天保三年來朝   琉球人行列記 于時天保三年 辰十月来朝 御免   薩州御出入方      《割書:取次   伏見箱屋町》       判元 丹波屋新左ヱ門         《割書:同下板橋》          兼春市之焏         《割書:寺町通錦小路上ル》     京都書林 菱屋弥兵衛  來朝之次第 慶安二年九月 承應二年九月 寛文十一年七月 天和元年十一月 正德四年十一月 享保三年八月 寛延元年十一月 宝暦二年十月 明和元年九月 寛政二年十一月 寛政八年十月 文化三年十月 天保三年十月 【下段横書き】 琉球船 【右頁】 松平薩摩守殿家老嶋津但馬高三万八千石 行列附 【右上からジグザグに】 【○に一】先払ひ 二人 鉄鉋【砲の誤りか】 十梃 弓 十張 挟箱 手代リ二人 二个 鎗 手代リ二人 二本 中鎗 手代リ 一本 立傘 台傘 徒士 十人 刀筒 二人 長刀 人数上下合一万人余人足二千人 馬八百匹   こゝに出す所は其大概の行列なり 【左頁】 【右上からジグザグに】 旗竿 長柄 十筋 馬口取二人 道具奉行 若党 騎馬 傘 鎗 合羽篭 二人 先馬 柄杓持一人 具足櫃 手弓 二張 小姓九人 野袴着 籠 籠ノ廻り数十人 籠ノ者数十人 鎗 傘 長柄 挟箱 二人 䉴箱 茶弁当 茶坊主一人 二人 引馬 一人 押 中山王正副二使行列 楽器箱 一  但し金泥にて楽  器の二字あり  長持の形ち也 書翰箱 二  但し地黒に  白字の織物也     コノ形ち也 鞭(ヘエン) 二人  制棒也大竹長サ一丈許  り末の方二ツ割半ヨリ  持所迠凡く惣朱ぬり也 牌(ハイ) 二行  板朱ぬり文字金泥  一ハ謝恩使 一ハ中山王  府とかく 張旗(チヤンキイ)  金皷の二字をかく  二人もち也 銅鑼(ハンラウ) 両班 嗩吶(ツオル) 二行 唎叭(チヤルメル) 銅角(トンコヱ) 皷 二行 以上銅鑼ヨリ以下楽人也 虎旗(フウキ)  虎ヲ画ク 三司宦(サンスクワン)  国王の書翰を持す騎上  にて音に書しの箱をつける  かの国の三公の其一なり 冷傘(レンサン)  但ひぢりめん  にて二重にかざる 龍刀(ロントウ)  青龍刀也 正使使賛 与儀覇(ヨギハ)親雲上(バイキン)      玉城(タマグスク)親雲上(バイキン)  トモビトノコト【?】也  跟伴(コンハン)【左にフリガナ】数人 轎(キヤウ)乃正使 豊見城(トミグスク)王子(ワウジ)  但シ唐の衣冠也  跟伴数人 沓持もあり 立傘(リウサン)  但金糸の如きものにて  かざる 鎗(ツヤン) 正使々賛 譜久山(フクヤマ)親雲(バイキン)上      読谷山(ヨンタンサン)親雲上      真栄平(マエヒラ)親雲上 讃議官 普天間(フテマ)親雲上  馬上なり  琉球附の役人也ば【?】琉球の服也 鎗(ツヤン) 楽童子(ガクドウシ)六人 登川(ノボリカハ)里之子(サトノシ) 宇地原(ウチハル)里之子       譜久村(フクムラ)里之子 富永(トミナガ)里之子  各馬上也       濱元(ハマモト)里之子 小録(オロク)里之子 至て美少年也  これ大かたは美少年なり十四歳より十六才迠唐織のかぎり  なき美服にてすへて花/笄(カンザシ)をいたゞき琉球高貴の人の若との也  雲上にて楽をつとむわけて音律にくわしく皆能書にし  舞かたはら詩哥をよくす 楽師 冨山(トミヤマ)親雲上 池城(イケグスク)親雲上 具志川(クシカハ)親雲上    内間(ウチマ)親雲上 城間(グスクマ)親雲上 楽正 伊舎堂(イシヤダウ)親雲上  馬上なり 冷傘 龍刀 副使 沢紙(タクシ)【岻の誤り?】親方(オヤカタ)  カゴに乗る日本の籠也  但し唐の衣冠なり 副使々賛 與古田(ヨコタ)親雲上      小波蔵(コバクラ)親雲上 傘 沓持 鎗 議衛正(ギエシヨウ) 儀間(ギマ)親雲上 跟伴数人  琉求の服也  馬上なり 路次楽奉行也 掌翰使(シヨカンシ) 与那覇(ヨナハ)親雲上  祐筆也 馬上なり 賛渡使(サントス) 宮里(ミヤザト)親雲上 瀬名波(セナハ)親雲上 比嘉(ヒカ)親雲上     徳田(トクダ)親雲上 浦嵜(ウラザキ)親雲上     許田(キヨダ)親雲上 佐久川(サクカハ)親雲上 医師 跟伴数十人  琉球の衣冠也 日本の籠に【?】のる 讃議官従者 楽正従者 正使ノ小性【姓の誤り?】 四人  美少年也 路次楽人  此外数多あれとも略すこれはその大略なり上下  都合二百人なり  上中下官ともに印篭も■■さべるなり■■朝  鮮の製に同し是も■用ひたるなり 音楽  太平調(タヒヒンチヤウ) 舞人七人  桃花源(トウフアヽエン) 同七人  不老仙(フウスセン) 同七人  楊香(ヤンヒヤン)  明楽ナリ 同二人  寿尊翁(ヂユツフンオン) 清楽也  同二人  長生苑(チヤンスエン) 舞人七人  芷蘭香(ツウオンヒヤウ) 同七人  寿星老(シウスインラウ) 明楽ナリ 同七人  正月(チンイヱン)  清楽也  同七人 楽は道中宿に出立の折または日中行列の中亦宿着等 の節にもなす事あり舞は席上にてのことなり路頭 にてはなし 【上段】 道中駅路割 宿  休 伏見 勧修寺村 大津 守山 武佐 高宮 番場 今須 垂井 墨俣 稲葉 宮 岡崎 大浜 御油 吉田 二川 新居 舞坂 浜松 袋井 日坂 島田 岡部 府中 奥津 蒲原 原 三嶋 箱根 小田原 平塚 藤沢 程ヶ谷 川嵜 品川 江戸 【下段】 一琉球国より江戸迠   七百拾壱里余 一琉球より薩州麑島迠   三百里 一かご嶋より大坂迠   弐百七十六里余 一大坂より江戸迠   百三十五里 ○中山王より之献上物あ また有しとも今略す ○諸大名より之御馳走 人数あまたあれとも略ス 琉球ことは 【上段】 日を てだがなし 月を つきがなし 火を まつ 水を みづ 男を ゑんが 女を おなご 朝飯を ねーえさる 昼飯を あせ 夕飯を ゆうはえ 【下段】 簪を ぎば    三弦を さんしそ 艸履を さば   下駄を あんじや いやじやといふ事を ばあ かあいそふなを きもつちやげな 物をほむる時 きよらさといふ詞あり  たとへは美男をきよらゑんがと云か如し うそつく人わるき人を へんげもん 遊女を ぞりと云故にゆう里を  ぞりや又ぞりみせなど云なり