【絵内の枠内】 二荒温泉記略  |鶴(つる)の湯(ゆ)  |河原湯(かわらゆ)  |純子湯(どんすゆ)  |中(なか) |湯(ゆ)  |瀧(たき) |湯(ゆ)  |姥(うば) |湯(ゆ)  |御所湯(ごしよゆ)  |笹(さゝ) |湯(ゆ)  |自在湯(じざいゆ)  |荒(あら) |湯(ゆ) 抑(そも〳〵)この温泉(おんせん)は我朝(わがてう)医術(いじゆつ)の大祖(みをや) 大已貴神(おほなむちのかみ)蒼生救護(さうせいきうご)の為(ため)に授(さづ) け給ふ所(ところ)にして各泉各種(かくせんかくしゆ)の 偉効(いかう)を奏(そう)ししたがつて温度(をんど) もまた等(ひと)しからず其病症(そのべうせう)に 応(おう)じてその温泉(をんせん)あること実(じつ)に 天與(てんよ)の霊場(れいでう)殊(こと)に避暑両全(へきしよれうぜん)の 佳境(かきやう)なり且(か)つ風景(ふうけい)の絶美(せつび)なる こと所謂(いわゆる)日光(につくわう)を見(み)ざれば結構(けつこう)を いはざるの諺(ことわざ)に負(そむ)かざるべし  |右(みぎ)十泉(とうせん)の温度(をんど)功能等(こうのうとう)は温泉記(をんせんき)  に詳(つまびら)かなり就(つき)て見(み)るべし   巳卯の秋日  馬角斉記 【絵の署名】 朝香楼芳春画    【絵内左下】 画 工  東京府下浅草区並木町十三番地      生田幾三郎 出版人  仝日本橋区馬喰丁一丁目九番地      荒川藤兵衛 売弘人  栃木県下日光本町六百廿二番地      小林次郎