《割書:道|行》 恋(こい)の婦(ふ?)と佐男(さを)  【なし】 戀(こい)の取持(とりもち) おきくあやまつた あづまがことハさつ ばり【さっぱり】おもひ きつたさう【そう】しやつき【癪気】ばらづと さァ〳〵 きけん【機嫌】 なを【右下へ】しに【下へ】これ さ 一 てふ 〳〵                   下ノ壱 【左頁】 吾妻 与次兵衛 マア またんせ ざしき らうをでヽハ とゝさま【合略?】へすま ぬ そんなら ワたしも ゆくから 【下へ】 □□ □【あちら?】へ ゆ かん せ わたしとても まんざらても ないのさ とても そハれぬ事 ならバしんで ミらい【未来】でそいとけ よふとおもい つめてハミた 【左頁上段】                    下ノ 四 けれともさきの しれねへミらいより つらいうきよに ながらへたらいつ かそハれる よふにもな らうとお もつてミたら しミ〳〵しぬが いや になつ てきた さアよくちを だしなセェ ぢれつてへ 小春 紙治 むかしの 次兵衛を ミるよふ しんちう【心中】なぞと いふやぼな こたァよしにして 【下】 千 ねんも いき てたの 【下】 しむ【楽しむ】か なんと つうな れう  けん【了見】だらう 【右頁下段】 女房の ふところ にハおにが すむか さつばり うちにねる 【左頁下段】 がいやだ てめへと ふたりの いんすい【淫水】が しゞミ川□【へ?】 ながれたら さそ なりひら【業平】 大しゞみか たんとで きるた らう お妻 八郎兵衛 なんにもしらぬ此おはん 一ねん〳〵たつうちに とゝさま【合略?】にいきうつしだの なんのとぬかしてほへるからよもや ほん【本?】のことだとおもつて一ぱいかヽれたハへ とヽさまにいきうつしならアノがきも さぞぼゞがすきになるだらふ 【上へ】 うぬらアうなぎだ□【と?】 すんて【済んで?】いかにらんやく【蘭薬?】の きヽめかいゝとてもあんまりぼゞに ばかりかまけて □【ら?】しやァがる これいろ男しやァむるい【無類】とひきり【とびきり】 くろこく上〻吉【黒極上上吉】といふこのかうぐや【香具屋】の 弥兵衛さまをよくだしにつかつたな ミんな【皆】ばア【婆?】めもなれあいとミへた ふてへやつらだふてへまらだ イヤひろいぼゝた 志 よくきけよ おもてだつて さるじやう【去状?】 をやつた 【左頁へ】               下ノ 五 女房だ から此 弥 兵衛 さまハ むこさまに こざつたのだ すりやァ【そりやぁ?】れつきと したま男だぞサァ とふだ【どうだ】いゝわけか あるならして ミろいけつぷてへ【図太てえ】 やらふだながふてへ【長太え】まらだ 【下へ】 なんぼかねがある とつて【とて?】うぬが つらでむこに なられる ものかへ 【右頁下段】 アレさ〳〵 ヱ〻 むき どう【無軌道】な 椀久 枩山 てんちけんこん【天地乾坤】 こんとんミぶん ミことな まらハ おゝ けれど いれてびつくり するのハ ぬしのでおざ りいす つい〳〵の ついと きがいきいす【気が行きいす】                     下ノ六 【左頁】 いろにそやされ こんななりで ぼゞをする 【下へ】 ちとせを すへのまつ やま【千歳を末の松山】といつ てんばりの そもじ【其文字】だ ものをかた ときわ すれることハ ねへおらァ このよふに 【下へ】 まよつてすへ【末】ハさヽの は【笹の葉】を かつ がにやァ 【下へ】 いゝか くれ六ツが ごんとなると とぼすより ほかに何も しよぜへ【処世?】が ねへこれを お もへバあの かねハ 【左頁】             下ノ 七 くれむつでハ なくてぬれ 六ツだ いりあいでハない びりあいだ どうしてもいもふとだけ あつておふさがほヾより かくべつ あじが いヽ 小糸 佐七 【右頁中段】 サア〳〵 おれも たまらなく なつて きた 【右下】 ア〻それさ いまてさ はなし ちやァ なら ねへ 【下段】 かん じ ん かな め【肝心要】の と ころ た それ 〳〵 い く に よ それ さ 【左頁】 〳〵 き つく 花(はな)に嵐(あらし)                 下ノ 八   下屋しきの凉しひね 真乳山【待乳山?】夕越くれば菴崎【庵崎】の隅田川原にひとりかとも□【詠?】むとは。昔の 人はとんだ野暮(やぼ)だぞ。真崎にはには女/藝者(けいしや)の。かけて一トといふか有る。もつ□【と?】 是を伸(のハ)せバ吉原といふ色の世界(かい)。コレ手まへハ山の手て育(そだち)て。聖天さまへまだ 参らぬといふから連てハ来たが。マア此くらゐな物さと。しやれる。亭主にいきな 女房まだ十八九と見へて美(か?つ)しき物。此ヶろ【此ごろ?】呼(よん)てはじめて。夫婦連の下 やしき行。草履(さうり)とりをコレわりやァ。桟橋(さんばし)に待つて居る屋根舟行てナ。 色〻にモウふねハ入らねへから先へ帰(かへ)れといへ。夫からすぐに下屋しきへ行て今 来たとしらせろと。夫婦(ふうふ)ハ下女とも引つれ今戸へ鳴(な)り込(こ)めバ。屋/守(もり)の 女ぼうソレ旦那さまかと。すぐに座敷へ返し。御酒よ御肴よと□□くやら。なる ほど遊山所にこしらへて有るも尤(もつとも)。浅草川を中に置て。長(xxう)命寺(xいし)白髭(しらひげ)と 向ふにならべ。暮かゝる凉風よきほどに吹て。夏ハなきやふに思ハれ。十六日 の月かけ照り後れバ。コレハらうそく【蠟燭】ハ入らぬ【要らぬ】とミな【皆】しめさせ。縁側(ゑんがわ)に蒲(かま)ご ざ敷(しか)せて。亭主ハ昼(ひる)からの酒きげんに浴衣(ゆかた)もぬいて。丸はだかサアお民(たミ) 誰も見やせぬ。はだかになりやといへバ。ほんに下やしきハとんだ氣□んじ。 ぬいでも能ひかへと。此(この)あつひに抱(たき)付たら。冷(ひ)やりとしそふな□□□(しx)□ 肌(はだ)を浅黄ちりめんの二布ひとつ。少しふとり肉(しヽ)の方□間へ□【須?】□う まさ。わんちりと一口喰付(くいつき)たひやふな。太(ふと)もヽあらハにモウ酒も過るからよし                      三ノ よ なよしやれる仕まひが。遠慮(ゑんりよ)もなくよりそふて。口を吸ハれ。女ほうお民ハ はや曻氣(じやうき)して二かわめとろ〳〵と。氣ざしたるに。男もいきり立ツて横抱(よこだき)に 膝の上へ引上れバ。女ハはや一物を握(にぎ)り。ヱヽモウ是(これ)を入たらサゾ能かろふねへ。私(ワた) しや今までつとめました。殿(との)さまの物よりおまへのハとんだ大きくてそして。 此/亀頭(かり)とやらが高くて此いぼがいつそにくらしひといふて。妾あがりといふ 事がしれ。好そふな目付で。旦那へはやく入なよといふに。男ハいつか玉門へ 手をやりくぢる【抉る】故に。たまらず。ソレそんなに出るよハァ〳〵と。はないき荒(あらく?) しがミ附くを。そんならすぐにかうしてと。後かゝりに一物をあてがひ。入れ もやらずびく附かせバ。いつそ【一層?】ぢらしハ無ひよと。女の手して□□【玉門?】へはめて。 米つき猿(さる)のやふになつて。女の方から腰(こし)を遣ひ。ヲヽいく□□たいくよ。 ハァ〳〵いァァ〳〵と。すゝり上〳〵よがり泣に。ワたしや内でハおとう様や おかゝさまへひよつと聞よふかと。思つて。今迠たしなんで。こんなによが られねへ。けふハいつそゑんりよがなひから。氣が行つゞけに。おまへも もつときつくおくの方をつきなよと。よまひことやらよかりやら。ぐちや 〳〵こほ〳〵。いつそ【一層?】鳴(な)つて来やした。どふせふね【どうしようね?】とつゞけよがり。男は 落着て。ヲヽ出すハ〳〵音のするがうまひ〳〵と。なを〳〵手つよく突立 モツト手まへも腰をつかへ。ソレ二つめがいくよ〳〵と氣をやれと。女房ハ中〳〵 たんのうせず。マアぬきなさるな。かふして寝て休んで又しやせふと                      三ノ た 扨も助べい。おまへのなへるまで入て寝(ね)な。ヱヽモ今まてくすぐつたひ□【や?】ふ なが。又それよくなつて来るやふだョ。迚【とて】もの事に。本ン手にしてしなから が。ァィもふいくよ〳〵   宵(よひ)まつりのヲヽ暑(あつ) 此あつゐに手前たちハ。モウ寝たかと戸をたヽくと。廿はかりの女の 声して。旦那さんかへ。りんや戸を明て上ヶ申せといわれて。やう〳〵起(おき)て 戸を明ヶるハ。此旦那の妾宅(セうたく)と見へたり。けふハ夕すヽミから来やふと 思つた所へ。軽羅(けいら)とそゝ上【楚々上?】が。夜宮の山王参りに誘引(さそつ)て。何か夫レから 桟敷を見物して。小網町でぐつと呑だ。やう〳〵あ?□□□をはつして 来たすぐに寐やふ。そちらにねて居るハ誰(たれ)だ。ァィ深?□□□【川の妹?】さ。宵(よい)に 桟敷(さじき)を見たかる故。かやば町の御/旅(たび)まで連て行やした。い□用たね。着(き)物 着てそこへ出やせふ。何さすぐにそふしてゐやそのはだかが能(い)ひよ。此 雪(ゆき)の肌(はだ)をかへ。おきやァがれかふだとぐつと抱付口を吸ふヱ酒(さけ)くさひよ。その 酒まらに氣が有ろふ。ドレ〳〵ヲヽ出しかけ山ハ有がたひ。しづかにしな おぎんがやつと今寐た物を。何かまふ物だ。姉さまから片(かた)付て妹と いふ点だ。ヱヽ性悪(しやうわる)ばかり。すかねそねへに。いぢらすとはやく入れなよ 合点(がつてん)だとおへ【生へる=勃起する】きつた物を。づふ〳〵と根まで押込ミ。くつと腰(こし)を遣ふ。 ゆへに。ヱヽモだ旦那さん。いつものやふにつゞけておくれ。今宵ハなぜか                      三ノ れ わつちやァ身か解(とけ)るやふにいゝよ。ハア〳〵行よ〳〵と高よがりにぐちや〳〵 鳴るやら。こほ〳〵音(おと)がするやら。今夜ハ酒まらだから。もつといヽはづ だおれハねつから【根っから】氣(き)が行かねへと。なを〳〵手ひどく。腰を遣ハれ。ラ?レ又 よく成ツて来るよ。是で三ッ目がいくよ〳〵と。よがり続(つヾけ)にふたりが一 時に氣をやりて。暑さハ暑し。つかれての一寐入。旦那ハ目さまして。 妹を何でもと心懸(かく)れど姉のおはや油断(ゆだん)せず。暑(あつき)を構(かま)ハず引しめ〳〵。 抱付。旦那さんモツトしなこの据膳(すへぜん)に。いやともいわれず。又くわだて。と う〳〵夜明るまで入びたし。いくらしても何ともなひ片□蔵。どふぞ 妹のおきんを心かくれど心にまかせす。姉ばかりをた□□□居る内。段 だん寒くなつて。顔見世とはなりぬ。旦那も兼(かね)ての趣(しゆ)□【向?】(かう)□【な?】れバ。妹をと まりかけに呼にやれ。壱ッ所に見せふといふに。深川へ人□□【をや?】つて呼バせる 内旦那ハ昼から来て。姉に三ッ四ッよがらせて行つかせ。五ッ時ゟに おぎんが来て。旦那さん有/難(かた)ふござりますといふ目もとの可愛さ。 役者ひゐきの噺(はなし)も済(す)んで。寐るに成れバ手まへたちハくつとそちらへ よつて寐たか能ひ。おれハ爰(こヽ)だといちや付なしに。先へ寐て見せるも 油断(ゆだん)させるてだて。おはやハ昼(ひる)からの相手(あいて)にくたびれ。そのうへ酒き げんではあり。すや〳〵寐るを見/済(すま)し。そつと妹の夜着(よき)へころ び込めバおぎんハひつくりして。ヲヤ〳〵旦那さんと。いふ口へすぐに舌を入                              三ノ に てなめ廻し。陰戸へ手をやれバ。ふつくりした肉おき【肉置(ししおき)=肉付き具合】。まだ度〻ハ生物の 通らぬやうすに。つばきたつぷりと指先へ附てまづそろ〳〵いらへば。 小な声して。ワたしやおまへならいやではなひが。姉さんがこわひよと あどなき事いひなから。玉門ハぬら〳〵と出しかけるに。旦那ハこらへかた く。玉茎をあてがひ。はゐらぬ物をいろ〳〵として入かけに。おきんも惚 て居る㕝なれバ。旦那次第に成つて居る可愛さ。とう〳〵根まで 入て。あしらい突(つき)にする内。おぎんハワき出るゐん水に。根まで這(は)入て どふも能くてといふがはじまり。すヽり上〳〵。しく〳〵泣出し 其/息(いき)つかひ。命をむしるばかりのよかり声。旦那ハ□□□になつて。 腰を遣ふ内に。はやおきんハ行かヽるやう一/調子(てうし)高□□【旦?】那さんハア〳〵 死ますよ。ハァァレ行よ〳〵と又一トしきりよがり泣に□【姉?】ハ目をさまし そこで泣くハ誰だ〳〵。ヱヽいつか灯(ひ)が消(きへ)たか。くらゐよ〳〵旦那ハへ といふに。旦那ハサア。さつきからおぎんぼうが。癪(しやく)がおこつて押(おさ)へて 居る。おきく灯(ひ)をともしやと。いふ内氣をやり。まつ本望(ほんもう)ハとげ やした 巻之三終                            三ノ つ 【なし】 【なし】