芝居絵手本 四天王宿直着綿 市村坐 十一 四天王宿直着綿 市村座 進上 四天王宿直着綿(してんのうとのゐのきせわた) ひいき 【登場人物】奴中波四五平 【役者】儀蔵 源のより親ゑ もんの尉とき あきらと一味 して先帝を くらいさだめの 御ゆいでう【遺状】ふん じつ【紛失】をさいわいにみとしろのしん王を位に つけ頼光をうしない其身天下のぶせうと ならんとたくみじゆんれいを見とがめ花山の ゐんをとりこにせんとする 【登場人物】のせ八郎 【役者】伝五郎 人皇六十五代の みかど花山ゐん 大内をしのひ出 ぶつもんに 入給ふ 【登場人物】くわさんいん【花山院】 【役者】いせの 【右ページ下】 【登場人物】みなもとのよりちか【源頼親】 【役者】小次郎 ひろつな 花山ゐんを かこいより ちかとあら そふ 【登場人物】 みの 田の 源太 ひろ つな【箕田源太広綱】 【役者】 又 太 郎【坂東又太郎】 【登場人物】大江左きん吾【『歌舞伎年表』では大江小金吾】 【役者】政蔵【尾上政蔵】 【左ページ】 【登場人物】 ごうどうのてうぼん【強盗の張本】 はかまたれやす介【袴垂(藤原)保輔】 【役者】仲蔵 左大将【?】女□□さん どみつ書を見とがめ られてごめにせし所を梅の木の うろよりやす介左大将をさしころし みつ書をうばいせうぞくをはぎ 取より親にたのまれにせ ちよくしとほり【なり】保まさ【保昌】 のやかたへ 入こ        む やすゝけ せんていれいぜいゐんの くらい定の御ゆい でうをぬすみ取二のせ庄司【?】を がいせしおり兄保昌にゆつ られしふたばのふゑを取り をとせしが日本をつりがへの【釣替えの(引き換えの)】 御ゆいでう手に入しと女房に ものがたりよろこぶ 【登場人物】ひげ黒の左大将【源氏物語の登場人物】 【役者】伴【仲?】五郎【】 【登場人物】くさ花 うり おしづ実 ははかま たれ【袴垂】 女房 小笹 【役者】乙女【瀬川乙女】 【登場人物】うすいあら太郎定光【碓井荒太郎定光(貞光)】 【役者】松助 【登場人物】源より光【源頼光】 【役者】宗十郎 【左ページ上段、本文】 よりみつごやく のやまい【御薬の病(貴人の病気)】にて四 てん王とのゐ して頼光を なぐさめ かづらき山の つちをもつて作りし うねめ【?】と名付 しかわらけ 又あさか 山と いへる 名 しゆ【酒】をすゝ むるおりから くも【蜘蛛】のさがりしを あやしみ此かはらけこそ どく有と打くたかんと する所へしづく 【坂田】金時【渡辺】綱 引立に出つまぎくいゝまはされ 定光すへたけ引立んとして御酒ゑんの あいてに取もつ よりみつ金札を綱【?】あたへふんじつなせし ひのをざの御剣【昼の御座の御剣】たづね出すべし又 【右ページ下、本文つづき】 きんときはせんてい御ゆいでうたづね 出しとうぞくのてう本にはかまたれをせん ぎいたすべしと両人を次へ立せ女を 近付けしにひさ丸の つるぎ【膝丸の剣】おのれと ぬけしを あやし む つまぎく よりみつに 心をかけし たいきたり 人〳〵をあざ むきより 光のしん 所へつき そい行ん とせしに ひさ丸 のたちに おとろく【おそるゝ?】 【左ページ最上段の人物の右】 【登場人物】うらへのすへたけ【卜部季武】 【役者】門之介 【右ページ階段】 【登場人物】わたなべの げんじ綱 【役者】仲蔵 【登場人物】坂田兵庫介金時 【役者】団十郎 【登場人物】 みやこ六条 舞子つま菊 実はかづらき山 くものせいれい【蜘蛛の精霊】 【役者】菊之丞【瀬川菊之丞】 【このコマは『平家物語』や能に見える『土蜘蛛』の話。源頼光が瘧に倒れて寝込んでいるところへ怪僧が現れ連れ去ろうとするので、四天王が膝丸の剣で切りつける。僧は葛城山の大蜘蛛の精魂だった。】 【右ページ上段】 【登場人物】太郎作妹□□ 【役者】歌川【?】 【本文】 又治いへでせし妹にたづねあい つれかへらんとしてみなれぬ笠の かをり て此家に花山いんのかくまい有事を さとりつとにかくせしひのをさの御剣を 太郎作にあやしまれのちに いばらきけんば【茨木玄蕃】にわたす 太郎作花山ゐん とぎよ【渡御】ありしを かくまい又治がせおいし つとの内を あやしむ 【右ページ挿し絵内】 【登場人物】庄や 麦竹孫左衛門【?】 【役者】伝九郎 【登場人物】丹波の百姓栗の木の又治実は右衛門尉ときあきら 【役者】広右衛門 【登場人物】生の村百性 太郎作実は 二ノせの【二ノ瀬の】 源六 【役者】宗十郎 【登場人物】太郎作女房おさと実は ときあきら妹はし立 【役者】里好 【右ページ左下、本文つづき】 兄の家をぬけ出て たろ作をしたい ぬり笠のあるをみて たづね来りしは女ならんけんき【女ならん元気?】 【左ページ上、縞の着物の人物の右脇】 【役者】宗十郎【太郎作の役、5コマ源頼光と二役?】 【本文】 太郎作かくし置たる 花山ゐんせんぎ きびしく立のかん とせしに 見へさせ 給はぬ ゆへおど ろく 【役者】里好【はし立の役】 はし立わざとおつとにあい そをつかしおつとの手に かゝり花山ゐんのみかはりに たつ 大でき〳〵 【左ページ中段】 【登場人物】しゆ行者なく山【奈がひしゃげているが、11コマに「なく山」とある】 実は相馬太郎良門 【役者】門之介【5コマの卜部季武と二役?】 【本文】 小鳥の あつまるを あやしみ □【笈?】に花 山ゐんを うばい立 のく 【左ページ下、本文】 太郎作親の三くわいきゆへしゆ行者 をとめ御ゆひでうふん じつのせつおや 二のせ 庄 司 が 【人物を挟んで続く】 しがいの そばにおち ちりし ふゑをぶつまへおきしを 保昌が家につたわるふゑな る よししゆ行者に聞親のかたきは 保昌なるを よろこぶ 【役者】宗十郎【縞模様の着物、太郎作役】 定光つまぎくをともなひよりみつへとりもち きれとのもんじゆのゑづへくものおり さるにつまきくせうたいなく なりしをあやしみひざ丸のゐ とくにて本せうをあらはす 【登場人物】つまきく実はかつらき山の くものせいれい 【役者】菊之丞 身の上を見とがめられひざ丸の 太刀のとくにおそれ くものせいを あら はす 大でき〳〵 大さつま主膳太夫 此所ひやうしまい相動申候 富士田音蔵【長唄唄方】 【右ページ下】 【登場人物】源頼光 【役者】宗十郎 【登場人物】定光【碓井貞光】 【役者】松助 【左ページ】 【登場人物】保昌娘 小しきぶ 【役者】七次【?】 はかまだれよりちかに【頼親に】たの まれちよくしとなり兄保昌 のやかたへ来り法皇のりんげん【綸言】 によつてかくまい有かねひとしん 王【兼仁親王】のくびをうてといゝ二ヶ条の なんだいをいゝ付いづみしきぶ【和泉式部】に れんぼして保昌にみの 上をしられながら あくじをたくむ いづみし□【き】ぶ 娘小式部がよみし大江 山の歌をおつと保昌に 一【ごみ?】なぞにかけられ娘 【左下へ続く】 小式部をかねひと しん王のみがはり にたてかなしむ 【登場人物】保昌妻いつみ式部 【役者】里好【立はしと二役?】 【左上】 【登場人物】大木戸八郎 【役者】鉄五郎【?】 【右下】 【登場人物】ひけくろの左 大将実ははか まだれやすゝけ 【役者】仲蔵【渡辺綱と二役?】【4コマに出てくる髭黒の左大将とは別人※】 【登場人物】丹後守 平井保昌 【役者】団十郎【坂田金時と二役?】 【※『歌舞伎年表』によれば「仲蔵の袴垂保輔。梅の木のウツロより黒子にての出。髭黒の大将を殺し、冠装束を奪ひ持入る」とある。これは4コマで描かれているシーン。7コマの髭黒は奪った冠装束で袴垂が化けている髭黒であろう。】 【登場人物】かねひと しん王 のおかゝへ 此花 【役者】三木蔵 【登場人物】冷泉院の御らくいん みとしろの王子【神田皇子】 【役者】三甫蔵 【登場人物】妹てりは 【役者】三代蔵 【右ページ本文】 やす介 かねひと花山 ゐんのくびをにせ物と 見し所へすへたけ 【刀の下へ続く】 やす介が女ぼうを よび出す 【刀の上へ続く】 小笹おつとの あく心をいさめ じがいする すへたけ保介が せうぞくをはぎにせ ちよくしをあらはす 保すけ見あらはされ みとしろの王子の□【座?】に さして王位をのぞむ 【刀の下】 【登場人物】はかまだれ やすゝけ 【役者】仲蔵 【右ページ下】 源のよりちかちよくしに付そい来り あくじあらはるゝ 【役者】小次郎 【登場人物】すへたけ 【役者】門之介 【登場人物】はかま たれ 女房小笹 【役者】乙女 【登場人物】平井保昌 【役者】団十郎 【左ページ上、本文】 物かたりをして二のせ源六 が親のかたきのせうこになるべ きふたばのふへをひしぎかたき は兄の保昌なりといゝかんげん せし女房をふみころしいづみし きぶをうばい取んとして保昌 季武源六三人をてうちやくし 手向ひせばぬすみ取りし せんていの御ゆいでうを 引さかんとてごめにせし 所保昌に御ゆいでう をばいかへされ くびを付るゝ 保昌御ゆいでうをばい 返し保介がくびを源六 にわたしみとしろ王子の くはい中にあるみかゞみと よりちかがうばいしひげ切 のたちも取返しよりのぶに あたへ王子よりちかよし時 をおひはらふ 【登場人物】むさしの介 よし時 【役者】大七 【登場人物】源のより のぶ 【役者】座本 勘三郎 【左ページ下】 【登場人物】二のせ の源□【源六】 【役者】宗十郎 【登場人物】奴□や蔵 【役者】時蔵 【登場人物】奴ても平 【役者】仲八 【ここから第二番目】 【右ページ上段】 【登場人物】源の より光 【役者】宗十郎 【登場人物】かみぐし 姫の しんれい【『歌舞伎年表』では「夏磯姫の神霊」とある。】 【役者】里好【和泉式部、立はしの三役】 【左ページ上段】 【登場人物】禁の【楚の間違い?】 よう ゆふき【養由基】 娘せう くわ女【桝花女】の しんれい 【役者】乙女【小笹と二役】 【楚の養由基は伝説の弓の名手。その娘とされる桝花女(しょうかじょ)は前太平記などに出てくるとのこと。】 【登場人物】源のよりちか 【役者】小次郎 【登場人物】いがの入道 【役者】五郎四郎 【右ページ下段】 【登場人物】□□……【一行かすれ】 いん 弟 二の 宮 かね ひと しん王 【役者】弁之助 【登場人物】すとう六郎【かとう六郎?】 【役者】福松 【登場人物】かとう七郎 【役者】□蔵 【登場人物】平井保昌 【役者】団十郎 是より 第二ばん め 【登場人物】たわらのちはる 【役者】吉次 【『歌舞伎年表』では中納言惟仲の息女ちはる姫、役者は山下万菊とある。「たわらのちはる」は俵藤太の娘・千晴の事。挿し絵は髪形からして女性の武者姿のように見える。設定の混乱が何によるものかはよくわからない。ちはる姫ならば俵藤太の娘のほうが妥当であろう。】 【登場人物】むさしの□ よしとき 【役者】大七 いばらきげんば【茨木玄蕃】ときあきらより【斎明】ほうけん を受取しよりへいにんのもつべき物に あらぬゆへかいなをはなれぬをなんざ【ぎ?】 なしかごかきとなりほうけんをたづ ぬる左金吾に出合わたさじとあらそふ をわたなべ【渡辺(綱)】かごのうちより 出ほうけんをてに入□【れ?】 立かへる 大江の左金吾わたなべが 跡【後?】をおいゆく 【登場人物】左金吾 【役者】政蔵
 【登場人物】つな 【役者】仲蔵
 【登場人物】いばらきげんば 【役者】此蔵【此はママ、中村比蔵】
 【登場人物】三田平 【役者】又太郎【坂東又太郎】
 【左ページ】 わたなべよりみつの仰をうけ良門 せんきのため わたなべ より光の 仰をうけ 良門せん きのため 月のみさきに べつそうを しつらい酒色に てうし 女に たはふれ金時がたん りよをとゞむる 【役者】仲蔵 金時鳥【?】の見まいにきたり 恋いさかい【恋諍い】のわりに入り わたなべかほうらつ【放埓】をいさ めんとする 【役者】団十郎 【登場人物】わたなべが 妻 つの国や【津の国屋、そういう屋号がある】 おつな 実は すわうのないし【周防内侍】 【役者】菊之丞【蜘蛛の精霊つまぎくと二役】 わたなへしゆ行者をとゞめ【?】 与吉にかわたひのに【革足袋の荷】の内に 将門の娘七あやひめかくし 有ゆへ かい取ん といゝみとしろ の御かゞみを わたし両人が 心をひき見る 修行者なく山にの内より【荷の内より】 七あや姫□□□ゆへにをか こひまさかと【将門】かよるい【?】 とみ□□ 【役者】門之介 【『歌舞伎年表』によれば、七あや姫は将門の娘(良門の妹)だが、将門の子孫は不死身であるため、革足袋屋茂次兵衛に庖丁で切られるが傷つかなかったとあるので、そのエピソードがここで語られているかもしれない。】 【登場人物】つな 【役者】仲蔵 かわたひやの荷かつき【革足袋屋の荷担ぎ、茂次兵衛とは別人】 実は将くん太郎良門【平良門、伝説上の将門の長子】 【登場人物】神田与吉 【役者】松助【碓氷荒太郎と二役】 【左ページ】 修行者よし門と 名のりしも 主くんよし 門にめくりあい たくひたちの 介となのりし所与吉妹かたの ゑ【?】と 心をゆるして其めぐりあいたき将ぐん太郎よし門はわれ也 となのりしを見てまさかとの家臣ひたちの介とは いつわりま事はすわうけのかしん五位の介忠家と なのり主くんの姫きみすわうのないしと みつつうして立のきし夜ほうけん うせけるゆへ身のあかりを立ん と心をくだきせつふくぜ【せ】し ゆへよし門を見出せしと かたりひのおざのほうけんも わたなべのてに入しを悦ひさいご わたなべ忠家が忠心を かんじよしかどにつめ よする 【役者】仲蔵 
与吉忠家がけいりやくにおち入 よし門と名のり むねんかる 【役者】松助 【登場人物】忠家 【役者】門之助【うらべすへたけと二役】 【この先かすれている】 す はうの ないし めぐり あいし 忠家【? 切腹しているのは忠家ではなく与吉(良門)】が せつふくを かなしむ 【役者】菊之丞 【『歌舞伎年表』によると、良門は渡辺綱の家で枕を乞うて「春の世の夢ばかりなる手枕に」と周防内侍の歌が書かれた袖を貰う。これを枕にして寝たせいで腹を切り、自分こそ良門であると名乗ったとある。挿し絵で腹に刀を刺しているのが荷担ぎの与吉=良門。】 【登場人物】将ぐん太郎よし門 【役者】松助 
【登場人物】すへたけ 【役者】門之助
 【登場人物】わたなべのつな 【役者】仲蔵 よしかとを みのがす
 【登場人物】すわうのないし 【役者】菊之丞 【登場人物】きんとき 【役者】団十郎
 【右ページ下段】 【登場人物】たかなわのけい者 さよ浪実は 良門妹 七あや姫 【役者】万菊【山下萬菊】
 きんとき花山いん をしゆごなす 【左ページ上段】 【登場人物】かわたびうり【皮足袋売】 よりみつもぢ兵へ 実はむさしの太郎 【役者】三甫蔵 【むさしの太郎は初出?三甫蔵はみとしろの王子役で既出。】 
【登場人物】左金吾 【役者】政蔵 【登場人物】花山いん 【役者】いせの

 大てき 〳〵 大当り〳〵 【下段】 【登場人物】奴 みた平 実は 三田の 源太【?】 【役者】又太郎【坂東又太郎】
 清長画 【枠内】 《割書:狂言|作者》桜田治助 【墨で書き込みここから】 惣座中不残 罷出相勤申候 【ここまで】 太夫亢様【?】