芝居繪手本 瞻雪榮鉢樹 中村座 十五 【検索用 芝居絵手本】 【ラベル】 京 38 376 【タイトル】 瞻(もとみし)雪(ゆき)榮(さかへ)鉢(はちの)樹(き) 中村座 【張り紙】 安永七此年顔見せ 【右頁・上】 わかさのぜんじ やすむら【若狭前司・泰村=安村】 純右ヱ門【役者の名前、市川純衛門?】 やす むら 金くわん はくへ【金冠白衣】 を もち 三人を あつこう【悪行?】 する 【右頁・下】 桜井七郎 春蔵【市川春蔵?】 桜井七郎 しやう がいせんと せしを 松ゑたにとゞめ られたがい のかたなを みて きやう だいと しり な のり 合 三人 にて やす むらを さゝ へる 松ゑだ 三郎 紋三郎【尾上?】 梅田の四郎 小山三【中村?】 【左頁・上】 崇尊 しん王 松 代 ぜんじ やすむら 純右ヱ門【市川?】 天しの 御しやう ぞくを ちやくししん 王をてこめ にする 青と 五郎門之介【青砥五郎?/市川門之助?】 かつ山をともない いで安村をさゝへる 【左ページ中、登場人物と役者】 常世母継はし 広右ヱ門 赤ほし太郎 三甫右ヱ門 【左頁・下】 入道 三甫蔵 安 むら が かた を もち あくし をたくむ しん王の なんぎなる 所へいでしん王 をたすけやす むらがちやくせし 金くわんはく ゑをは ぎ とる   【右頁・上】 経世【常世と同一】 はち のきの へんほう にてほん りやうにあんど【本領に安堵】 してさいめうじ【最明寺入道・北条時頼】 につかへる つね世しゆつしの おりからしのびの ものをさゝへ大介 にかたきな□【ら?】ざる ようす をかたる 源左衛門 つね世【登場人物名:佐野源左衛門常世】 幸四郎【役者:松本?】 【右頁・下】 あさはら二郎影かた此御てんへしのび 入つね世にみとがめられこづかを打 たちのくあさわら二郎【登場人物名:浅原二郎】広右衛門【役者:大谷?】 大介しゆじんいぐのぜんじ【伊具前司】か かたきを たづ ねん ため しのび入 しか とうそくに しゆりけんをうたれつねよに さゝへられしゆじんさいこのばにおちありし よろひのそでをしやうこに主人の かたきなりと源左衛門【常世】につめかくる 【左頁・上】 つね世 別 ふくの 弟 さの 源藤太【登場人物:佐野源藤太】 友右衛門【役者:市川?】 まつしたのせんに よりの ししやに きたり しんわうにほつしん させよと いふ けいせい 丹前のかつ山 実は いぐのせんじ【伊具前司】 むすめ なみぎぬ おや のかたきを た つねんため け いせいになり源 左衛門になじみうけ出 されて かたきうちのたよりにせんとする 【左頁・下】 つねよ女ほう白たへ【登場人物】 半四郎【役者:岩井?】ざいしよへ おきざりにあい あとにてうみ おとせしむすめ 玉づさ【玉梓(玉章)】をいだき おつとをしたひ きたりしがおつとの そばに女のいると みて うらみる つね世【登場人物:佐野源左衛門常世】 幸四郎【役者:松本?】 くせものゝ あとを つけきたり かたなの のりを ぬぐい さゝゑる 源藤太 友右衛門【登場人物/役者:大谷?】 あくじをたくみ くらまきれに【暗紛れに】 しんのうを ぬすみ いだし 人しらず てにかけ たちのかん とするを さゝへ られ きり はらふ むね たか しん王【登場人物:崇高親王】 松代【役者名】 常世 幸四郎【前半登場人物名 後半役者名】 りやう人を とゞめ 大介 に主人のいへの たつべきふん じつ【紛失】せしふじ まきのかま【藤巻の鎌】の ありかを たづね出 すべしと いひわかるゝ かつ山里好【登場人物:勝山/役者:中村?】さいぜんゆび をきりしそのちしほおもわじ【その血潮思わじ】 なきなたにかゝりしがちしほの しみしをみてもしやたつ ぬるかたきかとあやしむ 大介三津五郎【登場人物:弓削の大介/役者:坂東三津五郎】かつ山は主人 のむすめなることをしりつね よかたへ来りしようすをきゝ 【左ページ下へ続く】 ものかけへ しのびし がかつ山が ゆひを きりしを おどろき な ぎ な たの ち しほ【この先かすれ多し】 を ふけ【拭け】 共 お ち ず □□しを【しみしを?】 みて扨 は此なき なたにて 主人を うちしことの ちしほとゞ まりおやこ ゆへちしほ 一つになり し は 【血潮がしみる事で親兄弟を判別する話はこの時代の物語によく出てくる話だそうで、有名どころでは『南総里見八犬伝』で父親の髑髏に息子の血を受けて髑髏が血を吸い取ることで真の親子と判別する話がある(ただし八犬伝は本書より後年の作品)】 【本書よりも前では天和二年の『新語園』に同様の話があるとのこと。】 【『新語園』などでは親の骨が子の血を吸うという話になっているが、骨は生きている時は本人の血が通っていたものだから、血に血をそそいでひとつになるのは親子という理屈。】 【挿し絵】 つねよけい母つきはし【登場人物:常世継母・継橋】 広右衛門【役者:大谷?】 □□□□ かたきは つきは しなりと つめかくる 【勝山はいぐのぜんじの娘で親の仇を探している。大介は主君の仇を探している(ともに4コマに記述あり)。勝山の血がなぎなたに染みて拭いてもとれないということは、そのなぎなたは勝山の親の血を吸っているということになる。大介はつきはしが主君の仇(勝山の仇でもある)であることに気づく。】 【右ページ本文】 さいめうじ【最明寺】□□よりのちよくし【勅使】をゑちごの守 光時【北条光時?】とみあらわし【見顕し】上使のおもむきは くわんばくの姫をやうし【養子】にせしはせい てうののち【成長の後】しんわう【親王】とめやわせ むほんのねさしありとうたがい かゝりやうし せし【養子せし】あや こ ひめの くび をうつべしとの じやういさしあたりなんたいゆへ 何とせんとつねよにとひ 梅さくら松のもしをもつて【茂しを以て?】 占をひきみる【?】【本文は二行飛ばしたところへ続く】 さいめうし時頼入道四郎十郎【登場人物:最明寺時頼/役者:山科四郎十郎】 源藤太 友右衛門【登場人物/役者:市川友右衛門?】 つねよいつれをきらんと とうわくしひめになそらへし □木【桜木?】をきりみかわりを たてんとおもふ 【右ページ下、登場人物名と役者名】 つきはし【登場人物:継橋(常世の継母)】 純右衛門【役者】 源左衛門 つね世【登場人物:佐野源左衛門常世】 幸四郎【役者】 【左ページ本文】 つねよ幸四郎わがこたまつさ【わが子玉梓(玉章)】 をあやこ姫の 身がわりにせんと したひ来りし 女ぼうにわざと【?】 つれなくあたり むほんにんあさ はらが いもと なることを しりりゑん しやうをわたし のちにりゑん もまぢかいを【?】 みてまこと をあかし しうたん【愁嘆】 する しろたへわかみを くやみじかい【自害】 してみがはり のやうすを きゝおつとの こゝろざし を よろこび さいど【済度?西土?いずれにしても死んだということ】 しろたへ 半四郎【登場人物名/役者名】 実は あさ原 妹 【左ページ左上、衝立の左】 □長□ 松永忠五郎【長唄唄方】 めりやすうきの夕べ【?】大てき〳〵 新五左衛門伝五郎【前半登場人物名/後半役者:早川伝五郎?】 源藤太にたの まれしを はくしやう【白状?】 する めのと八重 桜【登場人物名】 しげ八【役者:岩井?】 むね たか しん王【登場人物名】 吉次【役者:瀬川?ほんものの親王を演じた役者。松代が演じたのは影武者か?】 大でき〳〵【芝居がうまくいったという称賛】 秋田主馬之介【? 登場人物名】 こま蔵【役者名、市川高麗蔵?】 源左衛門つねよ【登場人物名:常世】 幸四郎【役者:松本幸四郎?】 さいめうし時より【最明寺時頼】 四郎十郎【山科四郎十郎】つねよか ちうしんにてふんしつ のはうけんをとりへ【て?】 よろこひ給ふ あをと五郎門之介【登場人物名/役者名】 あしかる高岡清右衛門□蔵【登場人物名/役者名:宗蔵? 宇蔵?】 やつこ さふ 六【登場人物】 八蔵【役者:藤川八蔵?】 【右ページ右端中ほど】 あかほし太郎【登場人物名】 【右ページ下】 三甫右衛門【役者名:中島三甫右衛門?】ほうけんのとうぞく を引立 きたる つぎはし 広右衛門 つねよにあつこうしておや このゑんを切つねよが よろひのかた袖をぬすみ【盗み?】 いぐのせんじをうちしをつね よになすらんとせし【罪をなする?】 ことあらわれ【露見して、の意】 む ねん がる【無念がる】 【左ページ】 つねよ【横棒は汚れか】玉つさを あやこひめのみかはりに たてくひをわたして 上しのみつ ときを かへし 源藤太か悪 しをあらわし おやこのゑんをきりしと きいてつきはしかたくみ【企み、工み】 をあらわす源藤太つき はしと心をあわせ四てう【?】 のおちとをこしらへつね よをつみにおとさんと せしかへつてたく みをあ らわれ まことのしん おうをみておと ろきいふく大小【刀?】をはかれおいはら               はるゝ 【左ページ右下】 源藤太【登場人物】 友右衛門【役者】 【枠内】なつの部 つきはし広右衛門【登場人物/役者】いくのせんし【伊具前司】をうちし事あらわれなみきぬ とせうふ【勝負】してさころもを かへりうちにしてなみきぬに てをおらせうち とめん とせし ところ にかみ なり にお それ うた るゝ みつとき□蔵【登場人物/役者:沢蔵?】 みつとき松へ【え?】た三郎両人 ときよりのおゝせを□けんし なみきぬに ちからをつける 松枝三郎紋三郎【登場人物/役者】 なみきぬ【登場人物】 里好【役者】てをいなから つきはしを しとめ父のかたきを 打 父のいへにつたはり【る?】一くわんを 【なみきぬの足下へつづく】 取 かへ し よ ろ こふ 大介妹さころも富五郎【登場人物/役者:吾妻富五郎】 【左ページ枠内】あきの部 大介【登場人物:弓削の大介】 あゐのゝ 介【役者:片岡愛之助だとすれば踊り字が余分】 大くらの いなり へしん くわん【心願】 あつてさん ろう【参籠】する 此所浄留利【?】にて せり出し はなやか 大てき〳〵【大出来〳〵】 二かいどうしなの介【登場人物:二階堂信濃介(信濃之介)】 門之介【役者】 大くらの小女郎 きつね【登場人物:大倉の小女郎狐】 半四郎【役者】 ゆげ大助【登場人物:弓削の大介】 三つ五郎【役者:坂東三津五郎】 【秋の部は上段に「大介/あゐのゝ介(あゐの介?)ともあるのでダブルキャストだったか途中で交替したのかもしれない】 【三味線方】 名見崎 徳次【富本節の三味線方、名見崎徳治】 【浄瑠璃太夫】 富本豊前太夫 同斎宮太夫 同富太夫 上るり 色時雨紅葉玉籬(いろしくれもみぢのたまかき) 大くらのふうふぎつね いなりのしんぜんにこめ ありし八ゑがきのみかま【5コマではふじまきのかま(藤巻の鎌)】 ふんじつ【紛失】ゆへめうふのくわんを【命婦の官を】 とられみかまをたづね いたさんと心をくだく あかほし妹秋しの【登場人物】 久米次郎【役者】 万作狐【登場人物】 三つ五郎【役者】 すがた を かへて 信濃介 がなん ぎを す くう 信濃の 介【登場人物:二階堂信濃之介】 門之介【役者】 小女郎狐半四郎【登場人物/役者】 ふうふ ぎつね しなのゝ 介に めい 玉 を あた ゑら れ もと の ふるすへ かへらんとよろこぶ 万作狐【登場人物】 三つ五郎【役者】 小女郎狐半四郎【登場人物/役者】 利根蔵【役者?】 入道三甫蔵【登場人物/役者】 伝五郎【役者?】 大右衛門【役者?】 入道がけらい ともみちし【?】 きつねに ばかさるゝ 【左ページ】 ひわた 御せん ぼうこん【登場人物:檜皮御前亡魂】 三甫右衛門門【役者:ひわた御前役】 時よりに うらみをな さんといふ 秋田城之介【? 登場人物】 幸四郎【? 役者】 是より 第二はんめのはしまり 【秋田……之介と読める登場人物は春の部7コマにも出てくる。春の部ではこま蔵が演じていた。】 あをと五郎門之介【登場人物:青砥五郎/役者】 つまもりのうちと あやしみあらそひ はた 引だす【?】 かとう【?】 之介 こま蔵【役者】 【虎に座っている】 しなのゝ介【登場人物:信濃之介】 門之介【役者】時より【時頼】の 仰をうけ孫三郎に 天下のせいとう をたのまんため のしやしや にきたり かへりをまち うける あをとむらの浪人【?】 あを戸孫三郎ゆき みにいできやくのある しらせのうぐいすの こへを きゝ 立 かへり しばら く あつて しなのゝ介に たいめんしてやうす をきゝもろこしのこじを引のちまでに          こおらいのけん【?】とらせんといふ 【『歌舞伎年表』によれば「もろこしのこじ」とは許由の故事で、帝位をゆずると聞かされ汚れたといって川で耳を洗ったこと。信濃之介は時頼(最明寺入道)の命で孫三郎をスカウトに来るが、許由の故事をひいて琴の音を流れにみたてて耳を洗った(断った)と言う。「こおらいのけん」と見えるものにつていは記述なし。】 □□□□郎【かすれている 登場人物:あをと孫三郎?】 幸四郎【役者】 孫三郎女房 おかゑ【伊原敏郎『歌舞伎年表・第四巻』には尾上(おのえ)とある】 実は しなのゝ介 あね やどり木【登場人物名】 あやめ【役者名:芳澤あやめ(芳澤崎之助)】 【左ページ枠内】冬の部 青と村の 庄や甚左衛門実は 【庄屋の名前は『歌舞伎年表』に小左衛門とある】 浅原八郎【次郎? 春の部には浅原二郎とある。登場人物名】 三甫右衛門【役者名、おそらく中島三甫右衛門】 庄や弥惣 左衛門ふう ふをせ わ に して 孫三郎も二りのへ やうつりさせる【孫三郎も二人の部屋移りさせる】 あをと村 浪人【?】くまがへ 弥惣左衛門 実は万作 ぎつね【登場人物】 三つ五郎【役者:坂東三津五郎】 弥惣左衛門女房おたま実は小女郎狐【登場人物】 半四郎【役者】 はしばの ぜん  □□ □□ 弥惣左衛門女房 お玉 半四郎 庄屋 甚左衛門 孫三郎 にやち んの さいそくして ふうふけんくわ をとりさへる【?】 三甫右衛門 甚左衛門孫三郎が 二かいへやか はりしてやき もちけんくわ してさり状 をかく 孫三郎女房 おかゑ【登場人物】 あやめ【役者:芳澤崎之助と同一】 【右ページ下】 孫三郎女房おかゑふう ふをなためお玉おつとの よりそいしをみてりんきし ふうふけんくわするを庄屋 □□左衛門【弥惣左衛門?】二かいよりおりたがいに【?】 女房をとつかへる【?】 孫三郎【登場人物:青砥孫三郎】 幸四郎【役者】 【左ページ】 女房おかゑ【登場人物】 あやめ【役者】 源藤太【登場人物】 友右衛門【役者】 かまくらをおひはらはれ 此所へまよひ来り したのやうすを みてあやしむ 弥惣左衛門【登場人物】 三つ五郎【役者】 【左ページ下】 孫三郎幸四郎【登場人物/役者】小女郎がてい をあやしむ にかいよりおちしあづきがゆに ねづみのつきしをみてしやうをあらわす 小女郎 狐(きつね)半四郎  大でき〳〵 大あたり〳〵 弥惣左衛門源藤太を よひかへしいちやの やどをかしちそう して にしきの ふくろ を み と がめ る 【枠内】 《割書:狂言|作者》桜田治助 清長画