくも。佛いちりも恋からおこる女の情(じやう)。むりな願 懸(かけ)に火のものたち塩たち。一生蜘(くも)と蚰(げぢ〳〵)をたべますまひなどゝの断物(たちもの)も あどけなくておかし。去ル奥方(おくがた)のお娘さま。ことしおハッきやう風とやら の大さわぎ。夫といふと諸寺(しよじ)諸山への御いのり。御局の戸/崎(さき)との方〻へ 代参の人/配(くバ)り。御しらし柄(から)の事なれバ。雑司(そうし)谷堀(がやほり)の内ハ日も暮に及へバ 誰往(たれゆけ)かれ往。本所の妙見さま。普(ふ)げん様へハ則ぬしの姪子(めいこ)。おせよさま迚【とても】 今とし十九のすつかり物。器量(きりやう)ハもとより品形(しなかたち)心ばへまでやさしく 奥で育(そだち)て男の肌(はだ)ハしらぬ。うぶ奥(おく)女中のならひにて。張形(はりかた)の兄弟 分しかもすぐれての好物(こうぶつ)。御/夜詰(よづめ)が引けると夜中/張形(はりがた)一本をふたりの たのしミ。伯母御(おばご)の云付にいやとハわれず。此中でさへすりミがき。やう〳〵に身仕廻(ミしまい) が出来て。御供にハ若黨(ワかとう)の織平。とし頃も能けれバ。中間の織介に挑灯(てうちん)持 たせ。七ッ時ゟに屋敷を出。妙見(めうけん)様と普賢(ふげん)さまになが〳〵とした願をけかけて。 小梅の提(つヽミ)に出らるれバ。はや日もくれ織介が挑灯とぼして。跡からすた〳〵追(おひ) 付くにその身も褄(つま)引上。腰帯ちやんとしめたる其腰付のうまさ。どふも ならぬと織平が。四十計の年にも似合ぬむほんの出来心。跡先に人ハなし。どふぞ してと思ふ内。やぶかげからワンといふて。飛出る犬におとろき玉ひ。ヲヽこわと かたより見玉ふに。白犬に黒犬(くろいぬ)が追いかけ来て。無二無三に重(かさ)なれば。 【左頁】                       ニ   ち 雌(め)犬ハ尾を下げてあてがへハ。すわやと見る内。上から腰を遣ふいき込 のうまさ。女犬も心よひやう。舌を出してよかる躰(てい)に。おせよさまハ思ハず 立とまり。ヲヤ〳〵織平ミやどふせふと。見とれ玉ふ目元のしほらしさ。いぬの やりくりでも見玉ふハはじめなれバ。下地ハ御好なり。立すくミになり 玉ひて。婬氣(いんき)盛(さか)んにうつくしき顔。曻氣(じやうき)し玉ふに雄(お)犬ハます〳〵手ひどく 腰を遣ふに。織平も一物木のごとくおへ【生へ】出。ふたりがほつとため息つくところへ 挑灯とぼして織介が欠(かけ)付。此躰を見てきやつもたまらず。お道か悪ふごさ ります。こちらへ御よけなされませといひながら。織平にめくばせして。芝(しバ)の 上へ押ころはせバおせよさまハおどろき玉ひ。コレ何をしやるつがもな【つがもない=とんでもない】ひと。起(おき)ん とし玉ふを織平すかさず。両の御手を押へ付れバァレ〳〵との玉へは。あたりに人 ハなし。はやその内に織介ハ用捨もなく。板しめの下着の裾(すそ)まくり上。蔭 戸へさぐり當るに太(ふと)もヽすべ〳〵として。天鵞絨(びろうど)にさハるやふなる毛うすく はへたる所へ。指をさし込に。㝡前【最前】より犬の交合に見とれし事なれバ。そ こら訳(わけ)なくぬら〳〵じく〳〵。凍解(いてとけ)のごとく。さし込ゆびにしは〳〵吸ひ付 やふに覺。ヲヤ〳〵是ハうまひと舌を出して悦び。すぐに玉莖をむりに押込。 いさいかまハず。突(つき)立るに。おせよハ氣をとりのぼせ。悪ひ事を退(のい)て〳〵と あせり玉ふを。織平男力にうごかせず。織介はやく仕てしまへ。とふもまらか 折れるやふだといふ内。織介ハ血氣(けつき)盛(さか)り。何の事もなくしやり〳〵と。                             り 【左頁】 氣をやるを見すまし。すぐに引のけ。是から織平が賞(せう)観(くわん)致ます。どふ なされてもせずにハ置ませぬ。じんじやうにさせなと。きやつハ一物人にすぐれ 七寸胴(どう)かへしの黒まら。あてがへども中〳〵はいらぬハ。張かたばかりて生の物ハ はしめてなれバ。ぬら付ゐん水を一物にぬり廻して。ぬらりと根まで入られ し心もち。おせよハ思ハずヲヽ能ひ氣味是どふしやると天地(てんち)自然(しぜん)の氣 がめぐり。織介がすぼけまら【包茎】とハ大きな違ひ。其上織平ハ四十男にて甚 巧者もの。虚(きよ)に移(うつ)り実(じつ)に行ひ。すこ〳〵腰を遣ふ心地よさ。おせよハ大に 取ミだし。あらこなし【荒ごなし】した上なれバハアいく〳〵と顏をしかめ。すゝり上〳〵泣 玉ふに思わずしがミ附て氣をやり。髭だらけな頬(ほう)へすり付。むさひ口を吸ひ 玉ふ有がたき。そこらハとろヽこぼしたやふにぬら付。腰を遣ふ度にぐちや 〳〵ごふ〳〵。織平かヽる上代ものに逢(あひ)しハ初と云ひ。その味一物をくわへらるヽ に得もいわれぬ玉中。三ッほどむしかへす内に。人音におとろき。サア〳〵と 引起せども。あんまり氣をやり玉ひて。腰も膝(ひざ)もたゝぬやふなれバ ぜひなく脊(せ)中に負(お)ひて大川橋へ参ったら。駕(かご)がござりませふ。 織介てうちん消(け)さぬやふにせろと。業平(なりひら)橋から浅草の方へ   御錠口の誰も見やせぬかの 千二百八十五畨よ。二千四百九十三よと。朝から帳面にかゝりて聲のかれる ほど畨附(ばんつけ)を合せるも。判取(はんとり)茶畨(ちやばん)の氣ハざんざと。それを遁(のが)れ〳〵て                         ニ  ぬ 【左頁】 此ほど京/棧畄(さんとめ)のはかま引かけ。ちよつとしたる細身(ほそミ)の脇さし。今日も朝から 荷(に)もちをうんといふほど脊負ハせてやしき通ひ。佐七といへる手代の。奥(おく) 中に可愛かられ。何もかも此男でなけれバならぬやふにしこなし。むつかしい お局。かたくろしひ錠(ちやう)口處まで心をゆるして御出入。此男の一物人に勝(すぐれ) て見事故。誰いふとなく。呉ふく物ハ大(だい)まらやが事しやと。愛敬(あいけう)ハこぼ るヽばかりの色男。御/廣鋪(ひろしき)の小くらき所に。呉ふく物のふろしきつヽミ あれ是とりちらし。幾丗さまの御あつらへ。本紅五疋むら瀬さまのお染もの 出来ました。取消し中に。中老の彼にさま迚。今年廿の上ハ壱つかふたつ ぞつとするほどの美しひ上/代(しろ)物。いつから出来た事やら。人目の隙(ひま)を窺(うかヽ)ひ しどけ無き後帯(うしろおひ)。佐七ござつたか太義でござると云ひなから。あじな目遣(めつかひ) にこなたもふろしき包(つヽミ)のかげへよれバ。すぐにあなたからお口をよせられ。そつと 人には聞へぬやふに。ヲヽ可愛ひと吸(すハ)せ玉ふに。佐七ハたまらずそつと 股(また)くらへ手をやれバ。心得てふろしきへよりかゝり。呉ふく物見るふりして。 懐(ふところ)より御手を出され。佐七が手をむづと握り陰戸へあてがひ玉ふぞ 有りかたき。佐七もすかさず。御内もヽより。もち〳〵とさぐり毛のもや〳〵 したるむつくりと高き所をさぐりおろして。ゆびをさねかしら【実頭=陰核】へとヾ かすれバ。くわつと曻氣(しやうき)して耳まで赤くなり玉ふに。そこらゐん水 だら〳〵とあぶれ。白酒の呑口を明たやふに。こと〳〵と音して手のうらへ                          ニ  る 【左頁】 つたへバヲヽはづかしとお顏に袖を當(あて)て。玉門を突出し玉ふをそつと覗(のぞ)けバ 御股までとろヽのごとく。さねがしらひこ〳〵とうごき思ハずも顏をしかめ。 いヽ〳〵と小声でのたまふに。こらへかね佐七ハはりさく計の大一物。を。そ つとあてがひ。人に見られては大のかぶりなりと。身を横(よこ)にしてそろ はん取り。そちらのちりめんになさるれバ。御/着(き)尺で三両が十匁ぬけ ますといへハ。ヲヽあの人のぬけるとハ氣味がわるひ。どふぞぬかずにソレ〳〵と。 上から腰を遣ひ玉ふ。なるほどいつまでも御用ハ長ふ承ります。つもり じやさかひ。ぐつと情(せい)を入ました。此上を御好のもやふ。芦(あし)にそれ是。ソレ もつと鶴(つる)の首すしをそれ〳〵と下から遣へハ。ヲヽ上手な紺屋。とり分 て色の遣ひやふが能ひから。いつそ身にしミ〳〵と可愛ふいゝよ〳〵と 幾しきりともはなすゝりあげよまひ事やらもやふ好ミやら。フェ〳〵 はな息につれて。腰(こし)を遣ふ度〻。ごつほ〳〵つほ〳〵。佐七ハ心を配(くば)る だけ氣が行かず。長ふ出し入の内。身内がつかミ立るほどよく成つて 来て。思ハずふたりがひし〳〵と抱付。ヲヽうれし又いくハな。〳〵。ァィワた しも。それ〳〵参りますと。しやり〳〵と大/筒(つヽ)からはぢき込まれ。女は うつヽになつてよかり玉ふを。しまひにしてふたりハ飛のき。今の を誰も見ハせなんだかの。ヲヽはづかし                       二之巻 終                      二  を 【なし】 【なし】