玉屋地新兵衛 桶伏の段 火夜苦(ひよく)の門並(かどなみ) 〽宵(よい)の寐(ね)ばなに打(うち)ゆする地震(なまづ)の もん火(ひ)のいきおひはみな子(こ)に 迷(まよ)ふ行所(ゆきところ)どこにといへるなき さたは北国一(ほつこくいち)の遊女町(ゆふじよまち)よるのなき こゑかゝり船(ふね)ねごみおこさぬ客(きやく) もなし中(なか)に高家(たかや)の天(てん)へんは どうもぐづ〳〵ひどいめの風(かぜ) のかたきのうきよとてあげ くのはてのゆりかへしかめの かわりに手ばまりのつみがかうしですい ふろの〽おけぶせになる身ぞつらや ぢしん兵衛おろ〳〵なみだぐみ 【挿絵内】 要石