(看板) 骨抜どうせう なまづ大家破焼 【店頭二皿の値札】 二十四文 十六文 かしま 「さあ〳〵おかいなさい〳〵これは こんどの大ちしんいへくらやいた いしゆかへし大くし小くしの なまづのかはやきしかしこの せつのことはりけんきんうりが かなめいしひやうたんくひやう ばん〳〵ときこへるかしらぬ くわし 「もし〳〵そこへゆくのは雷公と おやぢどのではないか おやち「そう いふは火事公かどこへゆくのだ くわじ 「かしまさまがなまづを やく火につかはれぬうち きへるつもりさ おやぢ「それが いゝくわじやぢしんはやぼの うへなしだ くわじ しておまへ がたはいきなせかいかね かみなり「たちのきがはやると いふからいんきよとこつそり しんそうかいだ くわじ「そいつは おたのしみだがしかしらい こうはあけまいぜ かみなり「 なせ〳〵 くわじ「てまへはきん じよのごろつきだから げいしや 「もし三みせんやさんこのごろは おいそがしいかへ 三みせんや 「どうして〳〵ぢしんこのかた 三すぢはおろか一とすぢの おあしもとれずまえ にこまつたよつぢさ じつにどうしやうかと おもふおまへなんぞはおでん かんざけであつたまつたと いふうはさでごさり ますぜ げいしや 「それもほんのあの とうざさながくすると みそをつけますよ せんどう 「ほんにわつちらがしやう ばいもやつぱりにたり よつたりでわづか 二朱か三てうの ちよきがりさへ できやせぬ ごふくや 「いづくのうらぢも おなじことかなきん もうかる はなしは なく ひまな 上田に なんぎに あをめ ぐちばつ かりを  ゆうきじま▲ ▲りやうり        かみなり 「たんもの        「おいらもこん よりは           どのちしんでは 口の            いやもふまつ はやい           さきになつて りやうりで          かけだした  さへもくひてはなく       くわいせきしやう ばいになりやせぬ● 【二段目】 ●かしほんや 「いやわたしなぞも ほんはやきはらひはとれず このくれは中本のなきほんさ はやく一夜あけてわらひぼんの せかいとしたいこのくらうを しらぬのはおかこさんおまへたね かこいもの 「なにさたんなのうちづまる やけゆへわたいのほうまで おはちがまはらず たべるものさへふじゆう がちだはね はなしか 「その口かせぎにわたしらも くみ合のしうのこはいろ をつかひしごとにでたが 口ほどにかたがたつしやに きかぬゆへあふぎなめに あいましたこれものちの はなしのたねさ おどりのしせう 「とうじんばなしで おやしきのおきやうげんは あがつたりなんぎな ところへこんどのふぢま しやうもやうも中むら やでけがをせぬのが しあはせさ 【三段目】 小道ぐや 「じつにこんどのぢしんでは大小となく どぞうをふるひみぢん七字?にどうぐ やはあきないはひまそのうへに せつぱつまつたかさくの いりようふちかしらを かいております かうしやくし 「ぢしんとくわじの かけもちからながらう じやうのひやうろう ぜめすでにらくぜう するところよう〳〵 やかうでとりつきました とうぶつや 「みなさんよりはとり わけてかひてのないどう ぶつげるゐいつそらしやや とろめんか じんめの毛なら うれるであらう はいくわいし 「あきうどしうより 又ひまはなくても こまらぬはいくわいし 百いんのてんりやうも とらねばとめのきれ じにてにははあはず 此せつは一くもでずだ ごうち 「もしそうしよういかゞ でごさるやつがれなぞは おでいりのおやしきがたが みなつぶれどう かうといふめう しゆもなく ほんのいのちを つなぐのみで ござる 茶人 「ふねいちや などはのうちうが だん〳〵うすちやに そこがみへればこい ちやはしあんを せずはなります まい くわんけ 「たれかれ といふ なか でも 二日このかた 一文のおあしも もらわぬ大きな そんじつに ぢしんはごめ んのかん けだ けいしや 「なまづのしりふるは あとがこわい かみくづひろひ 「やけばに かみくづのないのは わかつたが ぢしんのいつたは よるだから あとに かみくづが あり そふな ものだ 【看板の左側の台詞】 三みせんや 「むねは二上がりは ふるもん くだ○ ○こんどはきん たまがそう あがりだ 【この資料は画像が裏返っているので文字もうすくなっていて判読できません】 【印「東京大学図書印」】0011841756