【一段目】 盲人 「てもさてもいくじは  ねへせつかくこうり  をかしてためたこの  かねをせめては▲ ▲ もと きんば かりても のこして くれゝば いゝにそれ までとは たまらねへ じしん 「なんとどうたこう  ゆすぶつたらありつ  たけたさずはなるまい  さあいまゝでためたその  かねをのこらすはきだして  しまへそうするとおゝくの人が  よろこぶわ かね持 「あゝせつねへせつかくしほをなめてためた  このかねをのこらずはかしてしまうとは  なさけねへしかしためたときよりまことに  せわなしにでゝしまつた 【二段目】 かね持 「やれ〳〵きさまははいたかおれはしりを  ふまれるゆへみんなくたつてしまつた  いましい 【三段目】 「諸(しよ)しよの人よろこぶこゑこや〴〵  かや〳〵〳〵わんや〳〵〳〵〳〵 いしや 「やれ〳〵これは  こていねいに  ぐちし【?】までこゝへ  おだしくださるとは  かたじけない