【一枚目】 天明八申歳 さるのとし正月廿九日あさ      あけ六ツゟやけ さゝや  助左衛門 かなや  利兵衛 まつや  弥兵衛 ふじや  おみつ ますや  源右衛門 いつゝや 庄兵衛 大文じや 治右衛門 万や   かん左衛門 山かたや 嘉兵衛 はせ川  弥三郎 はせ川  与介 大こくや 長右衛門      おいこの 大こくや 源吉 はりまや 久兵衛 さゝや  治兵衛 さゝや  三之介 たわらや 権右衛門  今年卯としまてに  三十弐年かとそんし候【存じ候】 一ほかにもいつけは御さ候【他にも一家は御座候】  これはつきやいはなし【これは付き合いは無し】 右之内いゑたいてんは【家、退転は】 わかさや治郎左衛門けふだい【兄弟】 はかりにて候   右るいやけのとき【類焼けの時】 一そのもととのゝ心ざし  やけ見まいとして 一金子弐両わた入ぬのこ 一白米五斗 一みそ 壱おけ 一かうのもの壱おけ 一さわら十本 一たひいろ〳〵〆【鯛、色々、しめて】  五十壱そく 一おわり大こんの  きりほし 一壱貫目これもさて〳〵  けつかうちやうほうの【結構、重宝の】  しなに御さ候ゆへに  つかうたひ〳〵に【使(つこ)う度々に】  あまりかたしけ【余り忝(かたじけ)】 【二枚目】 のふてありがた なみだこぼして つかい申てくわじ みまいくたされ候て あや徳へもしんぜ【「あや徳(尼僧・僧の名ヵ)」へも進ぜ】 そのほかいつけも すこしづゝしんせ【少しづゝ進ぜ】 とのやうにみな〳〵 よろこひ申され候 なを〳〵いつまても わすれおきわ不申候【忘れ置きは申さず候】 そのせつていきやうが【その節「ていきょう」が】 ひやうきにも【病気にも】 一白銀おひたゝしく  くたされたひ〳〵【下され、度々】  かす〳〵ありがたい【数々、有難い】  事とそんし候【存じ候】  れいつくしかたく候  十七けんの内にて いへたいてんは【家、退転は】 わかさやけふだい はかりにて候 ほかはあといつち申候【他はあと一致申し候】 右やつかいになるほと の事に まつ〳〵壱人も やけし人なく これかありかたい事 一むゑん〳〵ほうかい【無縁〳〵法界】  なむあみたふつ かとのそ【ママ】たけの【*】 やけ人はおひ たゝしく事【焼け人は夥しく事】 此所ゆめになれ候 なむあみたふつ   ていきやう【貞教ヵ、本書状の著者名で尼僧の可能性が高い】  善左衛門との みへまいわかる【見えまい、判る】 まいすいさつで【まい、推察で】 よみくたされ候 【*、京都市内に佐竹の名の町が二箇所ある。上京区佐竹町は今出川通と千本通との角に位置する。】。 【端裏書】 親父様は天明七未年        五月廿五日御誓言大に御仕合 《題: 京洛中大焼節届の次第》 此時に大坂御■へ出■善左衛門廿六才の■