地震幷津浪之 説(わけ) 【挿絵内】 地震(ぢしん)         南        西南海      東  日本六十余州   西          其余外国異国(ソノヨグワイコクイコク)      国  皆此上ニ有ト云  国 之 図(づ)         北        北氷海 【挿絵内・右上より時計回りに】 要石 正月 二月 三月 四月 五月 六月 七月 八月 九月 十月 十一月 十二月 夫地震(それぢしん)といふは其 象(かた)ち別に地底(ちてい)にあるにあらず陽気(やうき) 陰(いん)の下に伏(ふく)して陰気に迫(せま)り昇(のぼ)ること能(あた)はず陽気 渋滞(とゞこふり)て 歳月を経(ふ)るに従(したが)ひ地裂(ちさけ)て陽気天に発せんとして振動(しんどう)する なり又 津浪(つなみ)といふて別に地中より水を発(はつ)するの謂(いひ)にあらず 天地の間(あいだ)陽陰につゝまれて動発(どうはつ)する事 大底(たいてい)地震に等(ひと)し故(ゆへ)に 地震(ぢしん)に依(よつ)て起(をこ)り或は大風雨に就(つい)て起(をこ)る其発する所一ならざるを以知(もつてしる)べし