《割書:岐阜|市街》大地震之圖 縣廳 明治廿四年《割書:十一月 日印刷|十一月 日出版》 日本バシ區馬喰丁 二丁目十一バンチ 《割書:印刷兼|発行人》澤久治郎 【裏】 0011841996-1 東京大學圖書之印 今明治廿四年十月廿八日 暁天(あかつき) 午前六時二十分の地震(ししん)は別(わけ) て岐阜(ぎふ)名古(なこや)屋 大垣(おほがき)地方(ちほう)は 劇烈(げきれつ)なる地震(ししん)にて震動(しんどふ) はけしく地(ぢ)さけ家倒(いへたおれ) れ死人(しにん)何数人(なんまんにん)なるをしらべ 兼(かね)る程(ほど)にて且(かつ)出火(しつか)有(あ)り 水災(すいさい)をこふむる有(あり)て実(じつ)に 前代未聞(せんだいみもん)の事なりける 先(まづ)家(いへ)倒(たお)れ半身(はんしん)家(いへ)にひ しがれ出ることならず其傍(そのかたはら) より火(ひ)うつりて生(いき)ながら 焼(や)け死(し)したり又は地(ぢ)さげ て半身(はんしん)地(ち)にうづもりて死(しし)た るありて不便(ふびん)といふもおろ かなり進行(しんこう)の汽車(きしや)轉動(てんどう) 常なず乗客(でうきやく)ふしんに思ふ 折(おり)進行(しんこふ)をとゝむるや否(いな)や 【裏】 0011841996-2 東京大學圖書之印 前后(せんこ)の山 崩(くづ)れて進退(しんたい)する 能(あた)はず乗客(ぜうきやく)終日(しうじつ)車中居(しやちうにい) て食(しよく)を求(もとむ)る事(こと)叶(かな)わず各(めい) 各(めい)下車(げしや)して獨歩(どつぽ)して 行(ゆく)の不便(ふびん)にあひたりける 猶(なほ)近縣(きんけん)近江(おふみ)方(ちほう)にもつぶれ 家(や)有りける其(その)実況(じつけう)をう つしてこゝにしるす 【裏】 0011841996-3 東京大學圖書之印