【表紙】 【見返し】 JAPONAIS 302 【見返し】 【文字なし】 【文字なし】 【上部右側】 《割書:R.B| 1843》3285 【上部左側】 《見せ消ち:1044|》 302 【二行目は「.」により入力画面の行数表示が赤字になっている】 【文字なし】 【文字なし】 【標題紙裏】 【蔵書印 丸印】BIBLIOTHÈQUE IMPÈRI【続き不鮮明 ALE?】 MAN. 【二行目は「.」により入力画面の行数表示が赤字になっている】 法橋保国画図 野山草 浪華書舗 積玉団 【右丁は前ページで翻刻済】 【挟み込みの用紙、日本語部分 横書き】 絵本野山草   je hon no- jama gusa. 5 B.■【Sヵ8ヵ】° Abbildungen nebst Beschu【uはreヵ】ibung wildwae【cヵ】hsender Pflau【nヵ】zeu【nヵ】. diSubold【注①②】 【丸囲み数字】20 【左丁】 画本野山草叙 四時行はれ百物成る中に山原 水沢の草花愛すへき物若干 各色を競ふて爛熳たりかの 淵明が菊を愛し茂叔が蓮を 愛するの類は其操をとりて色【亦ヵ】艶を とらず是賢者の物を翫ふは志を 【注① 「diSubold」は「deSiebold」ヵ「DrSiebold」ヵ。シーボルトのサインヵ。「ie」の上に「U」のような半円有。「S」から「d」までの下にサインの末尾に書かれるような楕円形が書かれ、円の中に点が三つ有。】 【注② 全文は「Abbildungen nebst Beschreibung wildwachsender Pflanzen.de[Drヵ]Siebold」ヵ。語の意味は順に、「模写・挿絵・図解」「とともに」「記述・記録」「野生の・自生する」「植物」「シーボルト(サイン)」ヵ。】 【右丁】 喪はずして真に愛すれば也《割書:予》家 世〳〵画を嗜み筆を取て恒の 産とす依て今草花を図せんと欲 して或は山野に逍遥し或は 樹家に徘徊して見る所の花を 携へ葉を袖にして其名を尋て 真偽を弁し漢名に至ては本草 【左丁】 三才図会に依て是を訂し新花 の如きは出処を追ふて名を記す爰に 其佳なる物数十種を撰写す題に【而ヵ】 画本野山草といふ今幸に渋川氏の 需に応して梓に鏤はめ聊童蒙 の便りとす是【且ヵ】凡草花は風土の寒暖 肥痩によりて国々の形容同しからず 【右丁】 花葉ともに異あり今図する所は眼の あたり𨵃【閲ヵ】る所を是とする而已巻を 開く徒是を察せば幸ならむ   浪華  法橋保国        【香炉印:衛】【角印:橘印/有税「橘有税印」】 【左丁】 画本野山草巻之一目録 甘菊花(かんきくくは) 紫蕙(しらん) 花蔓草(けまんさう) 熊谷草(くまかへさう) 敦盛草(あつもりさう) ほたる草 いちはつ 馬藺(ばりん) 白朮(をけら) 銀銭花(ぎんせんくは) 蘭菊(らんきく) 一りん草 【白朮の左側の振り仮名】びやくじゆつ あやめ 春すかしゆり 午時花(ごしくは) 夕錦(ゆふにしき) 廉子(かのこ)百合(ゆり) 羽衣(はころも) 仙翁花(せんをうけ) 小苑草(せうゑんさう) 桔梗(きけう) しもつけ 芙蓉(ふよう) 山藤(やまふぢ) 【右丁】 あみだ笠(かさ) 紅黄(こうわう)草 をだまき 高麗(かうらい)菊 時計蘭(とけいらん) 沢桔梗(さはぎけう) 丁子(てうじ)草 かたこゆり まゆはき くかい草 秋菊(あききく) 《割書:すいようひ|小猩々》 《割書:こがねめぬき 大ぬれ鷺|大般若 清見寺 さきわけ》 山杜鵑(やまほとゝぎす) 秋薊(あきあざみ) 燕麦(かるかや) 鬱金(うこん) 立葵(たちあふひ) 戎葵千弁(からあふひせんえ) 岩石蘭(がんぜきらん) 岩蘭(いはらん) 風蘭(ふうらん) 石斛(せきこく) 釣鐘(つりかね)かつら 黄蕙(わうけい) 【左丁】 南陽 酈懸(レイケン)ニ甘谷アリ水甘美也上ニ多 ̄ク菊アリ水ニ落テ流下ル谷中ノ 人家此水ヲ飲上寿ハ百二三十中ハ百余歳七八十ヲハ夭トスルナリ 甘 菊 花 【右丁】 紫蕙(しらん) 【左側の振り仮名】シケイ 【図中央の花の下の注記】白             エンシ 【左丁】 【図中央下の花の右下の注記】キ               ■【注】               白               白 【図中央下の花の下の注記】花 エンシク               エンシクマ 花蔓草(けまんさう) 【注 ■は「名」ヵ「クハ」ヵ「クロ」ヵ。『畫本野山草. [1]』コマ6(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では「名」。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ7では「クハ」「クロ」に見える。】 【五~六行目、九~十二行目の注記の文字は全て線で該当箇所を指している】 【右丁】 熊谷草(くまかへさう) 花ノウテナ白六 花コフンウス生エンシクマ ホシクサノシルスシ同 【左丁】 花地白キソトサキヨリ 生エンシクマ内ソコヨリ同 クマスシホシ同生エンシ 敦盛草(あつもりさう) ほたる草 【右丁】 いちはつ 【左丁】 馬藺(ばりん) 【右丁】 【見出し、囲み部分】甘菊(かんきく)花《割書:花五六月より|十月まで》【囲みの外】葉(は)つねの菊葉(きくのは)の順(めぐ)り丸(まろ)し花(はな)の色(いろ)白(しろ)黄(き) さかやき有菊也 高(たか)さ一尺(いつしやく)ばかり又(また)は四五寸斗(しごすんばかり)山谷(やまたに)に有(あり)野原(のはら)にも 有あぢはひ甘(あま)きを以て甘菊といふ菊児童(きくじどう)にあしらふも是(これ)なり 【区切り線】 唐(たう)本草(ほんさうニ)菊花(きくくは)一名(いちめいは)女節(じよせつ)一名(いちめいは)女華(じよくは)劉蒙菊譜(りうもうがきくのふ)三十(さんじう) 五品(ごひん)又(また)三十二品(さんじうにひん)范石湖菊譜(はんせきこがきくのふ)七十二種(しちじうにしゆ)今(いま)不(す)_レ止(とゞめ)_二 《振り仮名:一-種|いつしゆの》甘菊(かんきくを)_一茎(くき)紫(むらさき)気(き)香(かうばしく)味(あぢはひ)甘(あまく)花(はな)深黄(しんくわう)単葉(せんよう)有(ある)_二粥(しゆく)膜衣(もい)_一 者(ものを)為(す)_レ真(しんと)取(とりて)_レ花(はなを)作(なし)_レ糕(もちと)并(ならひニ)鹹烹(しほににして)飲(のみて)佳(かなり)又(また)有(あり)_二鴛鴦菊(えんわうきく)五月 菊六月菊_一陸亀蒙(りくきもう)有(あり)_二把菊賦(はきくのふ)_一曽(かつて)端伯(たんはく)以(もつて)為(す)_二佳友(かいうと)_一 【区切り線】【見出し、囲み部分】しらん《割書:三四月花咲|けいとも云》 紫(し)けい共云《割書:漢名(かんめう)》白及(はくきう) 【囲みの外】葉 黄蕙(わうけい)のはに似(に)てながくこはし花しのたち のびてらんのごとき本紫色(ほんむらさきいろ)の花さく花のうち 舌(した)あり同(おなじ)く紫いろに白き粟紋(なゝこ)すこし有あり又うすむら さき有うすけいとも紫けいともいふ又白けいといふ有花のいろ 白し一 種(しゆ)白に紫の咲(さき)わけ有葉ほそく長(なが)しつねの紫よりは小(こ) 【左丁】 葉(は)にして茎(くき)をまきだん〳〵に葉 出(いつ)る至極(しごく)見事(みごと)なり 【区切り線】【見出し、囲み部分】けまん草《割書:漢|名》 荷苞牡丹(かはうぼたん) 《割書:又》黄(き)けまん 漢名 馬芹(ばきん) 【囲みの外】はなのかたちけまんのかたちだん〳〵につらなり 黄(き)けまん菊(きく)のかたちやぶにんじんの葉のごと しはなのかたちせいらんのはなに似(に)て色(いろ) 黄(き)なりけまんの名(な)あれともくさみしかく 別(べつ)にちがひありはな三四月まであり 【区切り線】【見出し、囲み部分】熊谷草(くまかへさう)《割書:花三月》 敦盛草(あつもりさう)《割書:花二月》 【囲みの外】花のかたち母衣(ほろ)のごとく色白く葉は款冬(ふき)の 葉に似(に)てこはくあつしまた敦盛草(あつもりさう)は 色(いろ)うす紅(べに)也葉さゝばなり花のかたち似(に)たり是(これ)其類(そのるい)漢名 莪朮(がじゆつ) 【区切り線】【見出し、囲み部分】ほたる草《割書:四月中|はな有》 【囲みの外】葉 柳葉(やなぎのは)に似(に)てあつくつや有花ちいさく いろ本(ほん)るりそこ白しるりと白との間(あいだ)にあいべにのほし 入(い)りうちにほそきしへあり至極(しごく)見事なり蔓(つる)生(しやう) ず茎(くき)をふせ根(ね)をおろすほたるかづらともいふ又るり草(ざう) とも玉(たま)かづらともいふたけ五六七寸ばかり谷にあり 【右丁】 白朮(をけら) 【左丁】 銀銭花(ぎんせんくは) らんきく 【右丁】 一りん草 《振り仮名:𬞥蓀|あやめ》【注】 【左丁】 春すかしゆり 【注 「𬞥」は「渓」ヵ】 【右丁】 【見出し、囲み部分】白朮(びやくじゆつ) 《割書:花夏ゟ|秋の末|まて咲》 【囲みの外】春(はる)より生(しやう)ず葉(は)はこはくさゝらあり鋸歯(のこぎり)ちいさく一 枚(まい)葉(は)有 三つ葉(は)有花 白(しろ)く亦(また)桜色(さくらいろ)有 台(うてな)に小(ちいさ)き魚骨(うをのほね)のごとくなる 葉のとりまきあり長(たけ)一二尺ばかり一名ををけらともいふ 【区切り線】【見出し、囲み部分】銀銭花(ぎんせんくは) 《割書:朝露草(てうろさう)|ともいふ》 【囲みの外】はなのかたちかうそのことく花は秋葵(かうそ)より小(ちいさ)し いろ白青きうるみ色花 底(そこ) 黒べにのきほひあり葉五つ出(で)三つて有 葉のきれ西瓜(すいくは)の葉に似(に)たり長一二尺ばかりえだもあり朝(あした)に ひらきゆふべにしぼむその次(つぎ)なるはな又朝にひらく秋葵(かうそ) の類也又 金銭花(きんせんくは)に似たり六七月まではなさく 【区切り線】【見出し、囲み部分】蘭菊草(らんぎくさう) 《割書:七月より|八月まて花》 【囲みの外】葉 布袋(ほてい)ぎくに似てうすくひろしさき尖(とか[がヵ])り ふちのまはりきれあり葉の間にたん〳〵くるま にさくはなにむらさきしろ二 種(しゆ)あり 【区切り線】【見出し、囲み部分】馬藺(ばりん) 【囲みの外】花のかたちあやめのごとし色(いろ)うすむらさき葉あやめ に似てすこしほそし三四五月まではなあり 【区切り線】【見出し、囲み部分】いちはつ 【囲みの外】花に紫白二色有葉 日扇(ひあふぎ)に似(に)たり二月 末(すえ)花あり 【左丁】 【見出し、囲み部分】一りん草 兎葵(とき)《割書:二|月》 《割書:はな有》 【囲みの外】花葉ともに梅花草(はいくはさう)に似て小(こ)ぶり也しのだち一りんつゝ はなさく夏雪草(なつゆきさう)ともいふ此 少(すこ)し大ふりなるを一(いつ) 花草(くはさう)といふ梅花(ばいくは)草とははなのつきやうにちがひあり 【区切り線】【見出し、囲み部分】あやめ《割書:三四|月》 《振り仮名:𬞥蓀|けいそん》【注】《割書:花|有》 【囲みの外】花に白あり紫有ねずみ色あり咲わけあり白に 紫のうつり少(すこ)し有花也 蜀錦(しよくきん)あやめといふ又色紫 にて六えうありまたをきなあやめといふは葉しろにあを のうつりあり筋入(すじいり)あやめあり葉に白すじいる 【区切り線】【見出し、囲み部分】春透百合(はるすかしゆり)《割書:三四月|花さく》 【囲みの外】夏(なつ)すかしよりはすこし色つよくかのこ少(すくな)し まるみ艶(つや)ありたちのびること二三尺はなのいろ黄あかく紅のく ま有花びら六 枚(まい)しへ六 本(ほん)さきに米(こめ)有色むらさきなり 【区切り線】 百合(ひやくがう)有(あり)_二 三種(さんしゆ)_一。一名(いちめいは) 檀香(たんかう)。百合(ひやくがう)子(み)可(べし)_二烹(に)或(あるひは)蒸(むして)食(くらふ)_一_レ之(これを)。 益(ます)_レ気(きを)。一(いち) 名(めいは)山百合(さんひやくかう)。子(み)可(べし)_レ食(くらふ)。花(はな)遅(をそきこと)一月(いちげつ)不(す)_二甚(はなはた)香(かうばしから)_一 一名 ̄ハ虎皮百合(こひひやくがう)能(よく)殺(ころす) _レ 人(ひとを)不(す)_レ可(べから)_レ食(くらふ)。都波(とは)不(ざり[るヵ])_レ知(しら)_二耕稼(かうかを)_一土(と)多(をゝし)_二百合(ひやくかう)_一。取(とりて)_二其根(そのねを)_一以(もつて)為(す)_レ糧(かてと) 【注 「𬞥」は「渓」ヵ】 【十四行下から二字目「尖」のルビ「か」は濁点が有るように見える。『畫本野山草. [1]』コマ12(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では「が」。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ13では「か」。】 【三十五行下から三字目「じ」は薄く濁点が見える。国立国会図書館デジタルコレクション(右注と同)も同じ。『畫本野山草. [1]』(右注と同)は「じ」。】 【四十三行七字目「不」のルビ「ざり」は『畫本野山草. [1]』(右注と同)では「さる」。国立国会図書館デジタルコレクション(右注と同)では「さり[るヵ]」。】 【四十三行下から七字目「合」の後の「。」は『畫本野山草. [1]』(右注と同)と校合し補字】 【『畫本野山草. [1]』(右注と同)では四十二行十字目~ルビ「いちげつ」は「いちけつ」、同行下から四字目~ルビ「ひやくがう」は「ひやくかう」】 【右丁】 午時花(ごじくは) 【左丁】 夕錦(ゆふにしき) 【右丁】 鹿子(かのこ)百合(ゆり) 【左丁】 内朱 外ニクシキ 仙翁花(せんをうけ) 羽衣草(はごろもさう) 【右丁】 【見出し、囲み部分】午時花(こしくは)《割書:花六七月|一名金銭花|又子午花》 【囲みの外】葉のかたちずた草に似たれどものこぎり小(ちいさ)く はにこはみあり花のかたちぼけの花に似てさきと がりよこ花 開(ひらく)赤(あか)ぼけに似て色又 濃(こい)紅(べに)にして見事也花かゝへ さき至極(しごく)いかりつよくうちにあかきざい五つたち中心(まんなか)に蕊(しべ) 一つ立(たつ)しべともにあかし葩(はなびら)の底(そこ)にもゝいろあり其 次(つぎ)に少(すこ)し 紫有 此(この)しべ総(そう)あかし台(うてな)長春(ちやうしゆん)に似(に)て又たねのふくらなし つぼみたねに似てたね又つぼみに似たり長(たけ)一二尺はかり也 【区切り線】【見出し、囲み部分】錦帯花(きんたいくは) 《割書:一名》夕錦草(ゆふにしき) 【囲みの外】葉 番椒(とうがらし)【注】に似たり葉に大小有はなは山さくらに似た り又花の茎(くき)長(なが)くしてはるか下に台(うてな)あり花のいろ 黄あり又紅有 半黄(はんき)半紅(はんあか)ありとびいりあり一本のうちに いろ〳〵有また黄ばかりべにばかりあり葉むかひあひ出て えだも両方へはびこるはな七八月にさくなり 【区切り線】【見出し、囲み部分】鹿子(かのこ)百合(ゆり)《割書:六七月|花有》 【囲みの外】葉ほとゝぎす草に似たり花白にして紅 のくまあり又紅むらさきのほしかのこあり葩(はなびら)六 枚(まい)花大さ鬼(をに) 百合(ゆり)のごとく茎(くき)同し高(たか)さ四五尺ばかりなり 【左丁】 【見出し、囲み部分】せんのうけ 剪秋羅(せんしうら) 【囲みの外】花葉ともがんひに似色本紅有白ありうす紅あり紫有 むらさきしぼり有りとびいり有高さ二尺斗六七月花さく 【区切り線】 剪春羅(せんしゆんら)花(はな)有(あり)_二 五種(ごしゆ)_一春夏秋冬(しゆんかしうとう)各(をの〳〵)以(もつて)_レ時(ときを)名(なづく)春夏(しゆんかの) 二羅(じら)色(いろ)黄(き)紅(くれなゐニして)不(ず)_レ佳(かなら)独(ひとり)秋冬(しうとうのものは)紅深(こうふかく)色(いろ)美(びなり)亦(また)在(あり)_二春(しゆん) 時(じ)分(わかつ)_一_レ種(たねを)又(また)一種(いつしゆ)色(いろ)金黄(きんくわう)美(び)甚(はなはだし)名(なづく)_二金剪羅(きんせんらと)_一 【区切り線】【見出し、囲み部分】のこぎり草 《割書:一名がんぎ草|又もしほ草又|はころもといふ》 【囲みの外】一 本(もと)に二三十 茎(けう) 生(をひ)たつ高(たか)さ二尺ばかり葉せまく 長(ながふ)してふちに鴈歯(がんぎ)有 夏秋(なつあき)の間(あいだ)はなをひらく細小(さいせう) の菊花に似(に)たりいろ紅白二いろあり紅花を上品(じやうひん)とすはな五 月にありまた九月 末(すえ)にあるは紅(べに)むらさき色なり 【区切り線】 此(これ)本草図経(ほんさうづきやう)等(とうニ)其(その)生(せい)如(ごとし)_レ蒿(よもきの)作(なす)_レ 叢(くさむらを)高(たかさ)五六尺(ごろくしやく)一本(いつほん)一 二十茎(にじうけう)秋後(しうご)有(あり)_レ花(はな)出(いづ)_二於 枝端(したんより)_一紅紫色(こうししよく)形(かたち)如(ごとし)_二菊形(きくのかたちの)_一能(よく) 合(がつす)_レ之(これに)○史記(しき)亀策伝(きさくでんニ)言(いふこと)蓍(めどの)状(かたちを)極(きはめて)怪(あやし)妄(みだりニ)悉(こと〳〵く)不(ず)_レ可(へから)_レ信(しんす)惟(たゞ) 神(しんにする)【レ点脱ヵ】之(これを)爾(のみ)○詩経(しきやうニ)浸(ひたす)_二彼(かの)苞蓍(はうきを)_一《割書:葛風(かつふう)下(か)|泉章(せんのしやう)》朱註(しゆちうニ)著(めとは)筮草(ふさう)也(なり) 【注 「番」は「蕃」ヵ】 【三十八行目文末「一」はルビ脱ヵ】 【右丁】 小苑草(せうえんさう) 桔梗(ききやう) 【左丁】 しもつけ 【右丁】 芙蓉(ふよう) 【左丁】 内スシ 生エンシ 外コフン 【右丁】 山藤(やまふじ) 【左丁 文字無し】 【右丁】 【見出し、囲み部分】小苑草(せうえんさう) 【囲みの外】宿根(ふるね)より春(はる)生(しやうず)葉(は)はしをんより短(みじか)くよこへ少(すこ)しひろく 初生(しよせい)地(ち)に数茎(すけう)出(いで)て五六 尺(しやく)迄(まで)にのび立(たち)花しをんのごとくにて白し又 小(こ)しをんと云草あり花 極(きは)めて小(こ)りんにして白し草立(くさだち)葉ともしをん のごとくにて小草(こくさ)也二尺ばかりのび立(たつ)花なり七八月はなさく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】桔梗(きけう) 【囲みの外】花 数(かず)多(をゝ)しるりの一重るり八重白一重白八重紅ひとへ紅八重 南京(なんきん)さらさは白にるりのしぼり入大りん南京さらさ咲(ざき)と いふはつねの花よりひらたく咲 扇桔梗(あふぎぎゝやう)といふはさらさ咲より葩(はなびら)たくましく 咲也又 咲分(さきわけ)有黄の桔梗有せんだい桔梗 車(くるま)桔梗有六七月花有和名ありのひふき 【区切り線】 【見出し、囲み部分】下野(しもつけ) 線繍菊(せんしうぎく) 【囲みの外】花のかたちさくら川草のごとく本紅色葉もみぢに似て 茎(くき)ほそし白花有うすいろあり白花の方は葉あつくき れあさし草下つけといふあり日光(につくはう)しもつけともいふはな葉共 に紅の方にをなしくさたちのひず小草(こくさ)なり鳳凰草(ほうわうさう)と いふもはな葉ともに同じはのきれこみしもつけの葉 よりは丸し三種ともに同じものなり五六月はなあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】芙蓉花(ふようくは) 【囲みの外】葉は桐(きり)に似たれとものこぎり有て葉うすし葉両方へ 【左丁】 【見出し、囲み部分】《割書:一名は木蓮(もくれん)|芙蓉の名二つ》 《割書:有水に生(しやうず)るを|草芙蓉といふ》 《割書:荷花(はす)也 陸(くが)に|生るを木芙蓉》 《割書:といふ》 【囲みの外】一 對(つい)付(つく)大さくさぎのごとく又花はむくげに似たれども大 く一重あり八重有千重有色大白有大紅有 薄紅(うすべに)あり しの立(たち)高(たか)さ一丈斗有もあり又一尺斗有も花咲一尺斗有とき は草立(くさだち)一 丈斗(じやうばかり)有は木立(こだち)に成也 古枝(ふるえだ)よりわかはへ出て牡丹に同し 【区切り線】 芙蓉(ふよう)八九月 ̄の内(うち)開(ひらく)有(あり)_二拒霜之名(きよさうのな)_一 一名(いちめい) ̄は木蓮(もくれん)一名 ̄は木(もく) 芙渠(ふきよ)楚詞(そしに)搴(かゝぐ)_二夫容(ふようを)於 木末(もくばつに)_一有(あり)_二大紅(たいこう)粉紅(ふんこう)白(はく) ̄の三色(さんしき)_一又(また) 有(あり)_二酔芙蓉(すいふよう)_一 一日之内(いちにちのうち)花容(はなのかたち)三変(みたびへんず)由(より)_レ白(はく)而(して)淡紅(たんこう)桃紅(とうこう) 丸子(まろきみあり)芙蓉 一枝(いつし)土(つちより)開(ひらく)花(はな)幾色(いくいろぞ)一本上(いつほんのうへに)有(あり)_二 九色(くしき)_一魏文(ぎのぶん) 帝(てい)有(あり)_二芙蓉園(ふようえん)_一括異志(てんゐし)有(あり)_二《振り仮名:芙蓉館主|ふようく■【わヵはヵ】んしゆ》芙蓉 城(じやう)_一 【区切り線】 【見出し、囲み部分】紫藤(やまふぢ) 【囲みの外】花の形(かたち)豆(まめ)の花に似(に)たり色紫そとびらの色うすし内びら いろこいむらさき也葉はぬるでに似たり一じくに葉十一二三まい 斗有花 茎(くき)に連(つら)なりさがる咲(さき)じくの長さ三尺 余(よ)有是は野田藤(のだふぢ) 又山藤は茎みじかく花も少し赤し白藤は花大くして茎短し しの立 蔓(つる)にして木にまとふ白藤は花早し紫ははな遅(をそ)し三月咲なり 【三十四行二十字目「は」は「ば」ヵ。確認資料:橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ20】 【四十行六字目「括」のルビ「てん」は「かつ」ヵ】 【四十三行十四字目「と」は『畫本野山草. [1]』コマ19(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)と校合し補字】 【右丁】 あみだかさ 紅黄草(こうわうさう) 【左丁】 地ヲウドノグ   コキシヤウヱンジクマ おだまき 高麗菊(かうらいきく) 【右図の上側 図の文字は全て線で該当箇所を指している】 白ヲウドノグ キ 【右図の中央】 キ 【右丁】 【見出し、囲み部分】車軸草(しやぢくさう) 半辺蓮(はんへんれん) 【囲みの外】葉 矢筈(やはづ)のごとくうす紅(べに)のはなだん〳〵さく蔓(つる)と同く ひろがりて立のびず又あみだかさともいふ五六月花さく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】をだまき草《割書:三四月|  花有》 【囲みの外】花のいろ柿紅(かきべに)花のうち黄にしてそと 黄のうつりありかたちいとまきのごとし葉はとんぼう草 に似て大葉(をゝは)なり茎(くき)むらさきいろはなの四方つのなきを 八重のをだまきといふまた放下僧(はうかざう)ともいふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】紅黄草(こうわうさう) 漢名 藤菊 【囲みの外】葉 蜀椒(さんせう)のはのごとく花のうちこい柿紅そと黄はなび ら五 弁(まい)花のふちにそとの黄色少しまはり又千重有 【区切り線】 【見出し、囲み部分】かうらい菊 一名 春菊(しゆんきく) 蒿菜花(かうさいくは) 【囲みの外】花のかたちはま菊に似たり色黄にして葩(はなびら)さきよ り白し葉のかたちまつむし草に似たりいろあ さく又花の色 総(さう)黄なるもありまた総白も有 じくたちのびはなさくたかさ一二尺ばかり葉ふゆより あり葉さきしなやかなるものなり葉しけくつ くはなすくなく又をらんだきくともいふ 【左丁】 時計蘭(とけいらん) 《振り仮名:沢桔梗|さ□【は】ききやう》 【□は橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ22と校合し補字】 【右丁】 丁子草(てうしさう) かたこ百合(ゆり) 花エンシノグ 同ク□【マ】 ニホイ青 【左丁】 まゆはき くかい草 【□は橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ23と校合し補字】 【六行四字目「シ」は国立国会図書館デジタルコレクション(前注と同)では「ジ」】 【右丁】 すいようひ 《振り仮名:小猩〻|こしやう〳〵》 大ぬれ鷺 【図中央】 こがね めぬき キ 【左丁】 大槃若(だいはんにや) 【図下 図の文字は全て線で該当箇所を指している】 生エンシクマ キ 【図左下】 清見寺  さきわけ 【右丁】 【見出し、囲み部分】とけいらん《割書:又沢ゑびね|草共いふ》 【囲みの外】葉ゑびねのごとくにてみじかし はなのかたちゑびねに似てちいさしいろくろべに 葉のうへにほしさま〳〵いる白のほしいるもあり むらさきのほし入もあり水間(みづま)えびねとも小ゑびね とも沢ゑびねともいふなり四五月はなあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】沢桔梗(さはぎけう) 【囲みの外】花ききやうに似てきれふかく葩長し色も桔梗に 同葉も同し高二三尺斗のび水より生す六七八月に花さく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】丁子草(てうじさう) 山梗菜(さんかうさい) 【囲みの外】葉柳葉に似て花こんいろかたち丁子のごとく 小りん也葉の間にさく三月はなあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】かたこ草 《割書:かたこ| ゆり》 旱藕(かんぐう) 【囲みの外】葉さゝ葉に似て花のかたちゆりのごとく色うす紅 なり万葉集(まんえうしう)のかたくりこれなりもちあつかふこと 久し芸花家(げいくはけ)にて初ゆりといふ二月はなあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】眉(まゆ)はき草。秋あざみ 田(た)むら草《割書:二八月| 花さく》 【囲みの外】花葉ともにあさみに似て葉うすくはり なし花しの立(たち)のび小枝(こえだ)分(わか)れ卓散(たくさん)にはな 【左丁】 さく秋あざみといふ眉(まゆ)はきといふは秋あざみにかぎら ず春あさみをいふはなのかたち眉はきに似たり一 種(しゆ)葉あ つくきれふかくはなも又つねの秋あざみより大輪(たいりん)也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】くかい草 【囲みの外】花のかたち虎(とら)の尾(お)のごとく色うす紫なり葉 くるまばにつきだん〳〵に葉出る五月はなさく 【区切り線】 菊は秋より生(しやう)じて秋まで有 年中(ねんぢう)絶(たゆ)る事なし葉の徳(とく) 松(まつ)に似たり秋 草花(くさのはな)をとろふ比はな盛(さかり)にして冬に至(いた)りいよ 〳〵多し一名を菊としてよび名は多し又はなに大小有 先さしわたしかねさし一寸より以下は小りんとす小りんに二品有 五六分 已下(いか)は小(こ)りんとす一寸より二寸迄は中りん二寸より三寸迄 は大りん也三寸二分より小柄にあたるゆへ大の大三寸五分より 上は大の大大といふべし先(まづ)こゝにしるすは白(しろ)すいやうひ黄す いやうひ有大はんにや又黄大はんにやぬれさき又小りんの うち小せうじやう小がねめぬきせいけんしさきわけあるなり 【右丁】 山杜鵑(やまほとゝぎす) 秋薊(あきあざみ) 【左丁】 燕麦(かるかや) 鬱金(うこん) 【右図 線で該当箇所を指している】 地白六 生エンシカク 【左図】 スジ有ハキイロ    クサクマ スジナキハ白 【右丁】 立葵(たちあをひ) 【左丁】 戎葵千弁(からあふひせんえ) 【右丁】 岩石蘭(がんせきらん) 岩蘭(いはらん) 【左丁】 風蘭(ふうらん) 石斛(せきこく) 【図中央】 生エンシク 【右丁】 【見出し、囲み部分】山郭公(やまほとゝぎす) 時鳥草(ほとゝぎすさう) 【囲みの外】花のかたちつねのほとゝぎすにて色は其 鳥(とり)の羽(は)の ごとくなるさゝらありつねのほとゝぎすより 葉も丸く花もはやさきなり七八月花さく漢名(かんめい)三白草(さんぱくさう) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】かるかや 漢名 燕麦(エンハク) 【囲みの外】葉 雀麦(ちやひきくさ)のごとく花もまたおなしいろ花 葉茎(はくき) ともにくろくこはし七月に花和哥にはたゝかやともよめ り白めかやともさま〳〵うたによめり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】平紅帯(へいこたい)《割書:六七八月|  花有》 【囲みの外】葉 彭翁菜(ほうをうな)に似(に)てきれふかく花しの立(だち)末(すえ)に るりむらさきいろあざみのかたちにて丸きはなさく至(し) 極(ごく)かはりなり又ひらい草(さう)ともいふ歟(か)又ひこたへといふ也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】うこん草  鬱金(うこん) 【囲みの外】葉 美人蕉(びじんしやう)に似たり花のかたち歎冬花(ふきのはな)のたけたるご とくはの中に咲(さく)色(いろ)白く少(すこ)しうつり見ゆる八九月花有 【区切り線】 【見出し、囲み部分】葵(あふひ)《割書:五月| 花|  有》 菺葵(けんき) 戎葵(からあふひ)《割書:共|いふ》 【囲みの外】くれない八重一重有 花形(くはぎよう)木綿(わた)の花のごとし紫一重千 重有雪白千重と一重有 源氏(げんじ)うすいろにて花のへり 白し八重一重有そこ白八重一重有花の中白し 【左丁】 【見出し、囲み部分】蜀葵(しよくき) 【囲みの外】又 底(そこ)赤と云は花の中赤しうす墨(すみ)薄(うす)ねずみ色八重一重有【囲み部分、解説文は前行の続き】 【区切り線】 【見出し、囲み部分】石蘭(せきらん) 【囲みの外】葉はしらんはくらんなとのことくにて根本 土(つち)の上に二三 寸高く岩のごとくなるかぶ有年々に数(かず)出(いで)て後(のち)は岩石(がんぜき)のごとし 其(その)間々(あい〳〵)に花七八寸に出る花のかたちは大蘭に似て色うこん也 岩石蘭(かんぜきらん)といふ六七月はなさく蘭も同時なり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】なごらん 【囲みの外】葉はほそ長くあつく葉のさき丸し葉の□【色】は緑青(りよくせい)に して青漆(せいしつ)をぬるがごとく花うす白少し青み有て色あさ 黄なり四五寸程に出て段(だん)〳〵に開(ひらき)花形(くはぎやう)は蘭花に似て五出 花中に一出有て濃紫色のかのこ有愛らしき花也七八月 咲(さく)也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】風蘭(ふうらん)《割書:花五|六月| ゟ》 おさ蘭(らん)《割書:八月| 迄》 【囲みの外】葉柳葉にしてほそくあつしつや有ちいさし花 のいろ白く小りん蘭花のごとし又なごらんありかや らんありなごらんは葉大葉にして花の色黄らんの小(ちいさ)きがごと し葉の間にさく根あがりてからことの外見事也かや らんは葉 対生(むかひしやう)ずしげく出で梭(をさ)【注】のかたちのごとし故(ゆへ)におさらん 【注 『日本大百科全書』(小学館)の「オサラン」の項には「筬蘭」の記載有。「筬」「梭(=杼:ひ)」はともに機織り道具の部品の名称。】 【四十一行下から五字目の□は『畫本野山草. [1]』コマ28(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)と校合し補字】 【右丁】 といふ又天人夢ともいふ棒らんといふあり草の茎のごとく小 えたわかれふし〳〵に極(こく)こまかなる花さくかはりたるものなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】石斛(せきこく)又 《割書:木に生(しやうず)るを》 木斛(もくこく)《割書:と| 云》 《割書:花五六月》 【囲みの外】さゝ葉に似てあつく小葉(こは)にして茎(くき)にひげ有一ふしづゝ くゝり有 花形(くはぎやう)風(ふう)らんと同(をな)しく白し又うすべに有 棕梠(しゆろの) 皮(かは)にてつゝみつりものにてもてあそぶ正二月花有 【区切り線】 石斛(せきこく)生(しやうず)_二 六安(ろくあん)山谷水傍(さんこくすいのかたはら)石上(せきしやうに)_一今(いま)荊州(けいしう)広州郡(かうしうぐん)及(をよひ)温合(をんがう) 州(しうに)亦(もまた)有(あり)_レ之(これ)以(もつて)_二広南者(こうなんのものを)_一為(す)_レ佳(かなりと)多(をゝく)在(あり)_二山谷中(さんこくのうちに)_一 五月 生(しやうじ)_レ苗(なへを)茎(くき) 似(にたり)_二竹節(ちくせつに)_一節間(ふしのあいだ)出(いだす)_二砕葉(すいえうを)_一 七月 開(ひらく)_レ花(はなを)十月 結(むすぶ)_レ実(みを)《振り仮名:其根|その□【ね】》細(さい)長 黄色(きいろ也)七月八月 採(とる)_レ茎(くきを)以(もつて)_二桑灰湯(くはのあくを)_一沃(そゝけは)_レ之(これを)色(いろ)如(ごとし)_レ金(きんの)陰乾(かげほしして)用(もちゆ) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】つりがねかづら 【囲みの外】花のかたちほうちやくのごとく花の色白くう るみありはなびらに紫(むらさき)のごまふありはなびら五つにして うつぶきさく葉 風車(かざぐるま)のかたちに似れとも葉かた〳〵に付(つい)て 両方(りやうはう)にむかはす又しの立(だち)も似(に)たり山中の谷(たに)に有□【三】四月より八月迄有 【左丁】 釣鐘(つりがね)かづら 【十五行下から三字目「根」のルビ□は橘保国 画『絵本野山草 5巻』[1],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569335 コマ30と校合し補字】 【二十二行下から九字目の□(上の横線の左端が薄く見える)は『畫本野山草. [1]』コマ29(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)と校合し補字】 【右丁】 【見出し、囲み部分】黄蕙(わうけい)【囲みの外】葉しらんに似てひろくやはらかなりはなのかたちらんのご とし色上々うこんなり葉にしろきほし入るもあり黄のほし 入(いる)もありこれをほしけいともほしがんぜきともこけいともいふ 根(ね)のもとにたまありがんぜきのごとし四月はなさく 【区切り線】 黄蕙(わうけい) 【左丁】 画本野山草巻之二目録  時計(とけい)草  春蘭(しゆんらん)     時鳥(ほとゝぎす)  桜菜(さくらな)   春蕙(しゆんけい)草    雪の下  棣棠(やまぶき)   野芍薬(のしやくやく)    しやが  仙台萩(せ▢[ん]だいはぎ)  紫白根葵(むらさきしろねあふひ)  挾竹桃(けうちくと▢[う])  金桜茨(きんをういばら)  釣鐘(つりがね)草    花忍(はなしのぶ)  熊野菊(くまのきく)  はくまなてしこ 靱(うつぼ)草 【▢は『畫本野山草. [2]』コマ2(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)と校合し補字】 【右丁】  宝釈(ほうちやく)草  蘭(らん)     八代(やつしろ)草  万花(まんくは)草  黄芩(わうごん)    花覆盆子(はないちご)  松本剪(まつもとせん)  がんひ    小しやが  水河骨(みづかふほね)  六(む)つ出杜若(でかきつばた) 菖蒲咲(あやめさき)  芍薬(しやくやく)   春蘭     春竜胆(はるりんだう)  ほとけ草 九曜(くよう)草 【左丁】 時計草(とけいさう) ウテナ白六クサノシルクマ ハナヒラ内白白六クマ 又ソト白サキヨリ白六クマ ハナヒラ十枚ウテ十三枚 【右下】 ○三ツ丁子カシラムラサキシクトモ ○五ツシモクカシラキ色シク白六 ○又ウリガタ中シントモ白六 ○又中シンノキワノクロミ又中  ホドノクロミ是ムラサキキヤウ ○中白シへ又ソト中ノシベ白 【図右下】 葉一ハン 六セウ 【二行一字目~「宝釈草」は「宝鐸草」ヵ。どちらも情報有。】 【右丁】 春蘭(しゆんらん) 時鳥(ほとゝぎす) 【右図・右】 花生エンシノグ内白 ソトクサノシルクマ 【右図・中央】【注】 白六 クサクマ 【左図・上】 花ノ地コフン 生エンシクマ 星生エンシ 【左図・中央】【注】 クサノシルクマ 又生エンシノキヲヒ 【左丁】 桜菜(さくらな) 春蕙草(しゆんけいさう) 【右図・上】 花エンシグ生エンシノクマ 【左図・左上】 花コフン上シワウカケ ウスヲウトクマ 【左図・中央】【注】 白六生エンシ クマシワウ ガケ 【注 線で図の該当箇所を指している】 【右丁】 雪下(ゆきのした) 棣棠(やまぶき) 【左丁 文字無】 【右丁】 【見出し、囲み部分】時計草(とけいさう) 《割書:ほじろ|   草》 《割書:とも| いふ》 【囲みの外】花(はな)色(いろ)白(しろ)し花 蕊立(しのだち)かたち風車(かざくるま)のごとく内に茶筌(ちやせん)の ほのごとくきざ有 二廻(ふたまは)り立(たち)其(その)とまり紺色(こんいろ)也其うちに 高砂百合(たかさごゆり)のごとくなるもの五つ長(なが)く立(たち)花の底(そこ)黄(き)いろ うちの方 白(しろ)く黄(き)色のふち取(とり)又其のうちに本紫(ほんむらさき)わらび手(て)の丁子(てうじ) がしら蜘蛛手(くもて)のしん立(たち)そのしんの根(ね)に紫色 髪(かみ)すじのごとく小(ちいさく) ほそきものしべにて取廻(とりまは)しくも手(て)のしんのうち亦(また)茶(ちや)色 米(け) 嚢(し)花の実(み)のごとく成(なる)もの長く立(たつ)花四つ時より開(ひら)き八つ時迄かゝへ日 に向(むか)ふ花しべのきざ廻(まは)ること時計(とけい)のごとく四月より咲出(さきだ)し七八月まて咲 【区切り線】 【見出し、囲み部分】春蘭(しゆんらん)《割書:一名》独頭蘭(とくとうらん)【囲みの外】葉(は)蘭(らん)に似(に)て小(ちいさ)し春(はる)白(しろ)うす紅(べに)の花を開(ひらく)らんのごとし二月花 【区切り線】 【見出し、囲み部分】郭公(ほとゝぎす)  草(さう) 【囲みの外】花(はな)の形(かたち)桔梗(ききやう)の花びらのかゝりにて細手(ほそで)也色 数(かす[ずヵ])多(をゝ)し白あり 柿紅(かきべに)有(あり)又 本黄(ほんき)うす黄有花びら白く内に黒紅(くろべに)色のほし 入を山ほとゝぎすといふ葉さゝばにしてあつく茎(くき)をまいて出る葉の 上(うへ)に黒きほし有又なきも有 茎葉(くきは)ともにうすき毛艸(ひげ)有うぐひす 草(さう)とよぶも是よりわかちてよぶ也九月花 咲(さく)長(たけ)二 尺(しやく)あまりなり 【左丁】 【見出し、囲み部分】さくらな 《割書:さくら|  草》 《割書:品多し|三月より》 《割書:四月迄| 花さく》 【囲みの外】花の形(かたち)桜(さくら)花のごとくしのだち廻(まは)り咲(さく)花に色 数(かず)多(をゝ)し白 或(あるひ)は 雪白(ゆきしろ)紫(むらさき)又 咲分(さきわけ)うす紫 飛入(とびいり)有咲分桜草は今のしぼりにあらず 一りんの花びらに紫と白と色 分(わか)るうす紫は花 少(すこ)し大りん小町(こまち)桜草 といふ飛入りはしぼりさくら草 錦(にしき)桜草又咲分さくら草といふ長六七寸 【区切り線】 【見出し、囲み部分】春けい《割書:三月| 花》【囲みの外】葉(は)しらんに似(に)てひろくやはらかなりはなのかた ちらんのごとく色 黄(き)うこんなり葉にしろきほしあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】やまぶき 棣棠(ていたう) 酴醿花(どびくは) 【囲みの外】花はなはだ黄いろにしてかたち庭(には)ざくらのごとく葉は 金(きん)のういばらのごとくちゞみあり一 種(しゆ)は一重(ひとへ)此花山ざくら のごとく又色に二 種(しゆ)あり一種は白くしの立(だち)いばらの ごとし二三月花 咲(さく)又秋より冬迄咲くかへり花も有 山原(やまはら)に生(しやう)ず 【区切り線】 【見出し、囲み部分】ゆきの下 《割書:一名》石荷(せきか) 《割書:又》虎耳草(こじさう)  といふ 【囲みの外】花三月咲 真中(まんなか)より蕨(わらび)のごとく出(いで)て花形雪のごとし葩(はなびら) 三 枚(まい)は小(ちい)さし二枚は大(をゝい)にして長(なが)し花色白葉の形(かたち)丸く雪輪(ゆきわ) のもやうのごとくにしてあつし葉のうら若葉(わかば)は本紅(ほんべに)古(ふる)はは 薄紅(うすべに)也 表(をもて)に薄(うす)白き筋(すじ)有 根下(ねのした)より長き蔓(つる)出(いで)て先(さき)にめがい生(しやう)ず地(ぢ)に根(ね)ををろす 【十八行下から六字目「数」ルビの「す」は濁点の一つが有るように見える。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[2],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569336 コマ7も同様。『畫本野山草.[2]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ6では「ず」。】 【二十一行下から七字目~「毛艸」のルビ「げ」は国立国会図書館デジタルコレクション(右注と同)で校合し補字】 【右丁】 野芍薬(のじやくやく) 花白生エンシクマ 中シン生エンシ ニヲヒキ 【左丁】 しやが 仙台萩(せんだいはぎ) 【右丁】 むらさき白根葵 【左丁】 【見出し、囲み部分】野芍薬(のしやくやく)《割書:三月|花》 【囲みの外】はな葉(は)ともに芍薬に似(に)たり紅白(こうはく)二しゆ ありいづれも見ごとなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】しやが 《割書:二三月花》 【囲みの外】花のかたち小蝶(こてう)のとぶごときうすむらさき 白二 種(しゆ)あり葉(は)にすじ入たるあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】せんだい 萩《割書:三月》 【囲みの外】はな本黄 豆(まめ)のはなに似(に)たり葉(は)ははぎの葉の ごとくにて葉(は)さきとがる 【区切り線】 【見出し、囲み部分】紫白根葵【囲みの外】花のかたち芙蓉(ふよう)のごとし外(そと)むらさきにして うち白し葉つねのあふひに似たりさきとがりしのたち銭(せに) あふひのごとく花よこにうつぶく花 一重(ひとへ)四月はなあり 【右丁】 挟竹桃(けうちくとう) 花生エンシグ 同クマ内ノ黒ハ ゴフン外ハエンジ 【左丁 文字無】 【右丁】 金桜茨(きんのういばら) 【左丁】 釣鐘草(つりがねさう) 花忍(はなしのぶ) 【右丁】 【見出し、囲み部分】挟竹桃(けうちくたう) 【囲みの外】六月 土用前(どようまへ)より花ひらき七八月まて咲(さく) なりはなのかたち二弁桃(ふたえもゝ)のごとくまた外(そと)に 海棠花(かいだうくは)のごとく紅(あか)き台(うてな)有又其下に青(あを)き本 台(うてな)有花 の色うす紅(べに)にして白き飛入(とびいり)有又 葩(はなびら)中心(まんなか)に白牙(しろききざ)あり 蕊(しべ)の中心(まんなか)に三 筋(すじ)木綿糸(もめんいと)をむしつたるごとく又葉は 女竹(をんなだけ)のごとく細長(ほそなか)し艶(つや)有あつきことゆづりはのご とし葉三 方(ばう)につき枝(えだ)三方に出し木(き)のしのだち竹の ごとく節(ふし)葉(は)ごとに有はなのしの立(たち)【注】赬桐(とうぎり)のごとし木 の高(たか)さ大小(だいせう)有大の高さ六七尺 余(よ)なり小の高さ四五寸 なるもはなさく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】金桜子(きんをうし)《割書:三四月| 花さく》【囲みの外】叢生薔薇(くさむらせうび)に類(るい)すはり有四五月白き花 を開(ひら)く大さ二三寸いろ大白にしてしべ長し同色白 【左丁】 にほひ黄(き)にして多(をゝ)し香(か)甚(はなはだ)高(たか)き花なりはなのかたち は芍薬(しやくやく)のごとく一重(ひとえ)也 葉(は)三葉 少(すこ)し長(ながく)つやありはな の台(うてな)葉の茎(くき)木ともはりありうてな葉のくきの 針(はり)けむしのごとく木のはりしげくこれをもつ て垣(かき)につくる又一名をしだれいばらともいふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】釣鐘草(つりがねさう)【囲みの外】ほうちやく草(さう)に似てはなうつふけり はなのいろうすむらさきにして葉びいどろ虎尾(とらのお)に 似たり葉つやありぢくにふし有長三尺ばかり五六 月はな有本名 沙参(しやじん)崖壁(がいへき)の間(あいだ)にあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】花忍(はなしのぶ)【囲みの外】葉 草(くさ)ふぢに似たり花のしの立(だち)は八代草(やつしろさう)に 似てのび花のかたち桔梗(ききやう)のごとく色うすむらさきまた 白も有たけ二三尺ばかり花五月 中旬(ちうじゆん)にあり 【注 ルビ「た」は「だ」ヵ。濁点の一つが有るように見える。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[2],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569336 コマ12も同様。『畫本野山草.[2]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ11では「た」。】 【右丁】 熊野菊(くまのぎく) はぐま  なでしこ 【左丁】 靱草(うつぼさう) 宝釈艸(ほうちやくさう) 【十行目「宝釈艸(草)」は「宝鐸艸(草)」ヵ。どちらも情報有。】 【右丁】 蘭(らん) 八代草(やつしろさう) 【左丁】 万花草(まんくはさう) 黄芩艸(わうごんさう) 【右丁】 【見出し、囲み部分】熊野菊(くまのぎく) 微銜(びがん) 《割書:五月花》 【囲みの外】花のかたちもつかうの花のごとしいろ本黄なり 葉のかたち益母草(やくもさう)に似(に)てあつく大葉なり茎(くき)に むらさきのほし有 根本(ねもと)紫色(むらさきいろ)也又はんくはい草ともいふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】なでしこ《割書:六月| 花》【囲みの外】はな一重いろ白に紅しぼりよこきれふかきを こまとめといふまた地(ぢ)しろきれふかき中りんを白(しら) 糸(いと)といふ花白一重八重紅しぼりを駒片(こまかた)といふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】うつぼ草  《割書:五月花》 【囲みの外】はなのかたちうつぼのごとし葉より立のび 咲花に白むらさきうすいろ三 品(しな)あり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】ほうちやく草 《割書:又|白つりがね草|     といふ》 【囲みの外】葉 八代草(やつしろさう)に似(に)てはさき尖(とか)り茎(くき)にあかみ有 花のかたち小(こ)ぶくろのごとし紅白二種あり萕(せい) 苨(ねい)一名也はなつりかね草よりは長く大なり五月花さく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】蕙蘭(けいらん)《割書:花六|七月》 九節蘭(きうせつらん) 《割書:ふし九つ| 有をいふ》 【囲みの外】花のかたち蜂(はち)のごとく上々うこん色つやひかり 有はなしの三四本たちしの一本に六七りんづゝ さくにほひ甚(はなはだ)高(たか)し古哥(こか)に 山 蜂(はち)のすがたに 【左丁】 花の咲出(さきいで)てにほひやとをく人ををふらん葉にかはりちり 虎班(とらふ)【斑ヵ】ありすじ入たる有つま白有又 鳳茶(ほうさ)といふは花のかたち かはらず葉の尺ながくはさき四方へみだれつやひかり有 画(えかけ)る 鳳凰(ほうわう)の尾(お)のかたちに似(に)たり又かんらんといふ有 鳳蘭(ほうらん)に似(に)て葉に つやひかり有 小葉(こは)也尺みじかく冬にいたり寒(かん)を侵(をか)して 花さくはなちいさしくろべになり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】八代草(やつしろさう) 《割書:六七月花》 【囲みの外】花のかたち桔梗(ききやう)のごとくいろききう紅しのだち葉 のあいに咲(さく)花 一処(ひとゝころ)にさく葉はをどり草に似(に)たり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】万花草(まんくはさう)《割書:花六七月白有| 長尺あまり》【囲みの外】はなのかたち桐 ̄に似(に)てひらたくしべ長ふし て六すじありいろうすむらさき花のしの立(だち)桐 ̄の《振り仮名:如_レ花|はなのごとく》少(ちいさ)く下より 段々(だん〳〵)にさきのぼる葉まさ木(き)に似て丸く葉のめぐりに 白きりんあり草立(くさだち)まさ木に似て葉むかひあふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】黄芩草(わうごんさう) 《割書:六月中|  花》 【囲みの外】花 形(かたち)うつぼ草に似てながく色うすぎきやうにしてう つぼ草のごとし葉 向(むか)ひ合(あい)出(いで)てみそはきのごとし長尺 余(よ)山谷(やまたに)に生(しやう)ず 【右丁】 黄芩(わうごん)生(しやうず)_二秭帰(しき)川谷(せんこく)及(をよひ)冤句(ゑんかうに)_一今(いま)川蜀(せんしよく)河東(かとう)陜西(けうせい)近郡(きんくん)皆(みな) 有(あり)_レ之(これ)苗長(なへのながさ)尺余(しやくよ)茎簳(けうかん)麤(そにして)如(ごとし)_レ筋(はしの)【筯ヵ】葉(は)従(より)_レ 地(ち)四面(しめん)作(なす)_二叢生(そうせいを)_一類(るいす)_二 紫草(しさうに)_一高(たかさ)一尺許(いつしやくはかり)亦(また)有(あり)_二独茎者(どくけうのもの)_一葉(は)細長(さいちやう)青色(せいしよく)両両(りやう〳〵)相対(あいたいす) 六月(ろくぐはつ)開(ひらく)_二紫花(しくはを)_一根(ね)黄(きにして)如(ごとし)_二知母(ちもの)_一麤細(そさい)長(たけ)四五寸(しごすん)二月(にくはつ)八月(はちくはつ) 採(とる)_レ根(ねを)暴乾(さらしほし)用(もちゆ)_レ之(これを)呉普本草(ごふがほんさう) ̄に云(いはく)黄芩(わうごん)又(また)名(なづく)_二印頭(ゐんとうと)_一 一名(いちめいは)内(ない) 虚(きよ)二月(にくはつ)生(しやうす)_二赤黄葉(せきくはうえうを)_一両両(りやう〳〵)四面(しめん)相値(あいあふ)其茎中(そのくきうち)空(むなしく)或(あるひは)方円(はうえん) 高(たかさ)三四尺(さんししやく)花(はな)紫紅赤(しこうせき)五月(ごぐはつ)実(み)黒(くろく)根(ね)黄(きなり)二月(にぐはつより)至(いたつて)_二 九月(くぐはつ)_一採(とる) 一名(いちめいは)腐腸(ふちやう)一名(いちめいは)空腸(くうちやう)一名(いちめいは)内虚(ないきよ)一名(いちめいは)黄文(わうぶん)一名(いちめいは)経芩(けいごん) 一名(いちめいは)妬婦(どふ)《割書:味(あぢ)苦(にがく)大寒(だいかんにして)旡(なし)【注①】_レ毒(どく)治(ぢす)_二骨蒸(こつしやう)寒熱(かんねつ)往来(わうらい)腸(ちやう)|胃(い)不(ざるを)_一レ利(り)治(ぢし)_二 丁瘡(てうさうを)_一排(ひらき)_レ膿(うみを)治(ぢす)_二乳癰(にうよう)発背(はつせきを)【注②】_一》 【左丁】 花覆盆子(はないちご) 【見出し、囲み部分】花(はな)いち   ご 【囲みの外】花(はな)の形(かたち)江戸桜(えどさくら)の千葉花(せんよはな)に似(に)たり正中(まんなか)ほど うこん色(いろ)有(あり)葉(は)はやまぶき草(さう)のはに似(に)たり しのだちいばらのごとし三月にさく 【注① 「旡」は「無(无)」ヵ。「无」は「無」の同字(確認資料:『新漢語林(第二版)』鎌田正・米山寅太郎 著(大修館書店))。】 【注② 「発背」は「発脊」ヵ「発赤」ヵ】 【六行一字目「採」のルビ「る」は「り」ヵ。『畫本野山草.[2]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ15では「り」。】 【六行下から五字目~「印頭」のルビ末尾の「と」は上に横線有。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[2],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569336 コマ16も同様。『畫本野山草.[2]』(右注と同)では「と」。】 【十行割書右側三字目~「大寒」のルビ「に」は小さい字】 【右丁】 松本剪(まつもとせん) 【右下】 がんぴ 花内丹キウ ワウ少クハヱ ヌルヱンシクマ 【図中央下 線で図の該当箇所を指している】 丹ニクシキ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】小しやが 【囲みの外】花(はな)つねのしやがにて小(ちい)さしいろうすむらさきなり立(たつ)ひら白(しろ)く うすむらさきぜんたい白(しろ)もあり葉(は)同(をなじ)く小(ちい)さく三月はなさく也 【左丁】 小しやが 【区切り線】 【見出し、囲み部分】松本せん 剪紅花(せんこうくは) 剪秋蘿(せんしうら) 【囲みの外】花に色数多し紫松本は花の色うすむらさきなりから錦 松本は本紅に白のかすりしけし錦川松本はからにしき よりはかすりすくなし白八重松本は花ひら六七枚より八九枚 出る花形松本は花びらかさねさくにいろ本紅也五月はな有 【右丁】 水河骨(みづかうほね) 【左丁】 六(む)ッ出(で)  杜若(かきつばた) 菖蒲咲(しやうぶさき) 【右丁】 芍薬(しやくやく) 【左丁 文字無】 【右丁】 【見出し、囲み部分】《割書:水かふ|  ほね》 沢蓬草(たくほうさう) 《割書:四月花》 【囲みの外】葉あつくつや有葉さき尖(とが)り茎(くき)のもときれありくきふ とく葉見事也花又あつく艶(つや)有 銀(ぎん)ばい草の花をあつく したるごとし黄紅(きべに)有紅といふも咲(さき)出し黄にして花の ふけるにしたがひ紅色出る也 姫(ひめ)かうほね有草立 至極(しごく)ちいさし花葉共 に同し又しんくれなひといふ有花のうちあかく外(そと)黄(き)色なり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】かきつばた 紫燕花(しえんくは) 《割書:六つ出五つ出|しぼり四月|五月 四季(しき)さき》 【囲みの外】花 数(かず)多(をゝ)し四季咲(しきさき)ありねずみ色有白有紫有 地(ぢ)む らさきに白の班入(ふいり)【班は斑ヵ】あり鷲(わし)の尾(お)といふ地白に紫の粟紋(なゝこ) 一処に入を舞鶴(まひつる)といふ地(ぢ)あいきゝやうにて花 殊外(ことのほか)大 りん有 濡(ぬれ)きぬといふ白六えう有むらさき六えう有 大(をゝ)八ッはしといふもいろ紫花すぐれて大りんなり村雲といふは 地うすねずみにむらさきのしぼり少し入これに六えうあり一 種(しゆ) 摂刕(せつしう)吹田辺(すいたへん)に花ありいろ舞(まひ)つるのごとくはなびら一ぱいに粟紋(なゝこ)入 見事也其外色 立(たて)しぼり立(たち)ちがひ有も有 悉(こと〳〵く)のするに暇(いとま)あらず 【区切り線】 【見出し、囲み部分】芍薬(しやくやく)《割書:四月中|はなさく》【囲みの外】数(かず)定(さだま)らず多(をゝ)し一重八重千重有色大紅あり 【左丁】 大白有 淡紅(うすへに)白うす紅そこ白内紅有大紫中紫うす紫白うす紫 あり底赤(そこあか)有中の香(にほひ)に大白有大黄大白銀しでといふ大黄金しでと いふ中(ちう)紫ふち黄なるをにしき立といふ又 牡丹(ぼたん)に似(に)たるを牡丹 立(だち)といふ只(たゝ) にほひみじかく小(ちい)さきを上といふ大なるを下といふ又 中心(まんなか)に実(み)牡丹の ごとく三つ立(たち)五つ立(たち)地(ぢ)より芽(め)出(いで)色 赤(あかく)長(たけ)のびること二三尺なるをよしとす 葉枝ともにをも木にひきそひ天(そら)へ立(たつ)也葉に三の枝有九葉七葉五葉 三葉有亦 末(すへ)を五葉にして元(もと)に二葉両方むかひあふたるあり 【区切り線】 芍薬(しやくやく)生(しやうず)_二 中岳(ちうがく)川谷(せんこく)及(をよび)丘陵(きうれうに)_一今(いま)処処(しよ〳〵)有(あり)_レ之(これ)准南者(わいなんのもの)勝(まさる)春(はる) 生(しやうず)_二紅芽(こうがを)_一作(なす)_レ叢(くさむらを)茎上(けうしやう)三枝五葉(さんしごえう)似(にて)_二 牡丹(ぼたんに)_一而 狭長(けうちやう)高(たかさ)一二(いちに) 尺(しやく)夏(なつ)始(はじめて)開(ひらく)_レ花(はなを)有(あり)_二紅白紫(こうはくしの)数種(すしゆ)_一子(み)似(にて)_二牡丹(ぼたんに)_一而 小(すこしき也)秋時(しうじ)采(とる) _レ根(ねを)根(ねも)亦(また)有(あり)_二赤白(せきびやくの)二色(にしき)_一崔豹(さいほうが)古今注(ここんちうに)云(いはく)芍薬 ̄に有(あり)_二 二種(にしゆ)_一有(あり)_二 草(さう)芍薬 木(ぼく)芍薬_一木者(ぼくは)花(はな)大而(をゝいにして)色(いろ)深(ふかし)俗(ぞく) ̄に呼(よんで)為(するは)_二牡丹(ぼたんと)_一非也(ひなり) 一名(いちめいは)何離(かり)一名 ̄は白朮(びやくじゆつ)一名 ̄は余客(よかく)一名 ̄は犂食(りしよく)一名 ̄は解倉(かいさう)一名 ̄は鋋(せん) 【右丁】 春蘭 花コフンニ白ロク少  クハヱヌルエンシノクマ  星同スシ同 春竜胆(はるりんだう) 【左丁】 ほとけ   草 九曜草(くようさう) 【右丁】 【見出し、囲み部分】春蘭(しゆんらん) 山蘭(さんらん) 幽蘭(ゆうらん) 国香(こくかう) 【囲みの外】花一本に一りん有花 香(にほふ)こと蕙蘭(けいらん)にかはらす色少し黄也又葉 もけいらんと同し又花のさやかつ〳〵有さやの色白うす黄青し じくうす青紫色有 左伝(さてん) ̄に国香(こくかう)鄭文公妾(ていのぶんこうのしやう)有 燕姞(えんきつ)といふに蘭(らん) を与(あた)ふと夢(ゆめみる)蘭に国香(こくかう)有 人眼(にんがん)をしてこれに媚(こびしむ)と也三月花 【区切り線】 【見出し、囲み部分】春竜胆(はるりんだう)《割書:又はるぎきやう| ともいふ》【囲みの外】はなのかたち八重ききやうに似て花のうら白 あさぎうす紅のほし有葉りんだうよりみじかく丸しさきと がりはなのしのだちりんだうにかはらす三月はなさく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】仏子草(ほとけくさ) 《割書:三月| はなさく》 【囲みの外】はな六ようにしてうてななしはなのいろそこ濃(こい) 紅(べに)にして下(した)より黒(くろ)みあり又うちうらうすべに にしてさきよりしろみあり葉まんだら花に似て大(をゝけ)く はなのしのだちをだまき草(さう)に似(に)たり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】九曜艸(くようさう)《割書:三月|はな》 狗舌草(くぜつさう)《割書: 咲》 【囲みの外】はなのかたち菊のごとくいろ本黄しのだちまは りさく葉(は)は苦葵菜のはに似てちいさし下(した)に付(つく) 単弁(ひとえ)有 千弁(せんえ)ありひとへを沢(さは)もつこうともいふ 【左丁 文字無】 【十九行下から二字目「大」のルビ「をゝけ」は『畫本野山草. [2]』コマ21(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では「をゝき」】 【右丁 文字無し】 【左丁】 画本野山草巻之三目録  鶏頭(けいとう)  玫瑰花(はいくはいくは) 《割書:むらさき|はま茄子》  泥(ぬま)あやめ  清蘭(せいらん)草 しんこ花 草額(くさがく)  白糸(しらいと)草  撫子(なでしこ)《割書:雪山 紅紫 白一重時斗【計ヵ】 吹合 唐撫子 小倉|大坂 孔雀 しゝぼたん 白糸 底紅 南京》 銭葵(ぜにあふひ)  びよう  萱草(くはんざう)  紫陽花(あぢさゐ) 山紫(やまむらさき)  秋葵(あきあふひ)  草山吹(くさやまぶき) 東菊(あづまぎく)  碇(いかり)草  蒲公草(たんぽゝ) 鬼荊(をにいばら)  草蓮花(くされんげ) 白虎尾(しろとらのお) 【この文書の「巻之三」は『畫本野山草. [3]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1(くずし字))の求版本】 【右丁】  硝子虎尾(びいどろとらのお) 沢瀉(をもだか)  八重沢瀉(やえをもたか)  星(ほし)草  三つ柏(かしは)  秋海棠(しうかいと[ど]う) 鳥甲(とりかぶと)    曙艸(あけぼのさう)  野菊(のきく)   溝萩(みぞはぎ)  がく草    千日紅(せんにちこう)  檜扇(ひをふぎ)   藤撫子(ふぢなて[で]しこ) あらせいとう 七輪(しちりん)草  羅生門(らしやうもん)  日車(ひくるま)  残菊(ざんきく) 【左丁】 鶏頭花(けいとうくは) 【図右下】 花地朱 生エンシクマ      同ツヽキ 【図左】 白六 シヲウ カケル 花キ 【右丁】 玫瑰花(はいくはいくは) むらさき浜茄子(はまなすび) 【左丁】 泥(ぬま)あやめ 花エンシク キヲイアイノクマ 生エンシカクル 【図右 線で該当箇所を指している】 キ 【図左】 花コン 【図左下 線で該当箇所を指している】 キ 【右丁】 清蘭草(せいらんさう) しんこ花 《割書:花ゴフン【注】| 生エンシクマ》 【左丁】 草額(くさがく) 白糸草(しらいとさう) 《割書:花白》 【注 「ゴ」の濁点は不明瞭。『畫本野山草. [3]』5コマでは「ゴフシ」(濁点の部分は点が一つ)に見える。】 【右丁】 【見出し、囲み部分】鶏冠花(けいくは[わヵ]んくは) 【囲みの外】三月 苗(なへ)生(しやうし)夏(なつ)【注①】高(たか)さ五六尺葉 青(あをく)柔(やはらか)なり又高一寸あまり有 もはなさく花に大小有大は一尺 余(よ)色三いろ又五品也はな 赤(あか)きは毛氈(もうせん)のことく黄色はうこんの染色(そめいろ)のごとく花形(くはきやう)丸(まろく)【注②】長(なが)み有を からけいとうといふ白赤(い[し]ろあか)さきわけ色〳〵とび入(いり)色々(いろ〳〵)しますし色 〳〵有又 小(ちいさ)き丸(まる)有五つ開(ひらい)て小(ちいさ)きたねをむすぶ又やりけいとうは たまぼこなりにしてみな種(たね)也 是(これ)三色(みいろ)あり三月より十月まで 有又 野(の)けいとうは白うすむらさき有 野原(のはら)に多(をゝ)くあり 【区切り線】 《振り仮名:鶏-冠|けいくは【わヵ】ん》有(あり)_二《振り仮名:紅-白|こうはくの》《振り仮名:二-色|にしき》_一又(また)有(あり)_下 一枝上(いつしうへに)《振り仮名:秀_二【-】出|しうしゆつする》五色(ごしきを)_一者(もの)_上甚佳(はなはだかなり) 又(また)《振り仮名:木-紅|ぼくこう》者(は)一-名 ̄は《振り仮名:寿-星鶏-冠|じゆせいけいくは【わヵ】ん》即(すなはち)《振り仮名:矮-脚鶏-冠|わいきやくけいくは【わヵ】ん》亦(また)有(あり)_二紅-白 二-色_一或云(あるひはいはく)即(すなはち)玉樹後庭花(ぎよくじゆごていくは)也(なりと)其葉(そのは)甚肥(はなはだこへて)可(べし)_レ入(いる)_レ饌(せんに) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】玫瑰花(はいくはいくは)《割書:三月四月|花ひらく》【囲みの外】荊(いばら)せうびのるいなり葉は青出(あをで)花は紅紫色ひとへ大 りんにして芍薬(しやくやく)のごとく実(み)は丸く少(ちい)さくとがりりんごのごとくう こん色にして後(のち)じゆくして朱紅(しゆべに)色又はなよりまさりて詠(なかめ)有 ○時珍(じちん)が曰(いはく)高(たか)さ二三尺 枝(えた)多(をゝ)く針(はり)あり葉せうびに似(に)てへり 【左丁】 にのこぎりあり四月にはなひらく大なるは鉢(はち)のごとくす こしきなるはさかづきのごとく妙香(めうかう)らんじやのごとしといへり 【区切り線】 玫瑰花(はいくはいくは)甚(はなはだ)香喜(にほひよく)壮(さかんじて)宜(よろしく)【左ルビ:べし】_二不時(ふじに)分(わかつて)_レ種(たねを)方(まさに)盛(さかんなる)_一年(とし)久則(ひさしきときは) 槁花(かるはな)作(つくり)_レ糕(もちに)佳(かなり)又(また)有(あり)_二黄花者(くはうくはのもの)_一亦(また)佳(かなり)伹(たヾし)【但】不(さる)【注③】_レ香(かうばしから)耳(のみ) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 花しやうぶ 漢名 泥菖(でいしやう) 【囲みの外】花四五六月迄ぬまあやめともいふ葉(は)にすじ入有すじしやうぶと云 花に色数おびたゝし柿(かき)五 葉(よう)有又紅むらさき色花びらあつく うけかゝへ咲大々りんさつまうけさきといふ花形いろともに同しくしてはな すこしちいさき有 桔梗(きけう)さらさといふは地桔梗に白ふとく班(ふ)【斑ヵ】入 受(うけ)かゝへさき たてなりのり合といふは地白にうす桔梗うすくいるいつくしまといふは紅紫の しほり也 染絹(そめきぬ)といふは地白にうす紫の粟紋(なゝこ)花びらの中に入花びらあつし網の 手といふは地白にうす紅のすじほそくあみのことくに入千重の白といふは常のよりは 花びら多し其外白紅藤しほりるり色数百 種(しゆ)有こと〴〵く書(かき)つくされず其大がい也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】せいらん草【囲みの外】はなのかたちらしやう門のごとくいろうすきるりなり 葉はみそはぎのはによく似たり葉に斑入(ふいり)あり五月はなあり 【注①~③ 『畫本野山草. [3]』6コマと異なる。 ①夏(なつ)→立(たつ) ②まろく→まるく ③さる→ざる】 【右丁】 撫子(なでしこ) 紅紫(べにむらさき) 大坂 くじやくなでしこ 【図右】 雪山 【図下】 小倉 【図左下】 白一重時斗【計ヵ】 【左丁】 吹合 白糸 唐なでしこ 【図右下】 しゝぼたん 【図下】 南京 【図左下】 そこ紅 【右丁】 銭葵(ぜにあふひ) 【左丁】 びよう草 【右丁】 【見出し、囲み部分】 しんこ花 水巴軾(すいはげき) 【囲みの外】花しのだちくみいとのことき花すへよりさき出し白(しろく) ひらくほど紅(べに)いろ出(いづ)るみごとなり葉は秋筆草(あきふでさう)のご とく地際(ぢぎは)にいづるしんこはなともいふ二三月にさく也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】草(くさ)がく《割書:五六月|  花》【囲みの外】花の色青白く四方に四弁(しまい)はなびらの大な■【る】花さく 其うちみなこまかなり大なる花にてがくのふち取(とり)たるごとし高さ四五寸 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 白糸草(しらいとさう) 《割書:漢名》秦芃 【囲みの外】花葉ともにしやう〴〵袴(はかま)のごとししやう〴〵ばかまと は根(ね)にちがひあり別種(べつしゆ)なるべし七八月花さく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 なで  しこ 《割書:五月より| 六月迄》 【囲みの外】紫一重きれあるをするがといふうすべに千重 撫子(なでしこ)と云 も有白一重大りんきれふかきを大さぎといふ同しく中 りんを小(こ)さぎと云 少(すこ)しうつり有八重を朝(てう)せんさぎと と【と衍ヵ】云こひ紅一重を南京(なんきん)といふ是(これ)に八重有又こひ紅きれすくなきをご すでといふ花に一重八重有白に紅(べに)しぼりを駒(こま)にしきと云是に似(に)て しぼりよくきれふかきをこまとめといふ地白に藤(ふち[ぢ])紅なゝこしぼ り千重をあさぎりといふ白一重中りんきれふかきを白糸(しらいと)と 【左丁】 いふ又しらいとゝいふに白百重きれよく中りん有雪白青み色 牡丹咲を浅間(あさま)といふ又 滝(たき)の白(しら)いとゝ云紅十重中牡丹咲を花がら みといふ白 至極(しごく)大りんを巻竜(まきれう)といふ千重大ざきを雪ふじといふ 紫紅千重ぼたんざきをむさしのといふ又是より色よき牡丹咲有 からのかしらと云 藤紫(ふぢむらさき)八重大りんきれしこ【ご】くよきを花鳥(くはてう)山と いふ其外めづらしきなでしこ一重八重十重百重千重 数(す)百 種(しゆ)あり筆(ふで)につくしがたく又なでしこにて撫子(なてしこ)をはなれ物(もの)有 【区切り線】 ○蘧麦(きよばく)《割書:爾|雅》巨句麦(きよくばく)《割書:本|経》大菊(たいきく)《割書:爾|雅》大 蘭(らん)《割書:別|録》石竹(せきちく)《割書:日|華》南天竺草(なんてんぢくさう) 綱目(かうもく)弘景曰(こうけいがいはく)子(み)頗(すこぶる)似(にたり)_レ麦(ばくに)故(ゆへに)名(なづく)_二瞿麦(くばくと)_一○時珍曰(じちんがいはく)按(あんずるに)陸佃(りくてん) 解(げする)_二韓詩(かんしを)_一外伝云(ぐはいてんにいはく)生(しやうずる)_二于 両旁(りやうはう)_一謂(いふ)_二之(これを)瞿(くと)_一此(これ)麦之穂(むぎのほ)旁生故(はうせいするゆへ) 也(なり)爾雅(じがに)作(なす)_レ蘧(きよに)有(あり)_二渠衢二音(きよくのにをん)_一日華本草云(につくはほんさうにいはく)一名(いちめいは)燕麦(えんばく)一 名(めいは)杜姥草者(とらふさうといふは)誤矣(あやまれり)燕麦(えんばく)即(すなはち)雀麦(しやくはく)雀瞿(しやくく)二字(にじ)相近(あいちかし)伝写(てんしや) 之(の)訛爾(あやまりのみ)○瞿麦(くばく)生(しやうず)_二大山(たいさん)山谷(さんこくに)_一立秋(りつしうに)採(とりて)陰乾(かけぼしにす) 【不明瞭な字は、橘, 保国 ほか『絵本野山草 5巻』,柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション  https://dl.ndl.go.jp/pid/2608944で校合して補字】 【■は『畫本野山草. [3]』で校合して補字】 【右丁】 萱艸(くはんざう) 【図中央】 花ノ地ニクシキ ウスヲウトカケ エンシクマ 【左丁】 花ノ地アサキ 紫陽花(あぢさい) 【右丁】 山紫(やまむらさき) 【左丁】 秋葵(かうぞ) 【右丁】 【見出し、囲み部分】 銭葵(せにあふひ) 小葵(こあふひ) 菟葵(ときひ)【ひ衍ヵ】 【囲みの外】葉 形(かたち)戎葵(からあふひ)に似たり然(しかれ)共丸し花 大(をゝき)さ銭(ぜに)のごとく桜草(さくらさう)の花 に似(に)たりいろ白有うす紫有うす紅有高さ三四尺ばかり 但(たゞし)花ははのあい〳〵より出(いで)葉見事なるもの也四五月あり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 びやう柳 金糸桃 【囲みの外】花黄色にして桃(もゝ)のごとくしべ黄(き)にして糸(いと)のごとし葉長じ て柳(やなぎ)のごとし又木 細(ほそ)ふして糸(いと)のごとし葉は両方 ̄に封(ほう)すたてに延(のび)ず地(ち)にはふ 【区切り線】 金糸桃(きんしたう)花(はな)如(ことし)_レ桃(もゝの)而 心(しんに)有(あり)_二黄鬚(きなるひげ)_一《振り仮名:鋪_二-散|ふさんす》花外(くはぐはいに)_一若(ことく)_二 金糸(きんしの)_一然(しかり)亦(また)似(にたり)_二根下(ねのしたより)劈開(つんさきひらくに)_一分(わかつて)_レ種(たねを)三四月 花(はな)開(ひらく) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】くはん草【囲みの外】花いろ紅うこんかたちゆりの花のごとし葉すけに似て大(ふと)し花三月 【区切り線】 【見出し、囲み部分】紫陽花(あぢさい) 【囲みの外】しの立をでまりに似て高(たかさ)五六尺葉 両々(りやう〳〵)対(たい)して似(に)たり又 かたちは桜(さくら)に似(に)てこまかなるきざみ有花あつまり咲(さく)牡丹一 りんの大さをでまりのごとし又大小有 葩(はなびら)四 枚(まい)にして大(だい)は色白中はあさぎ 小(せう)は紫にして青(せい)也又色白有うす紅有黄あり四五月はなひらく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 山(やま) 紫(むらさき) 【囲みの外】小しきぶの木に似て枝しだれて花は少(すこ)しきなり五つはなびら 四五月咲秋 実(み)有色 藤紫(ふぢむらさき)ふさのことく葉 皆(みな)よめなのごとく相むかひつく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】あき葵【囲みの外】一名かうぞ又とろゝ草ともいふ花のかたち五月葵に同し 【左丁】 葉のかたちとりかぶとあるひはあさのはのごとくほそ長し葉に 大小有大は一尺 余(よ)又 茎(くき)長くはこはくとがり又のこぎり有もあり なきも有 但(たゞ)し形(かたち)すざましきもの也花黄白くしてそこに こき紫のきほひ有中のしんふように同じ花にふくろ包その 外に五の台(うてな)からむ秋の葵(あふひ)といへども夏(なつ)の土用(どよう)より七八月まで さく高六七尺ばかり○葵の種類(しゆるい)多(をゝ)し花黄なるを蜀葵(しよくき)と云花 の小なるを銭葵或はから葵と云花赤きを紅葵と云り○傾(かたぶく)_レ日(ひに)。《割書:説(せつ)|文(ぶん)》 《割書:黄葵つねに葉をかたふけて日に向て|其根をてらさず○日向葵を云か》○衛(もる)_レ足(あしを)。左伝(さでん) ̄ニ《振り仮名:葵-猶-能|あふひなをよく》衛(もる)_二其足(そのもとを)_一と云り 【区切り線】 秋葵(しうき)一名(いちめいは)黄蜀(かうそ)葵 説文(せつぶん)黄葵(わうき)常(つねに)傾(かたふけ)_レ葉(はを)向(むかふて)_レ日(ひに)不(ず)_レ令(しめ)_レ照(てらさ)其根(そのねを)虞(ぐ) 絮韓渥(じよかんあく)各(をの〳〵)有(あり)_レ賦(ふ)花(はな)《振り仮名:将_レ落|まさにをちんとするとき》《振り仮名:以_レ筯|はしをもつて》取(とり)浸(ひたし)_二菜油内(さいゆうのうちに)_一治(ぢするに)_二湯火瘡(たうくはさうを)【左ルビ:やけど】_一甚妙(はなはだめう)《割書:也》 【区切り線】 集解【注①】 ○禹鍚曰(うしやくかいはく)【鍚は錫ヵ】黄蜀葵(くわうしよくき)近道(きんたう)処処(しよ〳〵)有(あり)_レ之(これ)春(はる)生(しやうす)_レ苗(なへを)葉(は)頗(すこふる) 似(にて)_二蜀葵(しよくきに)_一而 葉(は)《割書:一【ニヵ】》尖小(せんしやう)多(をゝし)_二刻欠(こくけつ)_一夏末(なつのすへ)開(ひらく)_レ花(はなを)浅黄色(せんくわうしき)六 七月 採(とりて)《振り仮名:陰_二乾|かげぼしにす》【注②】之(これを)_一○宗奭曰(そうせきがいはく)黄蜀葵(くわうしよくき)与(と)_二蜀葵(しよくき)_一別種(べつしゆ)非(あらず)_二是(これ) 蜀葵中(しよくきのうち)黄者(きなるものに)_一也 葉心下(ようしんしたに)有(あり)_二紫檀色(したんしよく)_一摘下(とりくたし)剔散(てきさんして)《振り仮名:日_二乾|ほす》【注②】之(これを)_一 【注① 「集解」は四角囲み文字。この下に次の二行(四十九~五十行目)が書かれている。】 【注② 「乾」の前に「-」脱ヵ】 【四十三行目割書の右側十一字目「け」は『畫本野山草. [3]』では「げ」】 【四十三行目「葵猶能」の「-」は左側に書かれている】 【不明瞭な字は『畫本野山草. [3]』コマ12と校合し補字】 【右丁】 草山吹(くさやまぶき) 【左丁】 東菊(あづまぎく) 碇草(いかりさう) 【不明瞭な字は『畫本野山草. [3]』コマ13と校合し補字】 【右丁】 蒲公草(たんぽゝ) 【左丁】 鬼薊(をにあざみ) 【右丁】 【見出し、囲み部分】 山吹草 金糸梅(きんしばい) 【囲みの外】はなのかたち四つはなびらいろしごく本黄よるは しぼみ昼(ひる)はひらく葉 野蜀葵(みつば)に似たり三月はなさく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 小青(せうせい)草 あづま菊 【囲みの外】葉 菥蓂(をになづな)のごとくにてきれなし花しの立五六本たちうす 紅いろきくのごとき花小りん又千本やりともいふ二月花咲 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 いかり草 《割書:四五|月》 淫羊藿(いんようくはく)《割書:花| 有》 【囲みの外】花のかたちいかりのごとく色にこいむらさきうす紫有 葉ちいさく葉本ひずみ有 茎(くき)葉共にかたしまた白 はなあり三しなとも草に大小有大いかり小いかりといふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】たんぽゝ【囲みの外】はなのかたち菊に似(に)たり茎(くき) ̄に無枝(えだなし)かうほねのごとく葉大 がゝり有てなずなのごとくざとり冬より葉を出し緑(みとり)にして霜(しも)を うけてはのさきむらさきのこがれ有花の色黄又は白有又赤有と いへども今に見ず花冬より咲も有多くは三月にさく 【区切り線】 蒲公草(ほこうさう)旧(もと)不(ず)_レ著(あらはさ)所(ところ)_レ出(いづる)_二《振り仮名:州-土|しうどを》_一今(いま)処処(しよ〳〵)平沢(へいたく)田園中(てんえんのうち) 皆(みな)有(あり)_レ之(これ)春初(しゆんしよ)生(しやうず)_レ苗(なへを)葉(は)如(ごとし)_二苦苣(くきよの)_一有(あり)_二細剌(さいし)【刺ヵ】_一 中心(ちうしん)抽(ぬきんず)_二 一(いつ) 茎(けうを)_一茎端(けうたん)出(いだす)_二 二花(じくはを)_一色(いろ)黄(きにして)如(ごとし)_二金銭(きんせんの)_一断(きれば)_二其茎(そのくきを)_一有(あり)_二白汁(はくじう)出(いづる)_一 【左丁】 人(ひと)亦(また)噉(くらふ)_レ之(これを)俗呼(ぞくによんて)為(す)_二蒲英(ほえいと)_一 一名(いちめいは)構耨草(かうじよくさう)甘乎(あまくして)無(なし)_レ毒(どく) 主(つかさどる)_二婦人(ふじんの)乳癰腫(にうようしゆを)_一水煮(すいしやして)《振り仮名:汁_二飲|じういんし》【「汁-飲」ヵ】之(これを)_一及(をよひ)封(ほうずれは)_レ之(これを)立(たちどころに)消(しようす) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 あざみ  《割書:漢名》薊 《割書:三月花有四月|花開又五六月》 《割書:花有又秋さ|くもあり是》 《割書:は八月より|九月まで》 《割書:さくあざみ|  なり》 【囲みの外】花に数(かず)多(をゝ)し白 末紅(すえべに)本紅(ほんべに)あるひはすへ紫(むらさき)雪白又かき るりむらさきうす紅いろあり雪白に本紅のさき わけありむらさきに白のさきわけあり二種とも に至極(しごく)上品(じやうひん)なりまた日光(につくはう)あざみといふあり中(ちう)紫 大りん葉はつねのあざみと同じよく培養(そだつれ)ば至極(しごく) 大(をゝい)になるなりまた天竺(てんぢく)あざみといふもあり 朝鮮(てうせん)あざみともいふはな葉(は)ともに大(をゝい)なり はなのいろるりむらさき葉つねのあざみよりはきれふかく 平江帯(へこたい)のはを見るごとしくさだち格別(かくべつ)をゝきく目(め)ををど ろかせりまたことし黄(き)いろのあざみをはじめて見るはな のいろかはりたるといふばかりにてこのむにたらず葉に 斑(ふ)の入りたるも野(の)あさみを泥胡菜(きつねあさみ)ともいふなり 【不明瞭な字は『畫本野山草. [3]』コマ15と校合し補字】 【右丁】 草蓮花(くされんげ) 【左丁】 白虎尾草(しろとらのおさう) 硝子虎尾(ひいどろとらのを) 【右丁】 沢瀉(をもだか) 八重(やえ)   沢瀉(をもだか) 【左丁】 星草(ほしくさ) 三柏(みつかしは) 《割書:花ゴフシ|白六クマ》 【右丁】 【見出し、囲み部分】草蓮花(くされんげ)《割書:五月花| あり》【囲みの外】葉(は)のかたちあは雪のごとく見まがふ也しのたちのび葩(はなびら) あつくらう引(ひき)のごとくかたちれん花(け)のごとき花うつぶきさく 至極(しごく)見事なり花しのに小(こ)えだふりて茎(くき)花しの共にむらさき也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 虎尾(とらのお) 剪艸(せんさう) 《割書:五六【月脱ヵ】迄| 花さく》 【囲みの外】葉あつく山 薄荷(はつか)に似(に)て白き花ながくさく末(すえ)ほそく尾(お)のご としるりいろうす紫(むらさき)有るりいろの葉はこはくしかみ有 うす紫(むらさき)のはきれふかくひろしよもきのあつきがごとし 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 びいどろ《割書:又る|り》 とらのお《割書:とら|のお|とも云》 【囲みの外】紫の形(かたち)長くのこぎり色ひかりつや有葉 両方(りやうはう)に対(むかひ)葉なり 花の色るりこん葩(はなびら)四 枚(まい)葩丸し六月花咲又白きは葩五つひらに してさきとがり葉かた〳〵に付て艶(つや)なしさらつき有六月より七八月迄花咲 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 沢瀉花(をもだか) 白くはへ 黒くはへ 【囲みの外】は白くはへに同(をなじ)花 茎(くき)より車付(くるまつき)段(だん)〳〵につきてはなびら三 まい又八重のはな同して丸くふさのごとく二 種(しゆ)ともに色 しろしまんなかに黄なるにをひ有六七月花咲又白くはへには はな見えず黒くはへは葉とうしん或(あるひ)はつくものごとくはな見へず 【区切り線】 慈菰(じこ)生(しやうず)_二江河(こうか)及(をよひ)江東(こうとう)近水(きんすい)河溝(かかう)沙磧中(させきのうちに)_一。味(あぢはひ)甘(あまく)微苦(すこしにがく) 寒(かんにして)無(なし)_レ毒(どく)。葉(は)如(ごとく)_二剪刀形(せんとうのかたちの)_一茎幹(けうかん)似(にたり)_二嫩蒲(とんぽに)_一。又(また)似(にたり)_二 三梭(さんしゆんに)_一。苗(なへ)甚(はなはだ) 【左丁】 軟(やらかして)其色(そのいろ)深青緑(しんせいりよく)。毎(ことに)_レ叢(くさむら)十余茎(しうよけう)。内(うち)《振り仮名:抽_二-出|ちうしゆつす》一-二-茎(けうを)_一。上(うへに)分(わかつて) _レ枝(えたを)開(ひらく)_二小白花(せうはくくはを)_一。四弁蕊(しへんしべ)深黄色(しんくはうしよく)根(ね)大者(をゝいなるものは)如(ごとし)_レ杏(あんすの)。小者(すこしきなるは)如(ことし)_二 杏核(きやうかくの)_一。色(いろ)白而(しろくして)瑩滑(ゑいこつ也)。五月六月七月 採(とる)_レ葉(はを)。正月二月 採(とる)_レ根(ねを)。一名(いちめいは)剪刀草(せんたうさう)。一名 ̄ハ白地栗(はくぢりつ)。一名 ̄ハ河鳧茨(かふし) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】穀精草(こくせいさう)【囲みの外】田(た)の中(なか)に生(しやう)ず小(ちゐ)さく葉せきせうのことく花 針(はり)のごとく なるじく出(いで)其 枝(えだ)多(をゝ)く出(いで)てさきに星(ほし)のごとく成(なる)丸(まる)付(つく)いろ 白(しろ)くしてひかり有て星(ほし)のごとし是を名付(なづけ)星草(ほしくさ)といふ又一 種(しゆ)有 葉 大(をゝけ)くして花(はな)少(ちいさ)く数(かす)すこし出(いづ)るも有○蘇頌(そしやう)が穀田(こくてん)の中(うち)に生(しやう)ず三月 花 咲(さく)小円星(せうえんせい)に似(に)たりと云是 誤(あやま)り也 形(かたち)は合(あ)へども二三月には見(み)えす ○時珍(じちん)が云(いはく)穀(こく)をおさむる後(のち)荒田(くはうてん)の中(うち)に生(しやう)ず細茎(さいけう)高(たか)さ四五寸 茎(くき)の 頭(かしら)に小白花(せうはくくは)有 乱星(らんせい)のごとく九月にはなをとるといへり時節(じせつ)も よくあへども然(しか)らず極(きはめ)て小草(せうさう)なれは余草(よさう)にまけて生じ がたし○釈名(しやくめいに) 載星草(たいせいさう) 文星草(ぶんせいさう) 流星艸(りうせいさう) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 三 ̄ツ かしは 《割書:漢名》睡艸(すいさう) 【囲みの外】葉のかたち紋(もん)に付(つく)る三がしはのごとししのたち形ききやう 草(さう)の花に似(に)てはなびらのさき少(すこ)しきれ有二三月花さく 【不明瞭な字は『畫本野山草. [3]』コマ18と校合し補字】 【三十五行十五字目「如」のルビ「ごとし」は『畫本野山草. [3]』では「ことし」】 【右丁】 秋海棠(しうかいだう) 【左丁】 鳥甲(とりかぶと) 【右丁】 明ほの草 【図右】 花コンシエンシノクマ  同ウラクサクマ   スシ同 【図上】 大ホシハエンシ 小ホシハヲウド 野菊(のきく) 溝萩(みそはぎ) 【左丁】 がく草  花白青シ 【右丁】 【見出し、囲み部分】秋海棠(しうかいだう)《割書:七八月|はな|さく》【囲みの外】葉あつくもとひずみあり葉のつぢにいろあり 茎(くき)うすきいろふしあり四弁葩(しまいはなびら)二弁(にまい)は大(をゝい)に二弁はち いさしうち黄のつぢありはなびらうす紅(べに)いろなり 【区切り線】 秋海棠(しうかいたう)旧伝(きうてんに)為(す)_二爛腸草(らんちやうさうと)_一。近日(きんじつ)見(みる)_下 人(ひとの)取(とり)_レ梗(くきを)去(さり) _レ皮(かはを)蘸(ひたし)_二糖霜(さとうに)_一吃(くらふを)_上。頗(すこふる)清香(せいかう)其花(そのはな)艶麗(えんれい)可(べし)_レ愛(あいす) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 鳥(とり)かぶと《割書:八九|月》 草烏頭(さううづ)《割書:  花有》 【囲みの外】葉きくのはに似てあつくつや有きれふかし花 のかたち鳥かぶとのごとし花にるり白 柿紅(かきべに)三 いろあり又 蔓草(つるくさ)になるも有是をはなづるといふ葉すこし まろくきれこまかにつるより小(こ)えだ出(いづ)るはなはるりいろなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 みぞはぎ 鼠尾草(そびさう) 《割書:六七月花》 【囲みの外】葉の形(かたち)長丸(なかくまろ)し相 対付(むかひつい)て其葉の間々(あい〳〵)にはな有六つ葩(はなひら) 有又五つ葩有 段々(だん〳〵)入(いり)ちがひ也花色るりにして小き花 なり草立(くさだち)萩(はき)のごとし野(の)つゝみの下原(したはら)又みぞの辺(あたり)に多(をゝ)く生(しやう)ず 【区切り線】 別録曰(べつろくにいはく)鼠尾(そび)生(しやうず)_二平沢中(へいたくのうちに)_一。四月 採(とり)_レ葉(はを)七月 採(とりて) _レ花(はなを)陰乾(かげほしにす)。弘景曰(こうけいかいはく)田野(てんや)甚多(はなはだをゝし)。人(ひと)採(とりて)作(なし)_レ滋(しると)染(そむ)_レ皁(くろきいとを) 【左丁】 【見出し、囲み部分】 唐(から)あぢさい《割書:六|月》 がく草  《割書:咲》 【囲みの外】木も葉(は)もうつげに似(に)たり花はあぢさいに似てしろく 花のかたちほそながくして杦(すぎ)なりに薹(たう)たちて ひらくゆへから紫陽(あぢさい)ともいふ六月はなさく花の払底(ふつてい)なる時節(じせつ) にてはなかくそくあるゆへに又がく草(さう)ともいふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】あけぼの草【囲みの外】葉あちさいのごとくにて少しひろし花のかたち梅 の花のごとく白紅一重 葩(はなびら)のさきとがりうちに花びら一 弁(まい) に二つづゝほし入(いる)葉の間より花しのいで花数さく見事なり 吉野静(よしのしづか)ともいふ六七月にはなさく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】千日紅(せんにちこう)《割書:六月| 花有》【囲みの外】葉あつく茎(くき)むらさきのうつり有葉の末(すえ)に花 一りんづゝさくかたち丸くいろ紅紫 至極(しごく)見事也日をかさね花 のいろかはらず千日紅の名有白花有花葉共に同し 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 ひあふ   ぎ 《割書:五六月|はな有》 【囲みの外】花びらうちこひ柿紅(かきべに)ちいさきほし有また本黄(ほんき)いろに ほしなきも有又紅のほしなし有葉に白すじ入も 有葉うす白きすじ入花本黄にほしなしもあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】藤撫子(ふぢなでしこ)《割書:五六月| 花有》【囲みの外】葉川柳のはに似てあつくつや有花に紫白二色有花 びら五つはのうへにすゞなりにさく又 浜(はま)なてしこともいふ 【不明瞭な字は『畫本野山草. [3]』コマ21と校合し補字】 【十一行一字目~「草烏頭(さううづ)」は『畫本野山草. [3]』では「草鳥頭(さううう)」と書かれている】 【二十六行末「皁」のルビの「を」は『畫本野山草. [3]』では不明瞭】 【右丁】 千日紅(せんにちこう) 檜扇(ひあふき) 【左丁】 藤撫子(ふじなでしこ) 【右丁】 あらせいとう 七輪草(しちりんさう) 【左丁】 羅生門(らしやうもん) 【右丁】 【見出し、囲み部分】丈菊(じやうきく)【囲みの外】日向葵(ひうがあをひ)といふは長(たけ)七八尺花の大さ七八寸色黄にして春(しゆん) 菊(きく)に似たりかたち岩畳(がんでう)に見えて柔(やはらか)なり此はな朝(あした)は東(ひがし)に 向(むか)ひ日中(につちう)には南(みなみ)に廻(まは)り夕陽(せきやう)の比(ころ)は西(にし)にむかひ大陽(たいやう)を追(を)ふ よつて日車とも名つく合歓木(ねふりのき)は夕(ゆふべ)に葉をたゝみ朝に開(ひら)く其外 【区切り線】 日車草(ひぐるまさう) 【左丁】 朝に開き夕に葩(はなひら)を抱(かゝゆる)花 多(をゝ)し丈菊ひとり大陽にむかひ廻(まは)る 東坡(とうば)の詩(し)に李陵(りれう)衛律(ゑいりつ)陰山(いんざんに)死(しす)。不(ず)_レ似(に)_三葵花(きくはの)識(しるに)_二大陽(たいやうを)_一と云にひとし七八月花 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 あらせいとう《割書:三月》 紫羅蘭花(しららんくは) 《割書:はな|さく》 【囲みの外】葉のかたち柳葉(やなぎは)にしてひろくはのうへ に粉(こ)ふく茎(くき)ふとくふしたかしはな びら四弁(しまい)いろ紅(べに)むらさきにつやありそこ白し葉のうへ にすゞなりにさくあとに皁角(さや)有かたち豇豆(さゝげ)のごとし さゝげのはやなりにこれをかへもちゆるなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】 七りん草 九輪草(くりんさう) 旌節花(せいせつくは) 《割書:三月花|   さく》 【囲みの外】花のかたちさくら草のごとくにて葩(はなびら)あつくしの立(たち) まはりさくしのふとく立(たち)のびだん〳〵に咲(さく)色 数(かず)あり 白紅あるひはゆきしろげんじ又うすいろ咲分(さきわけ)有 地(ぢ)紅 にしてはなびらふる白きを源氏(げんじ)九りん草といふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】羅生門(らしやうもん)《割書:はな| 三月》【囲みの外】はなるり色とりかぶとのはなのごとし葉おどり 草のはにしてすこしながくうすし茎蔓(くきつる)生(しやう)ずくきを ふせふしより根(ね)ををろしはびこる 【右丁】 残菊(ざんきく) 花白マンナカシヲウノクマ ウラサキヨリエンシクマ 【左丁】 画本野山草巻之四目録  宝相花(ほうさうくは)  外浜(そとがはま)すかしゆり 為朝百合(ためともゆり)  下野(しもつけ)   芥子(けし)      美人(びし[じヵ]ん)草  岡河骨(をかかふほね)  鳳仙花(ほうせんくは)     べにの花  水葵(みづあふひ)   水梛(みづなぎ)      鷺(さぎ)草  野藤(のふぢ)草  花蓂茄(はなめうが)     金銭花(きんせんくは)  寒菊(かんきく)   朝鮮蕣(てうせんあさかほ)     大八代(をうやつしろ) 【十三行目「花蓂茄」のルビ「が」は国立国会図書館デジタルコレクションのデータと校合し補字(橘保国 画『絵本野山草 5巻』[4],柳原喜兵衛,文化3. https://dl.ndl.go.jp/pid/2569338)】 【畫本野山草. [4] コマ2(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では、十二行目「水葵」のルビは「みつあふひ」】 【右丁】  貴船(きぶね)菊 朝顔(あさかほ)   宮城野萩(みやぎのはぎ)  昼顔(ひるかほ)  夕顔(ゆふかほ)   達磨(たるま)菊  竜胆(りんだう)  菝葜(はつかついはら)  冬牡丹(ふゆほ[ぼヵ]たん)  元日(くはんじつ)草 【左丁】 宝相花(ほうさうけ) 【畫本野山草. [4] コマ3(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では、三行目「達磨」のルビは「だるま」、四行目「菝葜」のルビは「はつかついばら」】 【右丁】 【下図の右上に記載】 外(そと)がはま  すかしゆり 【上図の上に記載】  花ゴフン  中ヨリ  シワウクマ 為朝(ためとも)   百合(ゆり) 【左丁】  下野(しもつけ) 【右丁】 芥子(けし)花 【左丁】 美人草(びじんさう) 【右丁】 【見出し、囲み部分】宝相花(ほうさうくは) 【囲みの外】薔薇(しやうび)に類(るい)す花 大(をゝけ)し大白(たいはく)有大 紅(こう)有 千弁(せんえ)二 種(しゆ)あり 長春花(ちやうしゆんくは)より花葉ともに大し三四月にさく俗(ぞく)に 長(なが)いばらといふ牛勒(きうろく)一名(いちめい) ̄は牛棘(きうきよく)一名 ̄は剌紅(しこう)【剌は刺ヵ】といふ山中(やまなか)の大木(たいぼく)の根(ね)に 生(しやう)ず又 谷岩(たにいは)のうへよりはへさがるあるひは岸(きし)又山 原(はら)よりはへ さがるまた長春花より葉のちいさきもあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】外浜(そとがはま)すかし百合(ゆり)【囲みの外】花つねのすかしゆりにしていろ萱草(くはんさう)に 似てほしなし中心さきとんぼうがしら六筋(むすじ)蕊(しへ)のさき紫色の米(こめ) 粒(つぶ)有又葉 常(つね)の百合(ゆり)より細長(ほそなが)し三四月に花有長三尺ばかり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】為朝(ためとも) 百合(ゆり) 【囲みの外】花の色白く鹿子(かのこ)有むらさきくろ中心とんほうがしら とびいろしべ同(をなじく)葉(は)鹿子(かのこ)ゆりに似たり葩(はなびら)の中より少(すこ)し 黄色有そこにすこしみと【どヵ】り色有 全体(せんたい)鹿子(かのこ)ゆりに似(に)たり鬼(をに) 百合(ゆり)よりふとくたくましく四月の中花有又は五六月迄長四五尺 ばかり茎(くき)ふとく色 黒(くろ)く青(あを)し花の大さ七八寸 余(よ)あり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】草下(くさしも)つけ【囲みの外】花立木の下つけとをなし色うす紅中しべ 【左丁】 しろく又白のしもつけもこれにをなじ葉は小(こ)てまり のはに似(に)たりのこぎりあつてやわらかなりしのたち 藤(ふぢ)はかまに似て茎(くき)ほそし草(くさ)だちなり三 種(しゆ)のうちなり 三四月より六七月まではなさく漢名(かんめう)線繍菊(せんしうきく) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】芥子(けし) 罌粟 罌子粟 【囲みの外】葩(はなびら)四葉(しえう)にして色大紅有大白有紫有一重八重千 弁(え)あり 葉 苦菜(にがな)のごとし長三四尺ばかり葉のきれふかし四月 花さく麗夏花(れいげくは)といふ又 台(うてな)二葉有花 開(ひらけ)ば落(をち)る也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】麗春花(れいしゆんくは) 花鶯粟(くはをうぞく) 【囲みの外】俗(ぞく)にいふ美人草(びしんさう)かたち芥子(けし)にして小(ちいさ)くはな びら同四葉いろ白有大紅有むらさき有ひとへ ありまた八重有千 葉(え)有 春(はる)三月にはなさく葉は けしのはにしてみじかく花のつぼみ葉 茎(くき)ともに毛(け)有 台(うてな)同(をなじ)はなひらくにしたがひ台(うてな)をちるなり 【区切り線】 鶯粟(をうぞく)八月 ̄の内(うち)種(うへて)喜(よく)。疎而(そにして)壮(さかん也)。収(をさめて)_レ子(み) ̄を作(なして)_レ腐(ふと) 佳(かなり)。又(また)有(あり)_二 五色(ごしき)千葉(せんよう) ̄の者(もの)_一。尤(もつとも)為(す)_レ可(べしと)_レ愛(あいす) 【四十四行八字目~「疎而」のルビ「に」は「う」に見える】 【『畫本野山草. [4]』コマ6(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)では、四行下から二字目「俗」のルビは「そく」、十行十三字目は「ほ」、十五行下から五字目は「ぼ」、十七行十一字目は「ど」、二十一行十五字目は「じ」】 【右丁】 岡河骨(をかかうほね) 鳳仙花(ほうせんくは) 【左丁】 べにの花 【右丁】 水葵(みづあふひ) 【左丁】 水梛(みづなき) 鷺艸(さぎさう) 【左図右・線で該当箇所を指している】アヲ 【右丁】 【見出し、囲み部分】をかかうほね 【囲みの外】花立かうほねに似たり色黄にして少し あかみあり花の茎(くき)長し枝(えだ)有葉だちつはに似 たれどもまるしきれ有つやありじく根(ね)もとにあかみ 有また枝もとにふくろ葉あり四月より五月まで咲也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】鳳仙花(ほうせんくは) 【囲みの外】はなのかたち鳥(とり)の羽(は)をひらきたることしいろ 赤(あか)し大紅大白あり桃色(もゝいろ)有むらさき有又しぼり あり又とびいり有葉のかたち亦 桃(もゝ)に似(に)てながし木立(こたち) 大小(たいせう)有 高(たか)さ三四尺ばかりあり又一二尺あり四五寸あるなり 枝あるもありなきもあり三月よりまた八九月迄 あり山里(やまさと)に生(しやう)ず本名(ほんめう)金鳳花(きんほうけ)といふなりまた俗(ぞく)に ほねぬきぐさといふなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】紅花(こうくは) 【囲みの外】葉色 浅(あさ)みどり台(うてな)くきともに浅(あさ)し四五月 紅いろのはなあり葉あさみに似(に)たれとも きれまたなしはりありしげく葉(は)にさゝらありて 【左丁】 こはし又はなは色あかくつぼみあざみに似たりはりと葉に てとりまきしげくありてはな開(ひら)くもすこしなり又しべ のびてさき五つにひらくたけ三尺ばかりのびえだ多(をゝ)し またつぼみをゝく葉に添(そい)てつく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】水(みづ)あふひ みづなぎ 浮薔(ふしよく) 沢ぎきやう 【囲みの外】葉のかたち竹柏(なぎ)に似てつやあり茎(くき)を まきていづる又葉 葵(あふひ)に似たるを水あふひと いふはなしの立六 弁(え)のはなつらなりさくう すいろ白むらさきの三 品(しな)桔梗(きゝやう)のごとくはな末(すえ)に いろるり藤(ふぢ)ぎきやうに似てちいさくはなびらきれふかき はなあい〳〵にさく六七八月あり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】さぎ草《割書: |沢瀉》 白萼(はくがく) 《割書:に|似たり》 【囲みの外】葉さゝ葉に似てほそくくきを巻(まい)て いづるはな雪白(ゆきしろ)小鳥(ことり)のとぶかたちのごと くあるひはさぎのとぶかたちに似たり沢(さは)のほとりに あり水くさなり七八月にあり 【右丁】  野藤草(のふじさう) 【左丁】  花蓂茄(はなめうが) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】墅藤(のふぢ)【野藤ヵ】《割書:四五月》【囲みの外】葉藤のごとくにて花も又大てい似て一ところづゝ■【注】 なりさくはなじくのびず中むらさきいろなり七月はなあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】花めうが しゆくしや 【囲みの外】花白く車咲(くるまさき)五つびら葉めうがだけのごとく六月に はなあり一名やぶめうが本名は和縮砂(わのしゆくしや)なり 【注 ■は「に」ヵ「こ」ヵ。この後にもう一文字あるように見える。】 【右丁】 金銭花(きんせんくは) 【左丁】  寒菊(かんきく) 【右丁】 朝鮮蕣(てうせんあさがほ) 【左丁】 大八代草(をゝやつしろさう) 貴船菊(きふねぎく)《割書:エンジグエンジグマ|ニホイキ》 【右丁】 【見出し、囲み部分】金銭花(きんせんくは)《割書:《割書:又》金盞花(きんさんくは)|ともいふ》 【囲みの外】花のかたち菊のごとし一重有八重あり千重 有花中ごろに咲(さい)て開(ひら)かずちよく咲(さき)なり葉 は九曜草(くようさう)に似(に)たりはな四季(しき)に有色赤黄丹色葉色黄青して 浅(あさ)し長尺はかり八九月の比(ころ)より咲(さく)春(はる)三月さかりなりこれ 金盞花金銭花といふも漢名(かんめう)なり八 集画譜(しうぐはふ)草木(さうもく)の譜(ふ)【注】に云へ り金銭花は俗(ぞく)にいふ也金盞花とはこつふさかつきに似たる ゆへいふなり金銭花とは午時花(ごしくは)の事也金銭花を午時(ごし)といふは 午時(ごじ)にさく故也赤きを子午花(しごくは)と云黄なるを金銭花といふ也 又金盞花の本名は萵苣花(くはきよくは)《割書:又》金盞艸《割書:又》長春菊(ちやうしゆんぎく)といふ 【区切り線】 長春菊(ちやうしゆんきく) 俗名(ぞくめうは)回回菊(くはい〳〵きく)四時(しいし)有(あり)_レ花(はな)種(うへて)_二於 籬落間(りらくのあいたに)_一亦(また)自(をのづから)可(べし)_レ愛(あいす) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】寒菊(かんきく)【囲みの外】はな黄色 辻(つじ)黄いろにしてつゝしべなりもりあげ葩(はなびら) は白し一重にしてまばらなり葉しげくして十月より赤く 紅のごとくになり十二月まてあり花のいろ金のごとくまた 水仙菊(すいせんきく)のはな一重にして葩白くさかやき青し葉の色う ら灰色(はいいろ)表(をもて)青(あを)みどり九十月にあり冬(ふゆ)きくといふ 【左丁】 【見出し、囲み部分】曼陀羅花(まんたらけ) 【囲みの外】春(はる)たねより生(しやう)しかたち茄子苗(なすびなへ)のごとくにて段々(だん〳〵) 枝(えだ)出(いで)て葉も茄子(なすび)のごとく故(ゆへ)に異名(ゐめう)山茄(やまなすび)ともいふ 秋花さく色白 大輪(たいりん)花形(くはぎやう)あさがほのごとくたくましく異形(ゐぎやう)な れば俗(ぞく)に唐人笛(たうじんぶえ)といふ尤(もつとも)其かたちなり花壇(くはだん)に植(うへ)て朝鮮朝(てうせんあさ) がほといふ朝(あした)にひらき夕(ゆふべ)にしぼむ○時珍(じちん)が曰(いはく)曼陀羅花(まんだらけ)人家(じんか)に 春(はる)苗(なへ)を生(しやうじ)夏(なつ)長(ちやう)ず独茎(どくきやう)直(たゞち)に上(のぼり)高(たか)さ四五尺葉も茎(くき)も茄子(なずび)のごとく 八月白花ひらき九月迄有葉 牽午(あさがほ)花のごとく大(をゝけ)し朝(あした)に 開(ひら)き夕(ゆふべ)に合(がつ)すといへり木(き)も茎(くき)も黒紅(くろべに)なり実(み)丸(まろ)く針(はり)あり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】大八代草(をほやつしろさう)《割書:八九月| さく》【囲みの外】花八代草に似たり桔梗(きゝやう)のごとく色(いろ)同(をなじく)似(に)たり花 辻(つぢ)に さく葉ごとに花つくさゝりんだうに似(にた)り八代草より遅(をそ)し山中に有 【区切り線】 【見出し、囲み部分】秋牡丹(あきぼたん)《割書:八月| より》 きぶね菊《割書:九月》 加賀(かが)きく《割書:まて|花有》 【囲みの外】葉のかたち菊(きく)の葉に似てきれあさくこはし はな又きくのごとく紅紫色八重一重さきまた白 花あり花葉ともに同じ又 加賀(かゞ)菊共いふ本菊は はなびら筋(すじ)あり此きくは葩(はなびら)に筋なし牡丹のごとく花 開(ひら)けて実(み) のめぐり蕊(しべ)とりまく一重のけしのごとくけしぼうす有 【右丁】 朝顔(あさかほ) 【左丁】 宮城野萩(みやきのゝはぎ) 【右丁】 昼貌(ひるかほ)  花エンシグ   エンジノクマ 【左丁】 夕顔(ゆふがほ) 【右丁】 達广菊(だるまきく)【注】 【左丁】 竜胆(りんだう) 菝葜荊(ばつかついばら) 【注 「广」は「磨」】 【右丁】 【見出し、囲み部分】宮城野萩(みやぎのはぎ)【囲みの外】七八月に花さく花の色白有紫有うす色とび入有 花長しさがりひめ藤(ふぢ)のごとく咲(さく)又花に黄あれとも是は白のか へり也又山萩も花白有紫うす色有宮城野は長一丈斗【計ヵ】又山萩は六尺斗【計ヵ】也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】朝顔(あさがほ) 【囲みの外】花四五月より七八月迄さく花のかたち昼顔(ひるがほ)に似て葉三 角(かく) なり花数多し三四十はなるりこん色有白有うす赤有 浅(あさ) 黄(ぎ)有又とび入有しぼり有又 朝鮮朝(てうせんあさ)がほ花るり色たねをまき生(は)へて 葉二つ出れば花咲ちやぼ朝かほともいふ又みす朝顔(あさかほ)共いふ山草也本名 牽午(けんご) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】昼(ひる)かほ【囲みの外】花四五月にさくいろうすあかし又白あり雪白大りん有 あさがほは朝々はなさかりなり昼(ひる)かほは終日(ひめもす)はな咲(さい)てあり南(なん) 京(きん)ひるかほはいろさくらいろ小(こ)りんなり葉はそばのごとし花 はあさかほに似(に)てすこし小りん野山原(のやまはら)に蔓(つる)を生(しやう)ずる也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】夕顔(ゆふかほ)【囲みの外】はな六七月にさく花形(くはぎやう)朝顔(あさかほ)のごとし葉 大(をゝけ)く丸し花 の色白し本名 瓠(こ)又 瓢夕顔(ひさごゆうかほ)ともいふ是又同はな白し両品(りやうしな)ともに 花 夕方(ゆふかた)に咲(さく)千なりともいふひさごちいさしはたけものなり 【左丁】 【見出し、囲み部分】だるま菊(ぎく) 布袋(ほてい)菊 谷(たに)ぎく 薩摩菊(さつまさ[き]く) 【囲みの外】葉あつくうすき毛茸(ひげ)有 草(くさ)だちふとく花のかたち ひとへのきくのこときうすむらさきいろのはな葉 のつぢきはにさく又白花ありなづれはもうせんびろ うどのごとしやはらかに四季(しき)に葉有又だるま草 ともほてい菊共さつまぎく共いふ八月より九月迄咲山谷の草也 【区切り線】 【見出し、囲み部分】竜胆(りんだう)《割書:七月より|八月迄》【囲みの外】花のかたちちよくのごとくしの立さく葉さゝば也 はなのいろ白うす紅紫るり四品あり山中野原にあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】菝葜(はつかつ) 【囲みの外】荊(いばら)の類(るい)なり葉丸く柿(かき)のはのちいさきごとくにて 葉の中筋五つすじあり冬葉を落(をと)し春(はる)出(いつ)る秋 赤(あかき) 実(み)有 俗(ぞく)にさんきらいともいふ又さるとりいはらとも云 は非(ひ)なりさるとりいばらは葉の形(かたち)槐(ゑんじゆ)の葉のごとくなりはな 色本うこんなりたけ一二尺ばかりのびはり有又かめいばら ともいふ川きし山中 谷(たに)あいに有又 野原(のばら)さゝりんだうと一 所にあり五月はなさく九十月にあかき実(み)あり 【右丁】 冬牡丹(ふゆぼたん) 【左丁】 元日草(くはんじつさう) 花ヒラキ シベ同 クキ白六 シヲウ カケヱンシクマ 生ヱンジスミ 【右丁】 【見出し、囲み部分】冬牡丹(ふゆぼたん) 【囲みの外】花のいろむらさき有 紅(べに)ありうすさき有大白有花 葉木とも春(はる)牡丹より少(ちいさ)し然(しか)し早咲(はやさき)は大(をゝひ)也 いろ春さく牡丹より美(び)なり紅色むらさきともに葉 あかききほひあり茎(くき)葉のすじもうすあかし八月より 葉も花も出て十一月の比花咲又つほみ出ても花ひらかぬも あり但(たゞ)しぜんたいはるのよりは小(ちい)さし 【区切り線】 【見出し、囲み部分】元日草(ぐはんしつさう) 【囲みの外】花 金(きん)色 葩(はなびら)多(をゝ)く菊のごとし葉 胡蘿蔔(にんじ▢[ん])【注①】に似(に)たり はな一重八重あり又 深黄(しんくはう)或(あるひ)は浅黄(せんくはう)又白もありと いふはな朝(あした)にひらき夕(ゆふべ)にねぶる其はな又 翌朝(よくてう)ひらく久(ひさ) しくあり高(たか)さ一寸より五寸又春の末(すえ)に至(いた)れば八九寸ば かりのびる茎(くき)をのばし枝(えだ)をのばす葉ひらく正月より 二月まであり山原(やまはら)又 谷(たに)ぞこに生(しやう)ず近江国(あふみのくに)北山(きたやま)より出(いだ)せり 一名 福寿草(ふくしゆさう)【注②】又 漢(かん)名 報春艸(はうしゆんさう)漢(から)にも立春(りつしゆん)よりさくと 有 報春鳥(うぐひす)と同しよつて報春草といふ 【左丁】 画本野山草巻之五目録  草(くさ)はんや 牡丹花(ぼたんくは)  牡丹 芽出(めだし)  牡丹花 弁(ひとえ) 花 苞(つぼみ)   牡丹 台(うてな)  擬法珠(ぎぼふし)  草(くさ)びやう 麒麟(きりん)草  翁(をきな)草   釣船(つりふね)草  松虫(まつむし)草  風車(かざくるま)   鉄線花(てつせんくは)  唐松(からまつ)草  大から松 富貴(ふつき)草  葉鶏頭(はけいとう) 【注① ▢は『畫本野山草. [4]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ19と校合し補字。ただしこの文書では「にんしん」となっている。】 【注② ルビ「し」は「じ」ヵ。微かに点が一つあるように見える。以下の二つの文書は「じ」。⑴注①と同 ⑵橘保国 画『絵本野山草 5巻』[4],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569338 コマ20】 【右丁】  十様錦(じうようにしき)  鳫来紅(かんらいこう)  荷葉(かえう)めかへ  荷葉盛(かえうさかり)  蓮花盛(れんくはさかり)  蓮花風吹  蓮房(れんばう)   小てまり  大手まり  菫(すみれ)    化楡草(えびね)【注】  九輪(くりん)草  覆盆子(いちこ)  水仙 【左丁】 草ぱんや 花ノソト白シ内ラエンシノグ 生エンシノクマ中ノシン白シ 葉六セウウラ白六ツル 同花ノウテナ生エンシ 【図の下】実如此 【注 「楡」は「偸」ヵ。『角川俳句大歳時記』(角川学芸出版)の「海老根(えびね)」の項に「化偸草」の記載有り。】 【九行目は『畫本野山草. [5]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ3では「草はんや」】 【右丁】  牡丹花(ぼたんくは) 花ヒラ内外トモ モトヨリクマ 【左丁】 牡丹 芽出(めだし)  地ニクシキ  ウスワウド  カゲ  ヱンシクマ  □【古ヵ】木□【ハ】ネツミグ  スミカスリ朱スミ  クマ 【十五行三字目「ハ」は『畫本野山草』コマ4(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)と校合し補字】 【右丁】  牡丹花 弁(ひとへ) 花苞(ハナツボミ) 【左丁】 牡丹 台(うてな)  白六サキヨリ  エンシクマ 【九行一字目「白」は『畫本野山草』コマ5(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)で確認】 【右丁】  擬法珠(き[ぎ]ばふし) 【左丁】  草びやう  麒麟草(きりんさう) 【二行目のルビ「ぎ」は、橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ7で確認】 【右丁】 【見出し、囲み部分】牡丹花(ぼたんくは)《割書:三月|中|花咲》 【囲みの外】花に大白大紅有紫うす紫有うす紅そこ紅口紅其外 万々有牡丹は総体(そうたい)を九品(くぼん)に分(わけ)て見(み)るべし九品といふは 一(いち)位(ゐ)二(に)形(ぎやう)三 色(しき)四 重(じう)五 実(じつ)六 蕊(すい)七 葩(は)八 葉(よう)九 木(ぼく)也一に位(くらゐ)といふに四等(しとう)の分(ぶん) 有一 位(ゐ)未見(いまだみず)二位三位をよしとする四位は有ふれたるとそ○二に形(かたち)と云 に五様あり富貴(ふうき)艶麗(えんれい)厳格(げんかく)乱雑(らんざつ)枯槁(こかう)なり富貴艶麗をよしとす○ 三に色に二種有 咲出(さきだし)あかみたる様なるは珠玉咲(しゆぎよくさき)也 青(あを)みたるやうなるは 碧玉(へきぎよく)咲也珠玉咲はつや有て碧玉咲は花につやなし又是にたがへる も有べし酔(えひ)ありしみ有酔しみあるは上花(しやうくは)の外(ほか)なるべし○四に重(かさね)は 五ッ葩(はなびら)より十五葩に至て一重とす廿葩より四十葩迄を八重とす四十 五葩より百葩までを千重とす百葩の外万重とす八重千重を よしとす○五に実(み)に形容(けいよう)大小(だいせう)高下(かうげ)赤白(せきびやく)有白に黄白有銀白青 白有赤に薄(うす)赤 木瓜(ぼけ)色 濃(こい)赤 薄(うす)紫こい紫黒色あり形(かたち)に瓶子(へいし)有 実(み)のかしら五つにわれ七つにわるゝあり白は銀白□【紅】は濃(こき)有 小瓶子(こへいし)をよしとす芥子実(けしみ)鈴実(すゞみ)ともいふ○六に蕊(しべ)は 【左丁】 すべて黄なり淡濃(たんのう)多少(たせう)長短(ちようたん)あり黄にして少(ちいさき)をよしとす ○七つに葩(はなびら)は厚円(かうえん)薄鈌(はくけつ)有■【注】縮有ひらめくつほむ厚円(かうえん)にして つぼむをよしとす○八 ̄に葉(は)に大小長短 頻縮(ひんしゆく)弱垂(じやくすい)円尖(ゑんせん)あり其 いろ紫 碧(みどり)淡濃(うすきこき)あり細長(さいちやう)にしてつよきをよしとす兼(かね)たる 色(いろ)をよしとす○九 木(き)に強直(きやうちよく)なるもあり巻曲(けんきよく)なるもあり のびやかにほそく直(すぐ)なる有すなをにのびやかなるをよしとす 【区切り線】 賈耽(かたんが)花譜(くはふに)云(いはく)牡丹(ぼたん)唐人(たうじん)謂(いふ)_二之(これを)木芍薬(ぼくしやくやくと)_一欧公(をうこうが)牡丹(ぼたんの) 譜(ふに)有(あり)_二 九十 余種(よしゆ)_一又(また)易州進奉(いしうしんほう)十九 種(しゆ)今時(こんじは)則(すなはち)名(めい) 類(るい)又(また)多(をゝし)矣 坡(はが)云(いはく)看(みる)_二牡丹(ぼたんを)_一法(はう)《振り仮名:当_レ在_二|まさにあるべし》午前(ごぜんに)_一過(すぐ▢[る]ときは)_レ午(ごを)則 離(り) 披(ひす)此花(このはな)分(わけて)接(つぎ)当(あたつて)_二於 秋(あき)九月(くぐはつに)_一移植(うつしうへ)当(あたる)_二於 開花時(かいくはのとき▢[に])【一点有】舒(じよ) 元輿(げんよ)有(あり)_二牡丹賦(ぼたんのふ)_一丘璿(きうえい)有(あり)_二牡丹栄辱志(ぼたんえいじよくし)_一 【区切り線】 【見出し、囲み部分】開元遺事【囲みの外】牡丹(ぼたんは)花木妖(くはぼくのよう也)明皇時(めいくはうのとき)沈香亭前(ちんかうていのまへ)木芍(ぼくしやく) 薬(やく)盛(さかんに)開(ひらく)一枝(いつし)両頭(りやうとう)朝(あしたには)深碧(しんへき)暮(くれには)深黄(しんくはう)葉(は)粉(しろく)昼夜間(ちうやのあいだ) 香艶(かうゑん)異(ことなり)帝曰(ていのいはく)此(これ)花木妖(くはぼくのよう)也(なり)賜(たまふ)_二楊国忠(やうこくちうに)_一 【注 ■は扌+旧+一+ム・「捏」ヵ】 【不明瞭な字(□、▢)、二十九行下から二字目の下の一点は、橘保国画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ8と校合し補字】 【右丁】 翁(をきな)草  花地ヱンジグヒラ同  ソコヨリキクマトル  スシヱンシ同ホシ 釣船(つりふね)草 【左丁】  黄色ノ花ハ  地キ仕立ハ右同  松虫(まつむし)草 【右丁】 【見出し、囲み部分】草はんや 芃蘭(くはんらん) 【囲みの外】蘿摩(らま)は鏡(かゝみ)草とも云 蔓草(つるくさ)也六七月 鈴(すゞ)なりにして淡紫(うすむらさき)の 小(ちい)さき花さく百合(ゆり)に似(に)て星(ほし)なし五ひらにしてうてな あり草(くさ)しの立(だち)葉とも女青(へくそ)かづらのごとし此 草(くさ)は折(をり)て見れば 乳汁(ちしる)出(いづ)る又 女青(へくそ)かづらは乳汁なし花 開(ひら)き晩秋(ばんしう)に実(み)を結(むす)ぶ紙麻殻(しまこく) に似(に)たり初冬(しよとう)に至(いたつ)て自(みづから)割(さけ)白絮(しろきわた)出(いづ)る其 殻(もみ)船艋(こぶね)のごとし長(なが)さ大(をゝ)き なるは二三寸 許(はかり)小(すこし)なるは寸余(すんよ)也是 神書(しんしよ)にいはゆる少彦名神(すくなひこなのかみ)蘿麻殻(らまこく)を以て 舟(ふね)とすと少名彦神を画(えかく)に用(もち)ふべきものすな□【は】ちこれなり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】玉簪花(ぎよくさんくは)  《割書:四月花有》 ぎぼうし 《割書:一名は》  白鶴仙(はくくはくせん) 【囲みの外】数(かす)多(をゝ)し葉のふちに白のかすりありふちうぎぼうし といふ葉に班入(ふいり)【班は斑ヵ】ありぶんてうぎほうしといふきん らんあり葉つねのぎぼうしにかはらず花雪白しの たちのびかんざしのことく至極(しごく)見事也一種葉 極(▢[き]はめ)てほ そながくつやあるもありはなきんらんに同しはなのいろ白 有ふぢいろ有 大(をゝ)ぎほうしはたかさ四尺ばかり小(こ)ぎぼうしは土地に よりていろ〳〵あり山草なり 【区切り線】 玉簪花(きよくさんくは)一名(いちめいは)白萼(はくがく)能(よく)消(けす)_二骨鯁(うをのほねを)_一不(す)_レ可(へから)_レ着(つく)_レ牙(めを)着(つくれば)_レ牙(めを)則(すなはち) 【左丁】 裂砕(さけくだく)有(あり)_二紫黄(しくはうの)二色(にしよく)_一紫者(むらさきなるは)多(をゝく)黄者(きなるは)佳(かなり)種(たね)不(す)_二多有(をゝくあら)_一 【区切り線】 【見出し、囲み部分】草びやう【囲みの外】びやう柳に似たり花黄色にして葩五つにて芙蓉(ふよう)の ごとしなるしべ短(みしか)く長春(ちやうしゆん)に似たり葉をとぎり草に似て葉むかひ あひ両方を茎(くき)葉にてとりまく高三四尺斗【計ヵ】よこにはふ四五月花咲 【区切り線】 【見出し、囲み部分】きりん草 鋸歯葉(きよしえう) 景天(けいてん) 【囲みの外】葉べんけい草のごとく小葉にして葉のふちにきれあり 花のいろ黄にして一処につきさく草たちふとし花も べんけい草のごとく五月花有葉三方につく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】翁草(をきなくさ) 白頭翁(はくとうをう) 【囲みの外】はの芽(め)だしゆき白にして日(ひ)をかさね次第(しだい)に青くなる又 虎班(とらふ)【斑ヵ】有せうがひげのごとく五月花有葉三方につく 【区切り線】 【見出し、囲み部分】釣船(つりふね)草《割書:花八九|月有》 【囲みの外】葉 野菊(のぎく)のはに似てきれあさく葉うすしくき 露節(ふしだち)して葉のうらより一寸ばかりのほそきいと さがりはなをつる事つり船のごとしはなのかたちとりかぶとを 横にしたるごとく色 本金黄(ほんきんき)至極(しごく)かはり也又紫花有又白もあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】松むし草【囲みの外】葉よもぎのごとく茎(くき)ふとく花うす藤色丸き花さく 又いたのぎくともいふ一名 玉毬花(ぎよくきうくは)七八月より九月まではな有 【不明瞭な字(□、▢)は、橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ10と校合し補字】 【右丁】 風車 【左丁】 鉄線(てつせん)花 【右丁】 唐松(からまつ)草 大から松 【左丁】 富貴(ふうき)艸 【右丁】 十様錦 葉鶏頭(はけいとう) 【左図の下】 葉地ヱンシク 【図】カキ 【左丁】 鳫来紅(がんらいこう) 【図の左】 葉地ヱンシク 【図 四箇所】ヱンシ 【図 中央】キ 【図の文字は全て線で該当箇所を指している】 【右丁】 【見出し、囲み部分】風車(かざぐるま)《割書:花三四月|  有》【囲みの外】花のかたちくるまのごとしはなびら八 枚(まい) ̄に して うちにしん有花に数(かず)多(をゝ)し白一重うちむらさき一重べに 紫ひとへむらさき一重こんいろ一重又雪白八重ひとへ千重 あるひはゆき白千 弁(え)白に爪紅色(つまべにいろ)千 弁(え)かき紅千重有いづれ も花 上品(じやうひん)にして見ごとなりはなの大(をゝき)さ四寸あまり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】鉄線花(てつせんくは)《割書:三四月|はな有》【囲みの外】花かざくるまのごとくにてちいさくしまり 花に千 弁(え)うち紫千重ありもりあげさき又白とうち紫と のさきわけあり又 纏枝牡丹(てんしぼたん)といふはてつせんの千重にあり はな白く葩(はなびら)八つにして面白(をもしろ)ふなし図(づ)にのせず花の大(をゝき)さ二三寸 【区切り線】 【見出し、囲み部分】唐松草(からまつさう)《割書:三|品》  《割書:三四月花有》 《割書:又》秋から松 【囲みの外】花の色白くかたちから松のごとし茎(くき)にくろみ有 又紫花あり草(くさ)だち白のから松よりはしなやかなり又 白に紫のうつりあるも有葉も白のから松よりは すこしあつし大からまつ草といふも有草だち大(をゝい)にたちの びる草(くさ)なんてんといふ又 黄(き)から松有葉すこしかはりあり 【左丁】 【見出し、囲み部分】富貴草(ふうきさう)《割書:はな|三四月》 金鳳花(きんほうけ) 《割書:あり》 【囲みの外】花のかたち梅(むめ)のはなのごとくしべたちのび至極(しごく) 本金黄(ほんこがねき)いろ大りん葉きくのはに似て丸くあつ しきれすくなく草花の上品(じやうぼん)なりはなに八重有千重有 白ありといへとも見ずまたさつまきんほうけといふ 【区切り線】 【見出し、囲み部分】葉鶏頭(はけいとう)【囲みの外】花形(くはぎやう)も葉もつねのけいとう也花は紅と黄とさき分 の三種有て葉に白くまだらの班(ふ)【斑ヵ】あり葉さきまはりは青くあ をの中白く青紫にうす雪のふりたるやうにて花より見事な ればはげいとうといふ花 赤(あか)きは葉にも白紅のまだら有七八月 【区切り線】 がんらい紅はにしき草といふ葉けいとうといふはあやまり也是にははな なく葉の間(あひ)に実(み)をむすぶはげいとうの花形(くはぎやう)はけいとうのごとく也 けいとう花の同るい也鳫 来紅(らいこう)とは鳫(がん)来(きた)る時分(じぶん)見事なる故一名也葉 盛(さ▢▢[かり])八月 【区切り線】 老少年(らうしやうねん)一名(いちめいは)秋紅(しうこう)雁来紅(がんらいこう)有(あり)_二作詩(さくし)_一曰(いはく) 翔雁(ようがん)南来(なんらい)塞草(さいさうの)秋(あき)。《振り仮名:未_レ霜|いまだしもせざる》紅葉(こうえう)巳(すでに)【已ヵ】先(まづ)愁(うれふ)。緑(▢[り]よく) 珠(しゆ)宴(えん)罷(やんで)帰(かへる)_二金谷(きんこくに)_一。七尺珊瑚(しちしやくのさんご)夜(よ)不(ず)_レ収(しぼま) 【不鮮明な字▢は『畫本野山草. [5]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ13と校合し補字】 【十九行十八字目~「草だち」は『畫本野山草. [5]』(右注と同)では「草たち」】 【四十行一字目「翔」のルビ「よう」は『畫本野山草. [5]』(右注と同)では「しう」】 【四十行九字目「霜」の右下に縦線有。汚れヵ。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ14には無。】 【右丁】 花ウスベニノ仕立ハ ヱンジグサキヨリエンシ クマ内ソト𪜈同 又モトヨリゴフンスシ入 荷葉盛(かえうさかり) 【右丁・右下】 荷葉(かえう)めかへ 【左丁】 蓮花盛(れんくはさかり) 【右丁】 蓮花風吹 【左丁】 蓮房(れんばう) 【右図 上から順に】 キ クサノシルクマ 四バン六セウ 【左図 上から順に】 白 キ 白 【図の文字は全て線で該当箇所を指している】 【右丁】 小毬(こでまり) 【左丁】 大てまり 【右丁】 【見出し、囲み部分】れんの花 《割書:一名》荷葉(かえう) 《割書:一名》   ふよう 《割書:四五六七月|   まで》 唐蓮(たうれん) 【囲みの外】花 数(かず)多(をゝ)しつま紅(べに)或(あるひ)は底(そこ)紅又 極(ごく)紅 色(いろ)白花有 金糸(きんし)れんぎんし れんといふ有花びらにすぢのごとく成物見ゆる天竺(てんぢく)れんあり 色本紅花びらほそくつじ小(▢[ち]いさ)く葩(はなびら)折入(をれいり)万弁(まんえ)のごとしこれに白 花有又白に蓮紅有本紅白さきわけ大蓮有○凡(をよそ)蓮(はす)は先(まづ)うき葉 二かい葉三かい葉出て花のつぼみを出す葉 次第(した[だヵ]い)【注①】にさかへて花を開く 花 開(ひらき)其花をちて房(ばう)となる然(しか)るにうき葉とは水の上にうきなが るゝをいふ又二かい葉は次(▢[つ]ぎ)に出て水の上より少(すこし)出て開(ひら)くを二かいといふ三がい葉は二 かいの上にまき葉立をいふ三がいば出てつぼみを出して葉盛して花開花ひらい て落て房と成 荷葉(かえう)を画(えかく)は先葉 盛(さかり)にして葉の少(すこ)し下に花をあしらふ蓮花を画は 花の少し下に葉をあしらふ又 蓮(れん)を画(えかく)は蓮房(れんばう)を高(たか)くあげ葉花共に少し下にあしらふ 或(あるひ)は花をちらす葉をからして水 ̄に入蓮房 実(み)を飛(とば)して土中(どちう)宿(▢▢▢)【注②】。芽出。華盛。房実飛。此三 ̄▢[ツ]過現来 ̄▢[ト]云 【区切り線】 ○爾雅(じか)ニ荷(か)ハ芙蕖(ふきよ)ナリ其茎(そのくき)ハ茄(か)其 葉(は)ハ荷(か)其花ハ菡萏(かんたん)其 実(み)ハ蓮(れん)其 根(ね) ハ藕(ぐう)其中ハ菂(てき)○格物叢話(かくぶつさうわ)ニ荷花(かくは)重台(てうたい)ノモノ双頭(そうたう)ノモノハ以テ瑞(ずい)トス又 暁(あかつ▢[き])朝日(てうじつ) ニ起(をき)夜(よ)ハ低(たれ)テ水(みづ)ニ入(いる)モノアリ睡蓮(すいれん)ト云 荷花(かくは)ヲ水芙蓉(すいふよう)𪜈草(そう)芙蓉𪜈云ナリ 【区切り線】 荷(か)一名(いちめいは)菡萏(かんたん)一名 ̄ハ水芙蕖(すいふきよ)有(あり)_二千葉(せんえう)黄(き)千葉 白(しろ)千葉 紅(べに)_一有(あり)_二紅(こう) 辺(へん)白心(はくしん)_一有(あり)【二点脱ヵ】馬蹄蓮(ばていれん)【一点脱ヵ】子(み)多而(をゝくして)大(をゝい也)有(あり)_二墨荷(ぼくか)_一並(ならひ) ̄ニ佳(かなり)種(うゆ)_二華山(くはさん▢[に])_一山頂(さんてう) ̄ニ有(あり) 【左丁】 _レ池(いけ)生(しやうす)_二千葉蓮(せんようのれんを)_一服(ふくして)羽化(うくはす)鄭谷詩(ていこくがし) ̄ニ所謂(いはゆる)太華峯頭(たいくはほうたうの)玉井蓮(ぎよくせいれん)是(これ)也(▢[な]り) 南海(なんかいに)有(あり)_下睡(ねふりて)【二点脱ヵ】朝日(てうしつに)【一点脱ヵ】夜(よる)低(たれて)入(いる)_上_レ水(みづに)歳(とし)有(あれは)_レ水(みづ)則(すなはち)荷(か)早発(はやくひらく)曽(かつて)端伯(たんはく)【注③】以(もつて) 為(す)_二浄友(じやういうと)_一又(また)有(あり)_二金蓮(きんれん)鉄線蓮(てつせんれん)白花(はくくは)大乙蓮(たいいつれん)_一花(はな)甚(はなはだ)難(かたし)_レ開(ひらき)本(もと)如(こ[ごヵ]とし)【注①】_二芭(ば) 蕉(せをの)_一葉(は)如(ごとし)_レ芋(いもの)亦(また)名(なづく)_二観音芋(くはんをんいもと)_一青蓮(せいれん)或(あるひは)云(いはく)即(すなはち)鉄線蓮(てつせんれんと)晋(しんの)仏図澄(ぶつとしやう)取(とり) _レ鉢(はちを)盛(もり)_レ水(みづを)焼(たいて)_レ香(かうを)呪(じゆす)_レ之(これを)鉢中(はちのうち)生(しやうす[ずヵ])【注①】_二青蓮(せいれんを)_一花(はな)光色(くはうしき)耀(かゝやかす)_レ 人(ひとを)四五月内(しごぐはつのうち) ̄ニ開(ひらく) 【区切り線】 【見出し、囲み部分】小でまり《割書:はな|三月》【囲みの外】花の色白にして形をでまりに似たり葩五つ有中に さかやき有葉のかたちのこぎり有下つけのごとく葉かた〳〵に ついてはな間々より出る木立(こだち)やまぶきのごとくよこになびき はびこる花 段々(だん〳〵)つらなる也又 茎(くき)赤黒なるは葉にこはみあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】おでまり  《割書:三四月》 《割書:粉団(ふんだん)ははなの|  名なり》 【囲みの外】葉両方へ対(むか)ひ出て形(かたち)まろく大くちゝみ有てゆすら 梅のはに似(に)たり木の高さ丈余(じやうよ)枝同両方へ出て四方へふる其す えに花有てまりのごとし葩(はなびら)本(もと)一やうにして五つわかる花一 りんのかたちは白梅(はくばい)のごとく花あつまる或(あるひ)は毬(てまり)のごとく花にうつり有 台(うてな)なし花 元(もと)小(せう)にして日を重(かさね)て大となる初開て青し盛に白(しろく)中心(まんなか)に穴(あな)有 【区切り線】 繍毬花(しうぎうくは)繍毬(しうぎう)作(なし)_レ花(はなを)《振り仮名:甚-繁|はなはだしげく》《振り仮名:簇-成|むらがりなし》如(ごとし)_レ毬(てまりの)《振り仮名:故-以|ゆへ ̄ニもつて》名(なづく)用(もつて)_二 八仙花(はつせんくはを)_一接(つけば)_二故枝(ふるえた) ̄ニ_一易(やすし)_レ生(しやうし) 【注① ルビの[ ]の字は、濁点の一つが有るように見える。橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ18も同様。『畫本野山草.[5]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ17では十二行目以外は濁点有。】 【注② 「宿」は「宀」+「石の口が日」。ルビ「▢▢▢」は『畫本野山草.[5]』(注①と同)では「やどる」ヵ、「やどつ」にも見える。】 【注③ 「曽端伯」は人名ヵ(読み方は確認できず)。「曽」の振り仮名「かつて」は誤ヵ。曽端伯は、「名花十友」の一つとして「荷花」を「浄友」とたとえている。(確認資料:『日本国語大辞典 精選版』(小学館)、『広辞苑(第七版)』(岩波書店)共に「名花十友」の項)】 【「-」は全て左側に書かれている】 【不明瞭な字▢は国立国会図書館デジタルコレクション(注①と同)と、または『畫本野山草.[5]』(注①と同)とも校合し補字。ただし十四行十二字目「次」のルビは『畫本野山草.[]5』のみで確認。】 【二十五行目(二箇所)、二十八行目、三十二行目、四十八行目(二箇所)の振り仮名「ニ」は小さい字で書かれている】 【『畫本野山草.[5]』(注①と同)と異なる部分:八行十三字目「極」のルビ「ごく」は「こく」、十行十七字目「万」は「方」、十八行下から十二字目「出」の後の「。」は無、二十行六字目~「芙蕖」のルビ「き」は「ぎ」、三十行下から六字目「甚」のルビ「だ」は「た」、四十八行十二字目「如」のルビ「ご」は「こ」】 【右丁】 菫(すみれ) 化楡草(えびね)【注】 【左丁】 九輪草(くりんさう) 【注 「楡」は「偸」ヵ。『角川俳句大歳時記』(角川学芸出版)の「海老根(えびね)」の項に「化偸草」の記載有り。】 【右丁】 覆盆子(いちご) 【左丁 文字無し】 【右丁】 【見出し、囲み部分】すみれ草 《割書:又》三国草(さんごくさう) 大すみれ 菫菜(きんさい) 箭頭草(せんとうさう) 【囲みの外】富貴すみれともかくれみのともいふ葉(は)のかたち花つる のごとくにてきれふかく葉やわらかに小(こ)葉也 茎(くき)紫色 花白くすみれのごとき花さく此せうにて花葉かはり たるもの三 種(しゆ)有葉ほそながきものあり丸葉ありま ろきをつぼすみれといふ花にむらさき白ありみな地丁(すみれ)也 又 外(ほか)に三国草とよぶ草有所々にて名のかはる草もあれは別(べつ)の 三ごく草といふ草いつれを云かいぶかし花三月より八九月迄咲 【区切り線】 【見出し、囲み部分】ゑびね草 山磁石(さんじしやく) 【囲みの外】花 数(かず)多(をゝ)し大ゑびねといふは花の色本黄 大々(だいたい) りんあるまんゑびねははなの色大ゑひねに同し大 りん大 南京(なんきん)も又花のいろ同じ金(きん)むらさきといふは花びら こい柿紅(かきべに)つやありはなのうち舌(した)ともに本黄也茶金と いふは花びら青葉【紫ヵ】にして舌(した)ともに同しいろすこしうすし 出ふねえびねはよごれしろにうすむらさきのかすりあり舌 もおなじ葉ゑびねは黄に青きうつり有花のそと中黄 【左丁】 うち舌(した)ともに白し紅かばゑびね有花びらうつり白にすこし あかみ有紫のえびねはこい紫の打(うち)ぬきにして花びら舌(した)共(とも)に同し 色 鹿子(かのこ)ゑびねは白に紅のほし入白えひねは花ひら舌ともによご れしろなり花びら青白く舌(した)白きをごすでゑびね□【と】いふ花 びら青葉【紫ヵ】にしてした白く紅の色さすを紅ゑびねといふまた 雪白(ゆきしろ)本紅(ほんべに)有夏ゑびね有秋えびねあり夏(なつ)ゑびねは黄に青き うつりあり四五月にさく秋ゑびねは七八月にさくはなの 色 薄(うす)ざくら□【色】舌も同し花葉ともにかはらずさく旬(しゆん)にちがいあり 【区切り線】 【見出し、囲み部分】九りん   草 旌節花(せいせつくは) 【囲みの外】花のかたちさくら草のごとくにて葩(はなびら)あつくしのだち まはりさくしの立(だち)ふとく立(たち)のびだん〳〵に咲(さく)いろ数(かず)あり 白紅あるひはゆきしろげんじ又うす色咲わけあり地(ぢ) 紅(べに)にして花びらふち白きをげんし九輪草(くりんさう)といふ三四月はな有 【区切り線】 【見出し、囲み部分】いちご 覆盆子(ぶくぼんし) 【囲みの外】花梅のはなのごとき小りん黄いろ有雪白有 本草家(ほんざうけ)に実(み)を 覆盆子(ぶくぼんし)といひ葉を《振り仮名:■■|ゆうるい》【注①②】と云 冬(ふゆ)いちごとも寒(かん)いちこ共いふ 【注① ■一文字目は艹+凵+米。艹+幽ヵ】 【注② ■二文字目は艹+塁。蘲ヵ】 【五行目ルビ「さ」は「た」にも見えるが、橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ21と校合し補字】 【二十九行下から四字目□は国立国会図書館デジタルコレクション(右注と同)と校合し補字】 【三十三行六字目□は『畫本野山草.[5]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ20と校合し補字】 【右丁 文字無し】 【左丁】 【見出し、囲み部分】水仙花(すいせんくは) 【囲みの外】葉 蒲(がま)に似(に)たり花のかたち金盞銀台(きんさんきんだい)にたとふ花びら六よう 台(うてな)は三 角(かく)にして長(なが)し茎(くき)かうほねに似(に)たり又花は末(すえ)に薄絹(うすきぬ)の袋(ふくろ)に 包(つゝみ)袋ほどけて花 開(ひら)く花の色白ふして少(すこ)しなしめ也中の一盞(いつさん)に三玉(みつのたま)有一盞三 玉(ぎよく)ともに黄(き)うこん也八月より翌年(▢▢▢[よくね]ん)の二三月迄花有秋冬の水仙は花葉の中段(ちうだん)に 有 亦(また)春(はる)の水仙花は葉のたけにくらぶ総体(さうたい)草花に是を順(じゆん)じて夏秋の草花 たけ長し冬春の草花はたけみじかし四季(しき)の草花年中たゆる事 なし然(しかれ)とも秋冬の草花は冬気を凌(しの)ぎかねて春を待(また)ず処(ところ)へ水仙 薄(うす) 絹(ぎぬ)のふくろより金盞銀台を出し是春を待す春の草花 来(きた)るに一盞 を以て引合(ひきあは)する縁(えん)をむすびつなぐ花なり○楊誠斎云(やうせいさいがいはく)世(よ)に水仙を以て 金盞銀台となす蓋(けだし)単葉(ひ▢[と]え)のもの中に一酒盞(いつしゆさん)有 深黄(しんくはう)にして金色(きんしき)也千葉 のものは乃(すなはち)真(まこと)の水仙也○山谷云(さんこくがいはく)一名を仙骨(せんこつ)とす水仙花 凡花(ぼんくは)にあらず仙人 の骨象(こつしやう)ある也 故(ゆへ)に仙骨といふ△仕立花(シタテハナ)ゴフン中筋(ナカスヂ)同(ヲナジ)中筋ノ両(リヤウ)ワキ白緑(ビヤクロク)ニテ クマドリツケニヲイ皿(サラ)ニヲイノ玉(タマ)ゴフンソコ白緑(ビヤクロク)ニテクマドル又 総花(ソウハナ)ヘキラニゴ フンヲ加(クハヘ)テカケル中(ナカ)玉(タマ)ト皿(サラ)トモシワウヲカケル台葉(ウテナハ)トジクトハ四(よ)バン六セウヌルクサ ノ汁(シル)クマトリシワウヲカケルハナヲツヽム袋(フクロ)ゴフンヌリウスワウドヲカケ朱墨(シユスミ)クマキラカケ 筋(スヂ)カキ朱墨(シユズミ)葉(ハ)ノネマキゴフンスリキラヲカケルクサノ汁(シル)ニテ筋(スヂ)カク 【不明瞭な文字や▢は、橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ22、『畫本野山草.[5]』(翻刻!いきもの図鑑―コレクション1)コマ21と校合し補字】 【十六行目~のルビのうち、十八行下から十字目「四」のルビのみひらがな表記】 浪華後素軒橘保国画図     《割書:大坂》藤村善右衛門  彫刻     《割書:同 》藤江四郎兵衛 宝暦五乙亥年八月 文化三丙寅年霜月求板   書林   柳原喜兵衛 【このコマは、橘保国 画『絵本野山草 5巻』[5],柳原喜兵衛,文化3. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2569339 コマ23の右丁と同じ】 【文字無】 【文字無】 【文字無】 【文字無】 【文字無】 【見返し 文字無】 【見返し 文字無】 【裏表紙 文字無】 【背表紙】 【横書き】 JE HON NO JAMA GUSA 【天地・天ヵ 文字無】 【背の部分(写真の上側)の色がコマ131より暗い色に見えることから天ヵ。コマ128の写真(背の上下の色)参照。】 【小口 文字無】 【天地・地ヵ 文字無】 【背の部分(写真の下側)の色がコマ129より明るい色に見えることから地ヵ。コマ128の写真(背の上下の色)参照。】