天明元丑 は   化物よつき鉢の木□ 化物世継の鉢木《割書:可笑作|清長画》五冊合 【国会図書館登録タイトル「化物一代記」】 □くあいにたるばけものつくし おこさまがたもよう御そんじ いつてもおや玉はみこし入道なりしかれ どもいづくいかなる地のことと いふ事をしらず又うまれ ながらのほうずにても あるまじとそのゆいしよを きゝいたせし□□ゑち このくにの大ほうす□ とつとせんねんすぎ さりそのこみこしの 介とてかほはおそ ろしけれども かみはいき ちよん【粋ちょん】にていづれも 人げんにかはる 事なし女房はおろくとてうつくしき ものなりすねんなるむつましくくら せしがこのなきをかなしみゑんおり【?】を いのりしかいあつてみこもりはや十つき になりぬ とうぞはやく みふたつに なりとふ ござんす いますこしの事 ずいぶんくびを のはさぬやうに しやれちづな【?】か きれるけな おゝとかくみもちか 大せつさ ほかへおいで なさる なら く□□□の □□□ □□□□ □いて なさん せん いしや やぶうち いちがん【一丸?】 くすりを てうがうする【調合する】 御さたはない ことちとけうな【こと、ちと希有な】 うまれでござり ます □□とが【かすれている】 大じてござる まあ おさんふへは【御産婦?】 さたなし〳〵 【右ページ下】 時きたりておろくも あんざんしたまのやう なるにんげんのなんしを もうけみこしの介【見越入道の名前?】 大きにおとろく いへ〳〵ない事 でもござり ませぬちかい ころにんげんの くに□にむすめ もこざりました とり あげ きもを つぶす おや〳〵 □□□□【ページの隙間にて見えず】 からぬ おこしや 【左ページ】 おろくにんげんを うみしときく おもわずくびを のばし ちのみち【血の道】を おこす おろくもほどなく七やにて めでたくいわゐよふけ ければちつけ【?】うぶめも やす みて み こし の介たゞ ひとり よ とぎ し てくすりなぞせんじ つくりしが此ほどのつかれにて とろ〳〵とまどろみしうちに かみをみだせしいじんゆめ まくらにたち給ふ うぶめも 此ほどのつかれ ぜんごしらず ねいる ぜんざい〳〵 われはこれしよ ばけ物のうふすな やまのかみなり われ まもりてまづへい□んはさま【た?】し はゝのたしなみつらくみこもりて よりいちどもくひをのはさぬゆへ そのすがたにんげんのことしこれによつて まちがいにて人のたましい入たりくやんでかへらぬ 事いんぐわとあきらめとてもはけものゝ こ□【に?】は大きな かたはなれば そう〳〵 山へ なり とも すて べし かならす〳〵 うたがふ事 なかれ とろ〳〵〳〵〳〵【どろどろどろどろ?】 それよりみこしの介は山のかみの 御つげにて女ぼうへもとくしんさせそう〳〵 わがこをいだき□【山?】おくふかくわけ入ふびん ながらすておきかへる□にゆきしき りにふりきたりければ□□きやかけの ことくさもうつくしき女むかふよりきたる ゆへみこしの介おもふよう はけものなかまの きつねたぬきのわれをしらぬといふ事は あるまじいかなる女なりともわれをたぶら かさんとはにつくきやつとだん〳〵ちか よりみ ればかねてばけ 物なか まのわかい ものども か ひやう ばん せし はこ入 むすめ のゆき 女なり 【下へ】 みこし はおゆ□【き?】 ときが つくと ながい□ひ【長い首?】 すじ も□□ ぞつと する ほど ほれこみ なにとぞ てに入ん と あ □なし ける【?】 よびかけ られて わたりに ふねと てにてをとり いちがのなかれ もたしやうの ゑんとか□□□ みはたしか とうふうの ニだんめの【「小野道風青柳硯」二段目】 くちに あつた 【左ページ】 □□……【ページの隙間で読めず】さんこの さむいのにたゞおひとり まあわたしがかくれがへおいで なさんせ さても みこし の介は さりし よ【夜?】お雪 がかたへ たちより【お雪が方へ立ち寄り】 たかいに おもひの た けをあかし そのあとははけ物の ことなれば何 をしたかしらず ちん〳〵かものなかと なりてそのゝち よごとにかよひ たのしみけるこの ゆき女いつもまつ しろかとおもへば そうではなし ゆきのふら ぬときは やつ はり人げんのやう で□つくらい事 はまむらやも【浜村屋=歌舞伎役者の屋号?】 はだしなり みこしはこよひ もきたり れいのごとく いちやつきける またおろくは おつとのまいよ いつく ともなく いでゝあさかへるを ふしぎ におもひ からだは うちにるすをまもり くびはかりひそかに あとをしたひ此やうすをみて さてはとおどろきしがこゝろに おさめたちかえるくびばかり なればじゆふな事なり 【見越之介と雪女の会話、かすれ多し】 たれはゝからず【誰かばからず】こういふ たのしみが□□にも あろ□ もつとこつちへ よりかけい〳〵 もしへさゝが【?】すぎやんしよ みこしの介はよあけぬうちなにくわぬかほ にてかへりしを女ぼうおろくとうはだん〳〵うらみ をいふもしわたしかりんきはしまいしおかくし なさんしてまいよ〳〵うちをあけておいでな されはわたしはくびをながくみちかそ【く?】して よのあけるまでまつていますいつそゝれより おゆきさんもひとりみなりまたおとこの めかけてかけ はあるならい てんしに十二人【天子に十二人】 とやうばけ物 にもひとり ばかりはあり うちいつてうちへ 入てくださんすりや わたしもちからになつて よふござんす そうでられては 一ごんも なかばし 〳〵【一言もないのなから中橋につなげる洒落か?】 【左ページ】 《割書:猨山先生書|勝川春章画》錦摺(にしきすり)三十六 歌仙(かせん)《割書:先年| 出板》 【猨山先生=猨山周暁】 錦摺(にしきすり) 女(をんな) 三十六 歌仙(かせん)箱入《割書:細井鳥文斎栄之画|花形門人幼女寄合書》 《割書:錦摺|画尽》海(うみ)の幸(さち) 魚つくし生写し 発句なり みこしは つみかくせし こひぢも おろくがくびに みつけられ もつけのさい わいとうちへ よびよせこゝ ろのまゝに たのしむ 【ここから台詞か】 なにさまたいやみをいふよ あのかゝあはつねはゑゝがおりふし くびのでる□ ぐつとあいそうだ おれが ことは たなへ あけ て おく と おもやるか また おとこは かくべつさ 【下へ】 こうしてまいれはいつしやうつれそう にやうほうもとうせん【女房も同然】おろくさま ほとにこそ おもわんせす とかはへい【?】 かつて下 さんせ あるときおろく おゆきつれ〳〵 のあまりすごろくをうちける□ふたりともにとろ〳〵とねいりしが つね〳〵たがいにか□【ほ?】へはなかよくうつくしけれどもないしんに ねたみつよくふたりのものゝかみのけさかたちあらそふあり さまばけ ものゝめにもおそろしかりける みこしの介このていをみて【?】はじめてこゝろづきさても 女はないしん やしやのことく とは いま はじ めて さとつ たり われな がら□ まよふこり 〳〵とこれより ぶつどうにいり ふたつには 【左ページへ】 □□□ なからもせがれが ゆくへもたづねたしと われとわがくろかみ をきりはらい ふたりへかたみ にのこしおき ほつしんしていへを いでしよこく あん きやと心 さしける これよりして みこし入道 となり うきよを さとり しよ〳〵にて もしや わがこか とおもへば うしろよりくびをのばし 人をみこせしゆへあそこへもこゝへも 見こし入道がでるとおそれける こゝに又ばけ物のうちにても こゝろよからぬわるものおこさま かたもごそんじのもゝんくわといふ ものさんぬるころ人げんのこを ひろい六七ねんそだてゝやま しどもとそうだんする あゝやすいものだかつて おけ〳〵しやん〳〵〳〵 かほ□【か?】あぶらなめ いろ〳〵ちそうする 山しねこまた いろ〳〵といひて 三十五両に【数字が不鮮明】 かいとる しろものか めつらしい からふみこんで かいます 三十両て □【う?】ち給へ それ より人げん□【の?】 こはねこまたが て□【に?】わたり山しなかま あをさぎきつねたぬきの□いと そうだんのうへすこしはかりげいをしこみ大さる下り 人げんのこといふのぼりをたてしんやにおよびりやう ごくひろかうじに おいてみせ 物にいたし 大きにあたし まる【?】みこし 入道この 所を とをり かゝり もし や わが こかと くびはかり よし づば り【葦簀張り】より うち はいり みる 【見越しの首の下】 とんたものだ みこし入道はわがこに ちがひなければなみたを うかめすぎしこしかたのことを おもひ出しおどりもみずに しほ〳〵とかへる なみだを ふきたいにもてはきどの そとにおいてきたからしかたか ないかへりませう とうさい〳〵此たび人【大?】さる下り 人げんのこあまりめつらしき ものゆへかれかこりを□【囲り置き?】 めしつかはさんと そんしおめにかけまする 一とをりにておなくさみも うすふ【薄ふ?】ござりますれは すこしばかり□□あわせ ましてししよこと【所作事】をあい つとめまするまつはおどり のはしまり〳〵 御けんふつさまがた ふるいとうみや【堂宮】のゑん の下へおかへりなされ 御ひやうはんのほど ひとへにねかいたて まつります 【右ページ挿し絵内台詞】 こいつは さとい ものだ なんの いん ぐわて あやう なもの を うんだ やら さてもみこし入道は 両こくにての事いろ〳〵思い つゞけけるが日にましよに ましみせ物はんしやう しよのあけるまで ばけ物くんじゆせしゆへあまり ふびんにおもひ入金子をいだし ねこまたよりわがこをかい もどしだん〳〵といんくわのもの かたりをしてはや□□ がことそのみのほつしん のわけをいひきかせ そのほうも 人げんにうまれし がう【業】をめつせんと かみをおろさせ うまれつき たる人 けんは く やんで かはらす せめて はしゆかけ【?】 して のちの よには ばけ物にも うまれよと きやう くんして ほど ちかき 山でら どうらくし【道楽寺】 といふ人げん のおしやうを たのみでし となしそのみは又しよこく とめぐらんといへをいでし わたくしがやうな いんぐわな ものはござり ませぬ それよりみこし入道がこはとしへて 道楽寺のぢうじとなり はじめはしゆつけけんごに【初めは出家堅固に】 つとめしがどうでも ばけものゝたね とてのちには め□□□ひを □□□□□せう と□□あるひは い□とばけて □□けるどうか此しそんは □だいふありそうな事なり もし【?】だんないそぎやした一つ おのませなされませ □□くみたんなもつうたは 今どきやぼとばけ物は ねへのさ ねへだんな やぼはゑゝが ばけ物とは きにかゝる 《割書:書用|普通》手紙之文言(てがみのもんごん)《割書:十返舎一九著|中本全一冊》 世に行事の書用案文数多ありといへ共平生日用の 事に洩たるも少からず依て今是を増益し且不仁不 義の人或は酒色におぼるゝ人え遣す異【?】見状等をこと〴〵 あらはし児童の為に両かなをつけて手本とす 《割書:状通|便利》懐中案紙(くはいちうあんし)同作両面摺折本 四民平生入用の状通案文并手形諸□文残らず記【?】 且尊卑の差別時候の次第連名の書やう封じめ□【?】 高下目録折紙等のしたゝめ方他本にのせざるをあらため しかす猶懐中折本たるをもつて旅行或は他所へ出て□ 時の弁利すみ【?】やかに用たれり 【…左ページまだ不十分です】 東都書林 永寿堂  《割書:馬食町二丁目南角|西村屋与八梓》 扨もばけ物のおや だまみこし入道はさき だつて世をみかぎり てしよこくしゆぎやう に出しよりかしらを おさへるばけ物もなく はなはだばけ物のふう ぎ【風儀】もわるくなりばけ 物どもより合そうだん □□□ なかにも かはなら【妖怪の名?】いふよふ【言ふよふ?】みこし 入道のおとしだねありし がはゝのろくろくびたし なみよく人げんをうみ て今人けんとなりて とうらくしのぢうじ みつどう【住持の名前】を□□□□ これをすくあて【?】 みこしのいへをそう ぞくしてらにさだめ んといふ【相続し寺に定めんといふ】 【下へ】 うみぼうず なるほど かしらが なくて もすま ぬ きん ねんは ばけ ならいども が人をおど してものどり をすることもある げな【?】 さん〳〵 わるいふう になり ました こゝにどうらくじ のぢうじみつどう はしゆつけの【は、出家の】 あるましき けいせいくるひ【傾城狂い】に うちこみ おやみこし入道 はいづこにゐる ことやらおやの こともうちわす れあるひは ふか川又は ほつこく【吉原のこと】 がよひ□【と?】 つきひを おくり たのしみ ける 【入り口近くの女】 ちつとあげ もみらんしやう【?】 【ちょんまげの男の下】 おまへ がたも なんた な おでわ【?】 でも ひき なさへ な 【僧侶のとなりで鼠を見せる女】 此ねづみを みなんし いつそ□□【よく?】 なしみんした【馴染みんした(よく慣れました)】 【僧侶(みつどう)】 とれめは【どれ、目は】 あかいな 【左端の女、かすれている】 すか つ□ □□や さんの □た ふちも □□□ □の□ろは よくて□ □へで 【下の女、後半かすれている】 おい らん の ちつ と お かし なへ □ □ みつとうはとう かんかへても ぼうすを 大事にするは【?】 みなこの とし□もひ それより しな川へ ばかり かよひ 井出野と いふ女に はまり あけくれ かよひ ける 【下へ】 ほくちはその ひなわばこの ひき出しにござんす たはこを あかり やせんか なんとまた こうみた【?】 ところは こまつた ものでは ない□□【ゑゝ?】 【左ページ、つぶれている】 高輪【?】より □の 景色【?】 みつとうはよひ よつあそひて 九つすぎにとこに 入いつもの通り いろ〳〵と 【ここから】 はなし なと して □□□ とね 入しが いてのは そつと おきな 【ここまで別の摺りにて補いました】 おりみつ どうが はなに てをあて ねいき を□んかへ【考へ?】 ひやう ぶの そとへ いでしか みつとう はねいり たるふりにて そつとのそき みるに今 まてうつくしき かほかたち さもすさましき ふるねこの すがたを あらはしそはに ありしゑひ【海老】を からともに かり〳〵と してやるを みて大き におとろく 【右ページ、みつどうの台詞】 やれおそろしい □□□はならふ さ□た □□な みた なんてもしらぬ ふりて とい【?】 おうて やろふ いでのはとこへ入てみつにとろどう【?】めさたる ゆへぬしあなんぞみなんしたかといふかほつき のうつくしさいまのねことはへつかしらぬと おもふほかなりい□なにもみは せぬかこれほどならんでくるふ なにもかくすことは□□【ねへ?】おれが みのうへもはなすからてめへも みのうへを はなしてきか しやとあやなす【?】 おれはせんたい 人けんてはなく みこし入道といふ はけものゝ子たか つい人げんにうまれ そこなつたから さいわいと女郎でもかつてあそぶ のさ ぬしかとうありて はなしなんすからはわたしも つつまずにはなしんせうわたしか おやはゐでの山に化ねこといふ【?】 ふるねこなりしがそのむ□□【かし?】 あたをなしついに かりうとのてに かゝりむなしく なりそのときは □□わたくしは つめもかくさぬ【爪も隠さぬ】 しぶんそれより【時分、それより】 たん〳〵 せいじんして なにとぞふた またのいへを【二又の家を】 そうぞくせんと ちかきころより 御てん山にすまひ □□なししゆ きやうのため【修業のため】 このところにて 人をばかしんす おまへもそういふ みのうへならば どうぞすこしづゝ ばけならつて【化け習って】 おやごみこしのいへを ふたたびおこしなんすが こう〳〵 といふもの かならず わるく きゝなん すなへ みつどうは □ぶき ねこが いけんにて やう〳〵 いま きが つき なるほど ばけ物 のこに うまれ ながら 女郎 ばかり かつ て あ すん で も つまらぬとおもひ どうらくしのあとを でしのうちへゆつり あてどもなくいでゝ ゆく どうぞ ちつといく【?】 ばけてみたひものだ そしておやじも まめでいられる か□【こ?】れもたつね たいものだがちつとは ばけならいましたと いわねばどふもめん ぼくもない 【上段】 絵本 《割書:白井権八(しらいごんはち)|□□□□》名高江戸紫(なたかきえとむらさき) 全二冊 同 《割書:管(かん)|家》天神御一代記(てんしんごいちだいき) 全二冊 同 曽我 一代記(いちだいき) 全二冊 同 忠臣金短冊(ちうしんこがねのたんさく) 全二冊 画本(ゑほん)讃怪興(さんくわいきやう)全二冊       見立化物つくし 【下段】 同 《割書:宇治(うぢ)|猿橋(さるはし)》由井浜昼夜物語(ゆゐがはまちうやものがたり) 全二冊 同 頼光山入酒呑童子(らいくはうやまいりしゆてんどうじ) 全二冊 同 義経新高館(よしつねしんたかたち) 全二冊 画本(ゑほん) 武者手綱(むしやたづな) 全二冊 画本(ゑほん) 福寿草(ふくじゆさう) 全二冊 右はかうせい紙(かみ)のひやうしにて【以下かすれていて読めず】 それより みつどうは どうぞ ばけ てみたいと まづこゝろみに たかいあしだ をはき ふしくれし つゑを つき やぶれがさを かぶりせいげんのひものを【?】 みるやうなみで たび人を おとしてみる 【旅人の台詞】 どふも おればつかり ばけ物の きで も さきで ねつか□ おしやうちが【?】 なへ こ まつ た もの だ あれはなんだ きちがいでもなし かわつたみぶりを するやつだ いくら おどして□【も?】 人がもち ひぬ【用ひぬ?】ゆへみつ どうはふつと おもひつき はりぬき のざとう の大あたま をかふり おどして みんと 人みな□ 【腕の左へ】 □山おくへ ゆき 人どをりを まちしに かりうど とも おも はれ し 【左ページ上へ】 ものひとり とをりかゝりしゆへ うしろよりぬつと かほをいだせしに おもひのほか ごうせいものにて とつておさへ あたまの はりぬきを ひつたくり ひどいめに あふ 【右ページ中段へ】 おのれにくいやつ おれをたれ たとおもふ かん平が【勘平が】 はらきりの ばへも【場へも】 でた たぬきの かく兵へと【各兵衛と】 いふなを しれた おとこだ そんな事で おぢるものか【怖じるものか】 ばけ物の にた□ ぼ□ ど め 【左ページ中段へ】 まつぴら ごめんなされ ませお人を みそこ ないまし たきつと いごを つゝしみ ませう【きっと以後をつつしみませう】 【下へ】 ころし くじつ ても つまらぬ ものだ みつ どふは かく兵へ にはん し はん しやうの めに あい よふ〳〵 命 ばかり をた すかり おしつけ よも あけんと みちばた のいし ぢぞうにより かゝり□□□〳〵□【うつら〳〵と?】 せしにゆめに□□【とも?】なく まほろ し も なく【幻ともなく?】 さきたつて □このときわかれし【あかこのときわかれし?】 はゝくろくろくびにたいめん する これ〳〵みつどうわれは そのほうがはゝろくろ くび□まれ□なり なつかしや〳〵なんじ けなげにも□の□と おつきはけものに ならんとのこゝろ さしのやさしき 【上へ】 ゆへまみゆる【松を挟んで下へ、以下同】なりとても【さても?】 人げんのかたち にて ばけんことおも ひ もよら ずみこしのいへをつがんと おもはゞこれより二三りひがし に大入道大ごんげんといふ やしろあり此御かみを いのりなはついには ばけものゝかず にも入べし そう〳〵たちこへ きぐわんをなすべしと いふかとおもへば くもきりの はれたる ごとくかたちは きへて うせに けり みつどうは はゝのおしへにまかせ 大入道へ 七日つやなし □とてすこし なりとも 人間を□□ はけ物らしきかたちになしてたび 給へといつしんにいのりしが七日 まんするに大ごんげんあら あらわれ給ふぜんざい〳〵われ は大入道也なんぢいつたん人げんと うまればけ物のあとそうぞく せんとはかなわぬねがいなれども これまでいろ〳〵かんなんしてばけ そこないいつしんにわれをいのる心ざしにめんじ わがしよじせしまなこのうちそのほうに一つ あたふるなりずいぶんしゆぎやうし てはけ物の かしらともなるべし三(み)つ道(とう)の もじをわりめ入る とかき入これより 三つめ入道となるべしかならず【?】ど〳〵 うたがふことなかれ そのゝち此ごんげんを一もく大ごん げんと はけ物 なかま にてそん きやう し ける 【右ページ下段へ】 ねん くわん じやう しゆ やれあり かたや 〳〵 みつめ入道は心ちうに□い□□□を さづかりこれからはほんのはけものゝ□□ よろこびいぜんようせうのじぶん せわになりしもゝんぐわがかたへ たづ□□たる 【下へ】 ひとつふへたれば かくへつあかるいわへ まへど【?】より だいふきれ いになり ました 【ページのさかいめ】 おひさしや〳〵たゞ今では とうらくしをもおのきなされ □□つせつてこさるか 【左ページへ】 やれ〳〵おまへかその やふにおゝきく ならしやつ たをみ てはわし ら は よく人げん にもば けませぬ【?】 こゝに又ばけ物なかまにてはさきだつて よりいろ〳〵どうらくしをたづねしが 人のすみかはばけものにはしれ かね□やういつくにゆくへしれぬ ゆへたぬききつねなどひきやく となつてしよこくのばけ物 ともへもよりわけのくわい状 をもつてたづぬる きつせんせいどこへ とまるきた きさま はどつちの ほうへ ゆく おれはしなのゝほうへ ゆくが四五日も とうりうせうさ【?】 わしはせんねん【先年】むそう【夢想=夢のお告げ】 でつけた かうやくうり【膏薬売り】のとこ ろへとまる きだ ふしう【武州】のひがしにあたり てばけものゝすむ山 あり此山のあるじはむま のかしらのやうなばけ物 なりしかるになかま より こくげん づけの くわい状を もつて みこしがこを たづね みあたり しだい その子へ よりあ わんとの ことゆへ きんへんの 心やすき ばけ物を よびあつめ そうだん して たつねん といふ ずいぶん きをつけ ませう 水の うちは せつ しやが うけ 合 じゃ 【左下へ】 わしはめつたにしん かのやねへあかり のそいてみませう 人けんめかひより【日和り?】 になると うれしかるで あらふ 三つま なこは三つの めにてねめ まはしあるくに ひとなみなら□ □ゆへ人みなおそれを なすゆへ心によろこび此所に にてばとう【馬頭】をみちがいて【見違いて】はかし ひつくみんひのちに【?】みのうへ ものがたる なんぼめは三つあつても この ごろの ばけならい ゆへみちがへ ましたゆるし 給へわしもいまは とうげん【とうぶん?】 もゝん ぐあが ところにゐ ます どふあつても おやぢをたづねいだし おやぢの口からばけ物のかしら をゆるされぬうちは どうもな□□ ませぬ はとう【馬頭】よく〳〵かんかへみるに なかまにきゝおよ はぬ三つめゆへ もしやみこし 入道がこなる かとたつね いさいをきゝ入て きもをつぶす なかま のもの おまへを たつねいだし みこしのいへのあとを たてみな〳〵かしらに さだめんと そうだんきわめ ましたさやうならば みこし入道さまをたづねいだす までごふじゆにではござりませうが もゝんぐわがかたにおしのびなされませ 見こし入道は品々しゆぎやうして 此山にきたりし がおりしも 大ゆき にてなん ぎする あゝ ハ【「ハ」は絵の一部?】 ふつたる ゆきかなわれわかかりし ときおゆきがいろかに まよひゆき をなかだち にかいかう のかたらい【邂逅の語らい?】 をなせし がそれも ゆきこれも ゆきかはり はてたる うきよじや なあ もうし申【?】女ら 此大ゆきにわこへも □□へも行□し【行がたし?】 とふぞそのくびはし【首端?】 に【?】なりとも一夜のやとを おたのみ申 □□□□□た【かすれている】 おや□□□□ なれども こゝは やとやにては □□なれは□ □□□おやどは申され ませぬほかを おたのみなされ ませ かゝる所へあるし のばとう【馬頭】たち かへりやれみこし 入道にてわた らせ給ふかさあ 〳〵これへとうちへ しやうじ山がなれば なにとかし【?】ごちそうもなし きついものあわ【?】のめしまで ござりませぬと ひそみせし【?】はち うへのばけき【化け木】ども をひのき□くべ あた る【?】 【中段へ】 やれ〳〵しらぬ事とて もつたい ないそま つな 御あい さつ 申 まし た 【馬頭の首の下】 まづ〳〵 四五日【?】も御とう りうなされ ませ やせたり□□な むまが心いつ はい御ち そう申そう 【左ページへ】 □□□□【ページの隙間にて読めず】 ふぎなき のふ□に入て きみの□□ とのいまは 三つまな こ□となり い給ふ所【?】【挿し絵の斜め線の上へ続く】 おめにかゝりそうばけ【斜め線の下へ続く、以下同じ】ものゝ かしらにと□まいら せしか き□よりゆへしなと い□御しやういんな□【?】 もゝんぐわと□もの□た に い給ふゆへに これ へ 【頭の左へ】 御 いでな され門【?】 □□し 御たいめん なされ □□□□に【?】 そんじまする 【下へ】 あわのめしもいや〳〵 こめのめしもいや〳〵 いりびがはち □□のてつ へんで ござる みこし 入道は それより もゝん ぐわが やかたへ たづね行 おやこ久しぶりにて たいめんあり三つ目 になりしものがたりを きゝよろこびそう〳〵 みこしのいへをゆづりはけ物の かしらとなるへしとしばらく たへしみこしのかとく そくぞくある このよろこびのつい でにひがし らふ□□ ばとうといふかの なさけふかきばけ 物なればと □□よせは ちの木をきつてこゝろ ばかりのちそうの □□□□と あつて 今より 東山(とうざん)の白馬(はくは)と なり 【右ページ右はし】 おめでたふござります 【左ページ上】 西竹林鶏三足(さいちくりんかけいさんそく) 南海鶏魚(なんかいかけいきよ) 北州古狸(ほくしゆかこり)【ほくしう?】 あわせて三がしよの ばけものそのほうに つかはす□□ そのほうかしらをふまへ こゝろのまゝに □んい すべし 【下へ】 みの めんぼく ありがたい しあわせで ござり ます さても三つ目入道は 父みこし入道にゐんきよさせ ばけ物のそうかしらとあをがれむかふ かわ□【の?】 大ひろ そでに てつのぼうと いふみにて□け□の おこさまかたにもこは かられいくひさしく さかへけるこそ めでたき 大ごんげんよりさづかつた このめのひかりでかほも かたちもとんだ大ぶりに みへるわへ うれしや 〳〵 可笑作 清長画 当年の 再板物目録 【上段】 郡花百人一首和歌薗(くんくはひやくにんいつしゆわかのその) 頭書(づしよ)三階板(さんかいはん)にて女諸礼(おんなしよれい)其外(そのほか)女一 道要用(だうようやう)の事 餘多(あまた) 集(あつ)め重宝(てうほう)第(だい)一の本 此度(このたび)再板物(さいはんもの)にて北尾先生(きたをせんせい)の書画(しよくは)也 庭訓往来両かな附 出来 御成敗式目両かな付 同 新刀銘書両面摺 出来 【シールで一文字ほど読めず】朝画家系圖印譜 両面摺 【下段】 桜川慈悲成咄の戯作 永寿堂の見世に而即席作 新刻 出来 栄之画彩色摺 万台百人一首文寿抄(まんだいきやくにんいつしゆもんしゆしやう) 頭書 かうしやく入 右の外 本□品々 新刻出来仕る 何によらす 本□【上掲?】 □□□【御用か向?】 □□□【奉願上候?】以上