地震(ぢしん)火災(くわさい)あくはらひ あゝらでつかいな〳〵今はん今宵(こよひ)の天 災(さい)を神の力て はらひませう十月二日三か日町並お門を詠(なかむ)れは 三国一夜のそのうちに土蔵(とそう)や壁(かへ)の不事の山 かゝるうきめに相生(あひおひ)の松丸太やら杉丸太 錺(かさ)り立たる 諸道具(しよたうく)をお庭外(にはそと)へ持はこひ野宿(のしゅく)する身の苦(く)は 病(やま)ひ五七か雨とふりかゝる瓦(かはら)や石の目にしみて なみたにしめす焼(やけ)原の昼夜ねつはん自身番(しゝんはん)火の 用心や身の用心春ならねとも皆(みな)人の万才楽とうたひそめ かそへたはしらもおれ口のおめてたくなる人の山これも世直し出雲(いつも) から立かへりたる神々のふみかためたる芦(あし)原 皇国(みくに)千代に八千代に要(かなめ)石の 磐(いわほ)となりて苔(こけ)のむすゆるかぬ御代をはゝからす又もやひまをかきつけて ぬらくら物の鯰(なまつ)めかわる〳〵尾 鰭(ひれ)を動(うこ)かさは鹿島(かしま)の神の名代に 此こと触(ふれ)かおさへつけ高麻(たかま)か原をうち越(こし)てみもすそ川へさらり〳〵