平(たいらの)兼盛(かねもり) 忍(しの)ぶれど  色に   出にけり 我恋(わがこひ)は  ものや   おもふと 人のとふまで 右の哥の心はわれはずいぶんとしの ぶと思ひしに人のふしんして物をお もふかととひけるにつけてそれほどよと ほかにあらはれたる恋のもの ふかき事よさてわが心も今 はしのびよはりたるよと心 の内にうちなげきて いへるなりもつともせつ なるこひぢにしてあは れふかき哥なり        一陽斎         豊国画